5.夢現つ
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浦村署長のお見舞いを済ませて 小国診療所を後にした琴乃は、お蕎麦屋さんで昼食を取っていた。
「………」
ここのお店…よく一緒に来たな……
【…なんや…この店にもいないんか……】
「!」
琴乃は聞き覚えのある声がして 声の主を見た。
「張さん?」
「琴乃やないか! 久しぶりやな!」
琴乃は張と一緒におそばを食べていた。
「張さんは誰か 探し人ですか?」
「っ!?」
張はむせて 咳き込んだ。
「ちゃうで…! …あんさんこそ 何で一人で飯食ってるんや?」
「……色々と考えてしまって……。 …思い出のあるお店で昼食を…と思って…」
「……何かワケありやな…」
「! ………」
琴乃は瞳を伏せた。
琴乃は今回の件を話すかどうか悩んだが、剣心もこれ以上 多くの者を巻き込むのを嫌がるだろうと考え、結局 話すのをやめた。
「別にいいで。 話したくないもん 無理に聞こうとはせんから」
「…すみません」
「ま あんさんが困ってる時は助けが来るさかい」
「……え…?」
「やろ?」
そう言って 張は笑った。
「………」
琴乃は意味が分からず、張を見つめる事しか出来なかった。
その日の夜、張は屋台のお蕎麦屋さんでかけそばを食べていた斎藤を見つけた。
「連絡取る場合はそば屋つーても どこかキチンと決めてもらわんと、えー加減 困るわ! この一週間 東京中のそば屋駆け廻った挙句、屋台なんてかなわんで ホンマ!」
斎藤は横目で話しかけてきた張を見た。
「………なんだ 貴様は?」
「十本刀の張や!!」
張は怒りを露わにした。
「そう言えばいたな そんな奴」
「自分で配下の密偵にしたくせして なんや ソレ!!」
怒っていた張は微笑した。
「ま お蔭であんさんの奥さんと一緒にそば 食えたんやけどな」
「……お前 まだ琴乃に付きまとっていたのか?」
「偶然や! それに“時々 琴乃の様子を見ておけ”と命じたのも あんさんやで!!」
斎藤はお金を置いて立ち上がった。
「…しかも 犯人見つけても“殺すな”言うし」
「あたり前だ。 殺しは全て俺の仕事だからな」
「………」
ホンマ 警官かいな…
いつか 奥さんに逃げられるで……
その後、張は志々雄の甲鉄艦“煉獄”を売りさばいた武器密売組織である縁の日本のアジトの報告をした。
「詳細は掴めなんだが、なんやソイツ 抜刀斎の奴にちょっかい出してるようやで。 その件かまではようわからんが、あんさんの奥さんも何か悩んでいたみたいやしな」
「…意外と早く再会となりそうだな」
斎藤は微笑した。
「なんや嬉しそうやな」
「……フン」
張は微笑した。
「聞くまでないやろうが どっちから当たりやす? 親玉? それとも 奥さんもいる…抜刀斎?」
「そうだな――」
かくして役者は揃い、時間は満ちる―――
そして 決戦の日、ついに来たる!!!
燕を仮店舗にて営業再開している赤べこへ帰した後、琴乃たちは闘いに備えていた。
「………」
剣心から薫と恵と弥彦を守るように頼まれた琴乃は、昨日の昼に 張に言われた言葉が気がかりだった。
…助け…
一体誰のことを言っているのかわからないけど……
どうか剣心さんに力を貸して下さい―――…
ドォーン!!
その時、夏祭りの花火の音がした。
「さあ 人誅の時間だ」
そして、その花火が上がる闇夜に紛れ 黒い気球に乗って縁たちが現れた。
「抜刀斎ィィィ!!!」
まず、鯨波が気球から地上に降りながら アームストロング砲で狙撃を行おうとしてきた。
剣心は左之助と協力して翔んだ。
「“飛天御剣流・九頭龍閃”!!」
鯨波はそのまま 地面に叩き付けられたが、 起き上がり、再び アームストロング砲を構えた。
琴乃たちは左之助に促され 道場の中に入った。
左之助は斬馬刀で砲弾を撃ち返したが、鯨波は砲身で砲弾を叩き落とした。
「次弾装填」
すぐに鯨波は二発目を打ち込もうとしてきた。
が、剣心によって人体急所である脇腹に斬撃を与えられ、鯨波は戦線を一旦離脱した。
「………」
すごい…
お互いを信頼し合っているからこそ 成せる事――…
その後すぐに、第二陣である乙和と戌亥が気球から降りてきた。
そして 剣心 対 乙和、左之助 対 戌亥の再戦が始まった。