5.夢現つ
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結局、警察の結論は 赤べこへの怨恨ではなく、不平士族の密造砲の試射か あるいは誤射となった――…
「剣心さん、左之助さん 少しいいですか――?」
琴乃は、地図を見ながら これからの事を話し合っている、剣心と左之助がいる部屋を訪れていた。
部屋に招き入れられた琴乃は、剣士と左之助の横に座った。
「どうしたでござるか 琴乃殿?」
「……少し 気になる事があって…」
琴乃は赤べこでの鯨波の事を話した。
「なんでその時 言わなかったんだよ!?」
「…すみません。 気に留める事ではないかな…と思って…」
左之助は剣心を見た。
「琴乃が言っている事が確かだとすると…」
「…ああ…」
やはりあの男が…
「…剣心さん あの人の事知っているんですか?」
「…知ってる…と言う程ではないが…」
剣心は左之助を見た。
「いいんじゃねェか、琴乃は嬢ちゃん達と違って 戦力になるしな」
「! 剣心さん 何か厄介な事に巻き込まれているのですか?」
剣心は頷いて 鯨波の事、上野山にあった“人誅”の紙切れの話をした。
「……そんな事が…」
「…これは全て 拙者…“人斬り抜刀斎”が犯した罪……」
「!」
剣心は瞳を伏せた。
「…償いきれない罪でござるよ…」
「…でも! 剣心さんは…!」
琴乃は瞳を伏せた。
守るものの為に剣を振るっていたに過ぎないのに……
「………」
「琴乃殿」
名前を呼ばれた琴乃は顔を上げた。
「…ありがとう」
剣心は笑いかけた。
その切ない笑みは、琴乃の心の中に深く残った。
その後の話し合いで、琴乃と剣心は神谷道場、左之助は小国診療所を守ることになった。
夕方頃、燕が神谷道場にやって来た。
――そして 太陽が沈み、夜になった…
琴乃と剣心は刀を抱えて座り、時計の音だけが響いていた。
ダン!!
その時、神谷道場の門が叩かれた。
琴乃と剣心は表へ出た。
すぐ後に薫と弥彦も出てきた。
神谷道場の門を叩いたのは、前川道場の門下生だった。
事情を聞いた剣心は前川道場へ向かって走り出した。
「剣心!」
「俺も行――「来るな!!!」」
剣心はキツく言い放った。
「朝までには戻る! それまで厳重に戸締りをして 警戒を怠らない様に!」
「う…うん」
「琴乃殿 薫殿たちを頼む!」
「は はい!」
川道場に向かって走っていった剣心は途中、小国診療所の見張りをしていた左之助と合流していた。
そこで警官から、浦村署長が来ない事を聞いた。
その後、剣心は浦村署長の家へ、左之助は前川道場へ それぞれ向かっていった。
その頃、薫を家の中に避難させた琴乃は、弥彦と共に門の所で見張りをしていた。
「………」
「………」
…弥彦君…ショックだったんだろうな……
…でも…
…剣心さんも心配だな……
…温厚な剣心さんが…あんなに強く突き放す様な事を言ってしまうくらいだから―――…
浦村署長の家に着いた剣心は乙和 瓢湖と対峙し、前川道場に着いた左之助は戌亥 番神と対峙していた。
…が、“人誅の時間”と言って、暗器 “過水毒煙”によって 乙和は剣心の前から消えていった。
そして、浦村署長の家は鯨波のアームストロング砲によって 全壊した。
一方、戌亥は途中やって来た 外印と共に去っていったが、残していった夷腕坊 弐號機の中に大型炸裂弾が仕込まれていた。
その事に間一髪で気付いた左之助が、爆弾を空中に打ち上げた事により 死者は出なかったが、前川道場は半壊した。
――夜が明け 空が明るくなってきた頃、薫と燕は外に出た。
門の前で立っていた弥彦は薫に奥義を教えてくれる様に頼んだ。
だが、薫はまだ“十歳”である事で否定した。
「もう 俺だけ…俺だけ弱いのは 嫌なんだよ!!」
弥彦の悲痛な叫びが辺りに響き渡った。
その頃、剣心は神谷道場への帰路についていたが、迷っていた。
始まりは拙者の…“人斬り”としての罪――――
どうすれば 拙者は許される?