5.夢現つ
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――そして、琴乃たちは東京に帰ってきた。
神谷道場の前では、妙たちが出迎えてくれていた。
「剣心」
薫は立ち止まっていた剣心に手を差し出した。
「お帰りなさい」
剣心は穏やかな顔をして 薫の手を取った。
「ただいまでござる」
――それから間もなくして、雪代 縁が上海から日本に帰ってきていた。
琴乃は斎藤の情報を得る為、警察庁にいる浦村署長を訪れた。
「琴乃さん!?」
琴乃は頭を下げた。
「――その様子だと 五郎様は来られていないんですね……」
「……ああ」
悪いね 琴乃さん…
藤田君に口止めされているんだ……
琴乃は悲しそうに俯いていた。
一様―――…
それから、琴乃は剣心たちと共にいる事が多くなった。
そして、今日の五時からは赤べこで琴乃たちの無事を祝っての宴会を行う事になっており、琴乃たちは赤べこで剣心を待っていた。
そこに、鯨波 兵庫が赤べこに入って来た。
「いらっしゃいましぃ! 何にしますぅ?」
鯨波は琴乃の横を通り過ぎた。
「!」
微かに…火薬の匂い…?
琴乃は振り返った。
妙に注文をした鯨波は、背を向けて座っていた。
…気にし過ぎかな―――…?
その後、赤べこを出ようとした鯨波は入って来た剣心とすれ違った。
剣心は自分が右腕を切り落とした男である事に気づいたが、鯨波は気にも留めない様子で 赤べこを出て行った。
剣心も合流し 赤べこを貸し切った宴会が始まった――…
――その帰り道の事、琴乃たちは神谷道場へ向かって歩いていた。
弥彦はかなり酔っ払っていて 左之助がおんぶしていた。
「…弥彦君 大丈夫?」
「こんくらいどうって事ねーよ!」
「…ふふっ。 可愛い」
「お前こそ 全然飲んでなかったじゃねェか?」
「……え?」
「兄妹揃って 下戸か?」
「……飲めなくはないんですが……最近は気分が優れなくて…」
「…どこが具合でも悪いでござるか? それなら 恵殿に…」
琴乃は首を横に振った。
「大丈夫ですよ」
そして 微笑んだ。
その後、剣心たち 男たちは川原に座り 鯨波の話をし、琴乃たち女たちは蛍を近くで見て 楽しんでいた。
ドウ!!
突然、遠くから 轟音が聞こえた。
剣心は“アームストロング砲”である事を言ったが、平和になった明治と言う事もあり 琴乃たちは半信半疑だった。
その時、前から警官隊がやって来た。
その中に浦村署長がいた。
「砲撃ですよ!! 何者かが上野山から市街地に一撃! “赤べこ”と言う牛鍋屋が直撃を被りました!!」
「「「!?」」」
琴乃たちは目を見開いて驚いた。
浦村署長は警官隊総動員で上野山を囲む事を言った。
「拙者も上野山へ向かう! 皆は赤べこに戻るでござる!!」
剣心は上野山へ向かって走り出した。
「待った! 俺も行くぜ!」
「俺も!」
左之助と弥彦も、剣心のあとを追って 上野山へ向かって走り出した。
「弥彦 あなたは止しときなさい!! コラ 弥彦!」
「薫さん! 弥彦君は私に任せて 赤べこへ!」
「琴乃さん!?」
琴乃は微笑むと、剣心たちを追って 上野山へ向かって走っていった。
薫たちが赤べこに着くと、赤べこはアームストロング砲によって 全壊していた。
その頃、琴乃は道端で座り込んでいる弥彦を見つけた。
「弥彦君!?」
「…心配ねェ…大丈夫だ……」
「……弥彦君…」
…どうして男の子って…自分一人で何とかしようとするんだろう―――…?
剣心と左之助は上野山にいた。
そこには、へし折れた一本の神木と“人誅”と書かれた紙切れがあった。
「天誅は“天が下す裁き”の意」
「ならば人誅とは…」
「“例え天が裁か無くとも 己れが必ず裁きを下す”と言う 全く逆の正義の意思表示…」
剣心は自分に対する復讐者の仕業である事を悟った。
「剣心―――…」
「…大丈夫でござるよ」
己れの過去とその罪は 受けとめる覚悟はできている
その頃、横浜のとある別荘地では、縁たち “六人の同士”が集まっていた――…