4.偲ぶ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日、非番だった琴乃は一人、京都の街中を歩いていた。
「…結局 斎藤様に誕生日の贈り物 渡しそびれちゃったな…」
その時、琴乃の目に神社が目に入った。
「………」
斎藤様 この間怪我して帰ってきたからなぁ……
琴乃は神社でお守りを購入した。
「誕生日の贈り物の代わりになるかわからないけど…喜んでくれるといいな…」
【おい ばばぁ! 金をよこせ!】
「!」
琴乃はお守りをしまって 声がした方を見た。
そこにはおばあさんが浪士らしき者たちに囲まれていた。
「何をしているんですか!?」
琴乃はおばあさんを庇う様に、浪士たちの前に立ち塞がった。
「あぁ? なんだ てめェは?」
「…名乗る必要はないです」
「なんだと!?」
「あ! こいつ この間新撰組にいた奴だ!」
「!」
「なんだと! じゃあ こいつは先生を捕らえた奴らの仲間か!」
怒りを露にした浪士たちは刀を抜いてきた。
「!」
…先生……?
この間 原田さんたちが捕らえてきた人の事かな……
身の危険を感じた琴乃は刀に手をかけた。
「「「先生の仇!!」」」
浪士たちは琴乃に向かって来た。
琴乃は刀を抜いて相手の刀を流し、浪士たちを倒していった。
「おばあさん 早く逃げて下さい!」
「……でも…」
「早く!」
「てめェ 何て事してくれる!!」
浪士の中で一番腕が立つであろう男が琴乃に向かって来た。
琴乃と浪士の刀がぶつかり合った。
「貴方たちこそ! 町民から金を取り上げようなんて 何を考えているんですか!?」
「黙れ…!」
「っ!」
琴乃は少し斬られ、後ろに押された。
「おばあさん 早く逃げて!」
「…傷ついてるあんたを置いていけないよ…っ!」
琴乃のお腹から血が流れて出ていた。
「私は大丈夫ですから! 早く!」
「……はい…!」
琴乃の気迫に押されたおばあさんは去っていった。
「余所見してんじゃねェよ!」
「!」
琴乃は浪士の刀を受け止めた。
…が その瞬間、琴乃の刀の切先が折れた。
「!?」
武器破壊!?
「油断したな!」
浪士は琴乃の右肩に刀を差した。
「痛…っ!?」
琴乃の肩から血が流れ出し、腕を伝い 指から地面に垂れ落ちた。
「どうした!? もう 終わりか!?」
浪士は刀を深く刺した。
「…っっ…!」
琴乃の手から刀が落ちた。
「随分と呆気なかったな」
浪士は刀を抜いた。
「……っ…」
琴乃は右肩を左手で押さえた。
浪士は刀を振り上げた。
「これで終わりだ」
「!?」
【琴乃!!】
「!」
琴乃は駆けつけてきた藤堂に名前を呼ばれ はっとし、目つきが変わった。
そして 咄嗟に浪士の刀をかわし、地面に落ちていた折れた切先を左手で掴み 浪士の右太腿に深く突き刺した。
「うがあぁ!!」
浪士は悲鳴をあげた。
――その後、巡察中だった八番隊により 浪士たちは捕縛された。
「琴乃 大丈夫か?」
「……藤堂…さん……」
琴乃はそこで気を失った。
藤堂は琴乃の体を支えた。
「琴乃!? 琴乃――…!!」
気を失った琴乃は藤堂によって 屯所の自分の部屋に運ばれ、山崎に手当てを受けた。
「琴乃の傷の具合は?」
「…命に別状はありませんが…、右肩の傷がひどく しばらく刀を握れなくなるでしょう…」
「……そうか…」
「…それと 琴乃さんの着物の中からこれが…」
そう言って 山崎はお守りを見せた。
「……これは…?」
「……わかりません」
「…もしかして これ……」
沖田たちはお互いに見合った。
「かもな」
「ちょうど謹慎中で斎藤さん いませんし、秘密にしておきましょう――」
近藤たちは一斉に頷いた。