1.番い
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
神谷道場では斎藤と剣心の死闘が繰り広げられていた。
闘いは斎藤が圧倒をしていた。
が、剣心の動きは深手を負っているのにも関わらず 段々と速くなってきていた。
「………」
やはり睨んだ通りだ…
緋村 剣心は剣を振るう毎に自ずと知らず徐々に…
しかし 確実に人斬り抜刀斎に立ち戻っている……
少しして、剣心の呼吸の乱れがなくなり、目つきが変わった。
斎藤は正真正銘の牙突の構えをし、剣心に向かっていった。
だが、斎藤の牙突はかわされ、遠心力を使った剣心の一撃を首の後ろに食らわされた。
斎藤は壁に突っ込んでいった。
「いくら 牙突が凄かろうと、こんな短時間に四回も見せられれば 返し技の一つや二つ 阿呆でも思いつくさ」
剣心は斎藤の方へ体を向けた。
「立て 斎藤。 十年振りの戦いの決着がこれしきではあっけないだろ」
「フ…フフ…。 本当は“力量を調べろ”とだけ言われていたが…」
斎藤は立ち上がった。
「気が変わった。 もう殺す」
「寝惚けるな。 “もう殺す”のは“俺”の方だ」
「「!?」」
琴乃は警視庁に向かっていた。
さっきから胸騒ぎが止まらない…
その時、大型馬車とすれ違った。
「!」
一瞬 馬車の中に警視総監である川路が見えた。
「!?」
今のは確か…一様の上司の川路さん!?
琴乃は馬車の方へ方向を変え スピードを上げ走り出した。
そして、馬車に乗り移り、扉を開けた。
「川路さ…!?」
琴乃は川路と向かい合って座っている人物を見て 目を見開いて驚いた。
「「おおおお!!」」
斎藤と抜刀斎と化した剣心は向かっていった。
「誰かあの二人を止めて―――ェッ!!」
薫の悲痛の叫び声が響き渡った。
ガキイィィッ!
斎藤の刀が折れた。
「!」
「次は貴様の首を飛ばす」
剣心の刀が怪しく光った。
「止めて! 誰かあの二人を止めて!!」
【無理だぜ 嬢ちゃん】
斎藤にやられて昏睡状態だった左之助が、恵に肩を借りて やって来た。
「俺たちには 止められねェ…。 剣心たちは 完全に明治の東京でなく、幕末の京都の中で闘っている…。 いくら呼んでも俺たちの声はもう届かねェ…」
「…っ……」
「この闘いを止められるのは 幕末の動乱を生き抜いた者……それも激動の京都を味わった一部の者だけだ…」
その頃、街中を琴乃たちを乗せた大型馬車が走っていた。
「………」
琴乃は前に座っている 明治政府内務卿である大久保を見ていた。
まさか 御大尽が出てくるなんて…
「川路君」
「は 何でしょう?」
「斎藤君が神谷道場とやらに入って そろそろどれくらいになる?」
「!」
一様とどう言う関係が…?
川路は懐中時計を見た。
「大体…四時間と半ですな」
「そうか…手遅れになるかもしれんな。 あと十分で到着する様 馬車を急がせてくれ」
「は」
川路は馭者に急ぐように伝えた。
大久保は琴乃を見た。
「ところで君は…」
「ご挨拶が遅れてしまいました。 斎藤 一の妻をしております、斎藤 琴乃と申します」
そう言って 琴乃は頭を下げた。
「そうか。 君が斎藤君の…」
「……あの…」
「ん?」
「…一様は今…何をしているのでしょうか…?」
「あの男は何も話していないのか…」
川路は琴乃に斎藤の任務を話した。
「…そんな任務を…」
「君が心配する様な事はないと思いたいが…」
琴乃は首を横に振った。
「きっとあの人の性格なら…恐らく……」
…力量を調べるだけでは 収まらないはず……
琴乃は震える自分の手を握り締めた。
どうか…ご無事で――…