3.恋慕う
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琴乃は斎藤に髪を結ってもらっていた。
「…あの…「動くな」」
琴乃は斎藤の顔色を伺おうと ちらっと見ようとしたが、正面に顔を戻した。
斎藤は琴乃に髪の結い方を教えながら 琴乃の髪を結った。
「…あの……斎藤様…」
「……なんだ?」
「斎藤様は毎日 自分で髪を結ってらっしゃるんですか?」
「無論だ。 ほら できたぞ」
琴乃は鏡で自分の頭を見た。
「すごい! 綺麗!」
琴乃は斎藤に視線を戻した。
「ありがとうございます!」
「……さてと あとはさらしだな」
斎藤は床に置いてあったさらしを手に取った。
「!?」
琴乃は目を見開いて驚いた。
「何をそんなに驚く? 自分で巻けないんだろう?」
「………」
琴乃は頷いた。
「恥ずかしいのなら 背を向けていればいい」
「……でも…」
「早くしろ」
「……はい」
琴乃は渋々 背中を向けた。
そして 着物を脱いだ。
「!」
「……っ…」
恥ずかしい…
その後、琴乃は背中越しにさらしの巻き方を教わった。
「斎藤様はさらしを巻いたことがあるんですか?」
「怪我をした時にな。 痛くないか?」
「…はい 大丈夫です」
「なら これで終わりだ」
斎藤は立ち上がった。
「着物くらいは自分で着れるだろう?」
「はい」
「八時までには広間に来い。 遅れるな」
琴乃は斎藤の方へ向き直った。
「ありがとうございました」
「……明日から 両方とも自分でやれよ」
「……頑張ります…」
斎藤は背を向けて 襖を開けた。
「その綺麗な肌に傷を付けないようにな」
「え?」
斎藤はそのまま振り返らず 琴乃の部屋を出ていってしまった。
どう言う意味だったんだろう―――…?
八時 少し前、広間に新撰組隊士全員が集まっていた。
「間に合ったっ…!」
「「「!」」」
しばらく沈黙の時間が流れた。
「……もしかして……遅刻…ですか…?」
「大丈夫だよ。 今 ちょうど八時になったところだから」
琴乃は山南の言葉に安堵のため息をついた。
「……よかった…」
「……で なんで羽織と鉢金をしているんだ?」
「………え?」
琴乃は斎藤を見た。
斎藤はため息をついた。
「……阿呆が」
「その羽織と鉢金はね、儀式とか出陣する時とかにする物だよ」
「え!? そうだったんですか!?」
沖田たちはクスクスしていた。
琴乃は斎藤に歩み寄った。
「どうして 教えてくれなかったんですか!?」
「……フン。 俺たちが屯所にいた時にその羽織と鉢金をしているのを見たか?」
「……う…」
確かに……
していたのは確か…私を助けてくれ時……
「まあ いいじゃないか。 君のやる気は感じたよ」
「……近藤さん…」
その後、琴乃は羽織と鉢金を取り、隊士たちに、“男として” 琴乃の紹介がされた。
そして、勤務割が発表され 琴乃は非番だった。
「?」
…初日から非番…?
【おい】
「!」
琴乃は振り返り 声の主を見た。
そこには 非番用であろう着物を着た斎藤が立っていた。
「何をぼさっとしている? ついて来い」
「は はい!」
琴乃は斎藤のあとを追った。
琴乃は斎藤に連れられ、屯所を出た。
「…あの…非番って何をするんですか?」
「碁や将棋、読書や京都見物、稽古や教養 等、各々自由に過ごす」
「……じゃあ これは……?」
「……何も言わず ついて来い。 今日はお前を連れて行きたい所がある―――」