3.恋慕う
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晴れて 新撰組に所属した日から一週間が経ち、琴乃の傷は完治した。
そして、新撰組の活動をする初日、琴乃は斎藤に叩き起こされる朝から一日が始まった。
「いつまで寝ているつもりだ?」
「!」
琴乃は飛び起きた。
「「っ…!」」
その拍子に 琴乃と斎藤は額をぶつけた。
「……とんだ挨拶だな」
「ご ご ごめんなさいっ!」
だって 六時に起床なんてした事ないよっ…!
琴乃は布団を片付けて 部屋を掃除した。
「全く 近藤さんから特別に、一人で個室をやっていると言うのに 初日から寝坊とはな」
「……すみません」
「………。 この後は朝食だ。 俺は済ませたから 一人で行け」
「…はい」
そして 急いで朝食を食べた後、自分の部屋に戻ろうとした。
【琴乃】
「近藤さん! おはようございます」
琴乃は頭を下げた。
「少しいいかな」
「?」
琴乃は近藤に連れられ ある部屋の前に着いた。
近藤は部屋の襖を開けた。
中には 斎藤たちがいて、その部屋は局長たちと組長たちの部屋だった。
「あ 琴乃ちゃん! おはよー!」
「おはようございます 皆さん」
琴乃は頭を下げた。
近藤は部屋の中に入った。
だが、琴乃は部屋の前で立ったままだった。
「そんな所で立ってないで、入っておいで」
「……お邪魔します」
琴乃は部屋に入った。
「…琴乃 寝坊しちゃったんだってね」
「……はい」
原田は琴乃の髪に触れた。
「寝癖 ついてるぜ!」
「っ!」
「朝から斎藤君に起こされるなんて悪夢だね…。 かわいそー…」
「……起こす身にもなってくれ 藤堂君」
「でも その分、可愛い寝顔が見れたんじゃないですか?」
そう言って 沖田は悪戯な笑みを浮かべた。
「っ!」
琴乃の顔が赤くなった。
斎藤はため息をついた。
「……それ以上言うと 怒るよ 沖田君?」
「…あはは…冗談ですよ?」
「……フン」
危機感の全くない寝顔で呆れたが――…
「琴乃 ここへ」
「はい」
近藤に手招きされた琴乃は、近藤の前に座った。
近藤は琴乃の前に小太刀と浅葱色のダンダラ羽織、着物と袴、鉢金を置いた。
「琴乃の刀と服だ」
「……私の…?」
「ああ。 扱いやすい様 少し短めの刀にしてある。 服に関しては、新撰組の一員として 俺たちと同じ物を着てもらう」
「あと その長い髪は邪魔になるだろう? これを使って結うといい」
近藤は橙色の紐を差し出した。
「…ありがとうございます」
琴乃は橙色の紐を受け取った。
「それと…」
近藤はさらしを差し出した。
「…申し訳ないが、ここでは女である事を忘れてくれ」
「!」
琴乃は目を見開いて驚いた。
…そうだよね……
…私は今日から新撰組の隊士になるんだから――…
浅葱色のダンダラ羽織等を受け取った琴乃は部屋を出ていった。
「琴乃さん ちゃんと着れるかな」
「俺 様子見てこようかな」
藤堂が立ち上がった。
「じゃあ 俺も !」
原田が立ち上がろうとすると、斎藤に制止された。
「斎藤?」
「世話係は私なので」
そう言って 斎藤は琴乃の部屋に向かっていった。
「……なんか…斎藤 少し変わったな…」
「そうですね」
いい意味で―――…
その頃、琴乃はまず 髪を紐結う為の紐に苦戦していた。
「……結えって言われても……自分で結った事ないし…上手くできないっ…!」
琴乃は床に置いてあるさらしを見た。
「さらしなんて巻いたことないよっ…!」
やっぱり あの時聞けばよかったかな……
…でも なんか恥ずかしいし……
【おい いるか?】
「!」
琴乃は襖の方を見た。
「…斎藤様?」
【ああ。 入るぞ】
「はい」
斎藤が琴乃の部屋に入って来た。
「まだ着てもいないし、髪も結えてないじゃないか…」
「すみません…」
琴乃は恥ずかしそうにした。
「……さらしを巻くのは疎か…、…髪を…自分で結った事がなくて……」
「………」
斎藤は呆れて ため息をついた。
「貸してみろ。 結ってやる――」