3.恋慕う
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そして 琴乃が新撰組に加入する事が決まった後、改めて お互いに自己紹介をし合った。
「琴乃ちゃんってまだ十一歳なんだ! 可愛い!」
「なんか 妹ができた!って感じ!」
「ちょっとっ 髪の毛 わしゃわしゃしないで下さいっ!」
「えー いいじゃん!」
「髪の毛 柔らかい!」
早速 琴乃は可愛がられていた。
「藤堂、原田 それくらいにしてあげなさい」
「「はーい!」」
琴乃はため息をついた。
やっと解放された……
【大変そうですね】
琴乃が顔を上げると 笑みを浮かべた沖田がいた。
「……沖田さん」
「大丈夫ですか?」
「はい。 …あの…斎藤様は?」
「斎藤君なら…ほらあそこですよ」
斎藤は一人、襖に寄り掛かっていた。
「一人でいる事が多いから あの人は…。 今 呼んでくるから ちょと待っててね」
「…そうなんだ。 お願いします」
沖田は微笑んだ。
そして 斎藤を琴乃の布団の所に連れてきた。
「なんだ?」
「あの…助けて頂いて本当にありがとうございました」
琴乃は頭を深々と下げた。
「俺は隊務を全うしただけだ」
「……ですが 私の命の恩人には変わりません」
「……フン」
少し離れた所では沖田と近藤が話していた。
「…それで、琴乃さんは誰が面倒をみるんですか 近藤さん?」
「ああ それなら…」
近藤は琴乃の所にいる斎藤を見た。
「斎藤に任せるよ」
「…そうですね」
面白い事になりそうだな…
近藤は斎藤に歩み寄った。
「斎藤」
「何でしょう?」
「君に琴乃の世話係を任せたいんだが」
「! …私…ですか?」
「!」
「元々 君が連れてきた子だろう? …何か断る理由でもあるのか?」
「……いえ…」
「なら 決まりだ」
「……わかりました…。 …私の方で面倒をみます」
「頼んだよ」
近藤は琴乃を見た。
「そう言う事だから、何か困った事があったら 斎藤を頼りなさい」
「はい」
琴乃は斎藤を見た。
「よろしくお願いします 斎藤様」
そして 頭を下げた。
「……女だからと言って 特別扱いはしないからな」
「はい!」
琴乃は笑った。
「えー いいなー 斎藤君!」
「嫌ならいつでも変わってやるよ 斎藤!」
「…結構です」
沖田は斎藤の耳元に口を近づけた。
「よかったですね 斎藤さん」
「……フン」
…君の方がよっぽど人が悪い―――…
こうして、琴乃は正式に新撰組に所属した。
「…琴乃さんが新撰組だったなんて知らなかったよ!」
「…拙者も知らなかったでござるよ…」
「え? 剣心も?」
薫は剣心を見た。
「私が新撰組に所属していたのを知っているのは、京都へ発つ前 斎藤様と闘った時にいた、左之助さんと弥彦さんだけです」
「…左之、斎藤とまた闘っていたのでござるか?」
「おうよ!」
琴乃は微笑した。
「…でも 新撰組に所属していたのなら どうして剣心は知らないんだろう?」
「因みに 琴乃さんは斎藤と同じ三番隊に所属していたの?」
「…ええ」
「………」
三番隊とは何度も交戦したが…琴乃殿がいた記憶がござらん……
琴乃は剣心を見た。
「剣心さんが知らなくても、何も不思議な事はありません」
「?」
「所属していたと言っても 基本的に夜や大きな闘いの時は…留守番でしたから……」
「そうでござったか…」
琴乃は蒼紫たちに視線を戻した。
「新撰組に所属していたと言うよりは、共に生活をしていたと言う程度です」
「でも 稽古はしてたんだろ?」
弥彦は琴乃の刀を見た。
「刀 持ってるくらいだし」
「……ええ」
琴乃は愛おしそうに刀に手を触れた。
「……一様にビシバシ鍛えられていました……色々な面で……」
「「「………」」」
きっと 大変だったんだろうな―――…