3.恋慕う
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昏睡状態だった琴乃が目を覚ましたのは、志々雄との死闘…そして斎藤が姿を消した日から二週間経った頃、闘いで半壊してしまった葵屋の新築まで寄宿させてもらっている 二階のある一つの部屋だった―――…
「……ここは…」
「!?」
琴乃が目覚めた事を聞いた操たちは、琴乃がいる部屋に入ってきた。
「「「琴乃(さん)!!!」」」
「しーっ!」
琴乃の様子を見ていた恵は 人差し指を唇に当てた。
操たちは口を手で覆った。
操たちは部屋の中に入り 座った。
「具合はどう?」
「………」
琴乃は天井を見上げた。
「……長い…とても長い夢を見ている様でした…。 …でも…」
琴乃の瞳に涙が浮かんだ。
「…夢じゃ…ないんですよね……? …一様は……」
そして 琴乃の瞳から涙が流れ落ちた。
「「「………」」」
操たちは黙り込んでしまった。
琴乃が再び眠ってしまった後、操たちは白べこの一階で 琴乃の事を話していた。
「琴乃さん……大丈夫かしら?」
「傷の方は治ってきているけど…心の方はね……」
恵は怒りを露わにした。
「全く あの男はあの男で、傷が癒えたら “妹”を放っておいて 禅寺に行くなんて!!」
「蒼紫様にも思う所はある……って」
「そうそう あいつなりにも……って」
操たちはお互いに見合い、一斉に恵を見た。
「な なによ?」
「……今、“妹”って…言わなかったか…?」
「…言ったけど…、みんな…知らなかったの? 琴乃さんが四乃森 蒼紫の双子の妹だって……」
操たちの間に沈黙が流れた。
「「「えー!! 琴乃(さん)が四乃森 蒼紫の双子の妹!!?」」」
そして 驚きの声をあげた。
「しーっ! 上には琴乃さんも剣さんもいるんだから!」
「そんな事言われても 驚かないわけないじゃない! …私…聞いた事もなかったし…」
そう言って 操は翁を見た。
「儂も知らんかったぞ」
「でもよ、そんな情報 誰に聞いたんだよ?」
「…斎藤 一、本人よ」
恵は剣心が京都を立った後、神谷道場に現れた蒼紫と斎藤の会話を話した。
操たちと別れた後、左之助は剣心が安静にしている二階の部屋にいた。
「そうか…琴乃殿が…。 よかった」
剣心は安堵の表情をした。
「そう言えば 剣心! 琴乃が蒼紫と双子の妹って知ってたか!?」
「!?」
剣心は目を見開いて驚いた。
剣心と左之助の脳裏に琴乃と蒼紫の顔が浮かんだ。
「……全然 似てないでござるな…」
「…ああ」
左之助は真面目な顔になった。
「それはいいとして、…琴乃の奴、斎藤の事ですっかり 気落ちしちまってるんだ…」
左之助は瞳を伏せた。
「…あのヤロウが死ぬとはとても思えねェ。 が 生きて脱出できるはずもねェ…」
「………」
剣心は瞳を伏せた。
…斎藤…お主 本当に―――…
その日からと言うもの、眠りから目覚めた琴乃であったが、部屋にずっとこもっていた。
【琴乃さん 起きてます?】
冴は毎食、琴乃の部屋にご飯を運んでくれていた。
「…はい」
だが、琴乃は一口も口にする事ははなかった。
「朝食ですよ」
冴が部屋に入ってきた。
「…すみません。 折角持ってきてくださったのに、今日も食欲がなくて……」
「構いませんよ。 少しでも 食欲あったらお食べになって」
そして 琴乃の前に食事を置いた。
「!」
琴乃はいつもと違う食事に驚いた。
「今日はかけそばにしたんよ」
「………」
「もしかして そば好きやった?」
琴乃はゆっくり頷いた。
あの人が好きな食べ物だったから―――…
冴が部屋を去った後、琴乃はかけそばを見ていた。
…が 食べる気は起きなかった。
琴乃は冴が部屋を出て行く時に言った言葉を思い返した。
“気が向いたら 下で一緒に食べましょうね。 皆さん 待ってますから”
「………」
心配 かけてしまっているんだろうな……
琴乃は瞳を伏せた。
…でも―――…