2.嘆き
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「いざ…」
「勝負…」
剣心と志々雄はお互いに向かっていった。
宗次郎の別れの贈り物として受け取った、“天翔龍閃”の左足の情報によって 志々雄は止めて 捌いた。
そして 終の秘剣 “火産霊神”を繰り出してきた。
…だが、“天翔龍閃”の一撃目が放った“吸い込む真空”によって 身体の自由を奪われた志々雄は、二撃目を脇腹に食らい 血を吐きながら体が宙に浮いていき 地面に落ちていった。
志々雄は重度のダメージによってなかなか立ち上がれず 苦しんでいた。
が、全身火傷の後遺症の、体温上昇による体の限界を迎え、志々雄は口から炎を吐き出し 更に苦しみ出した。
由美は持っていた懐中時計を落とし、苦しんでいる志々雄に駆けつけ 手を平げ 庇った。
「もういいでしょ!! これ以上 志々雄様を苦しめないで!!」
「………」
「お願い…」
剣心は純粋に志々雄を助けたいと言う由美の気持ちを受け、左手を刀から放した。
「甘えよ 抜刀斎。 闘いはまだ続いているんだぜ」
「!」
志々雄はその隙をつき、由美もろとも剣心を刀で貫いた。
「「「!!?」」」
琴乃たちは目を見開いて驚いた。
由美さん―――…
琴乃は由美と話した時の事を思い返した。
「あの…手当して下さって ありがとうございました」
琴乃は頭を下げた。
「全くよ。 勝手に宇水のやつが連れてきたと思ったら、私が手当をしなきゃいけないなんて…!」
由美は怒りを露にした。
「……すみません」
琴乃は申し訳なさそうにした。
「………包帯とかは置いておくから 次からは自分でやってよね。 …志々雄様の命じゃなかったら やってないんだから…!」
「…はい。 ありがとうございます」
琴乃は笑った。
「………」
由美は微笑した。
少しだけ話をしただけだったけど…
…優しい人だった……
…それと……
…私と同じ…、唯…愛する人に尽くしたいって言う想いが…伝わってきた気がしたんだ―――…
志々雄に刀で貫かれた由美と剣心は互いに倒れた。
「…志…志々雄 貴様…そこまでして……自分を愛する女性を裏切ってまで勝ちを得たいかァ!!」
「……裏切るだと…? てめえのものさしで語るんじゃねェよ」
志々雄は由美の顔に触れた。
「コイツは誰より俺を理解し 俺は誰よりコイツを理解している」
「嬉…しい…」
由美は嬉し涙を流しながらそう言った。
由美は初めて“闘い”の中で役に立てた事を語った。
由美は志々雄の手に触れた。
「勝って下さいませ 志々雄様。 由美は 一足先に…地獄で…お待ちして…おります……」
志々雄は微笑し、由美は志々雄の腕の中で息を引き取った。
琴乃の瞳から涙が流れ落ちた。
「由美さんっ!!」
「…琴乃?」
「どうして! あなたは…っ!」
志々雄は琴乃を見た。
「由美さんはあなたの力になりたかったかもしれない…! でもっ! 愛する人を手にかけてまで 得る勝利に何があるって言うのっ!」
琴乃は一歩 前に出た。
「愛する人がいなくなった世に生きて 何の意味がっ! ゴホッ ゴホッ」
琴乃は吐血した。
「「「琴乃(殿)!」」」
「……お前ならわかると思ったんだがな」
「っ!」
「なら…あんたはどうだ 斎藤 一」
志々雄は斎藤を見た。
「あんたはその女を殺してでも 勝利を選ぶだろう?」
「!?」
琴乃は恐る恐る斎藤を見た。
…一様……
無言だった斎藤はため息をついた。
「所帯を持った事もねェお前が 女を語るな」
斎藤の目つきが鋭くなった。
「唯の女と妻じゃ 重みが違うんだよ。 阿呆が」
「! ……一様…」
琴乃は嬉しくなり 満面の笑みを浮かべた。