2.嘆き
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17時になり、剣心と志々雄の最終戦が 闘場“大灼熱の間”にて開始した。
剣心は、志々雄の壱の秘剣 “焔霊”の火炎に困惑した。
だが、剣心はたった一撃で“焔霊”の正体が 志々雄が今まで殺してきた人たちの“人間の脂”である事を見破った。
剣心は飛天御剣流 “龍翔閃”を繰り出したが、一度見た技が効かない志々雄に手で防がれた。
「抜刀斎…お前も 俺の糧となるか?」
そう言って 志々雄は刀を地面に刺し、剣心の頭を掴んで 肩に噛み付いた。
「ぐぁああああ」
剣心は悲痛の叫びをあげ そのまま後ろに倒れ込んだ。
その頃、蒼紫と別れた琴乃と斎藤は闘場“大灼熱の間”に向かう隠し通路を歩いていた。
「………」
…怖い……震えが止まらない…
…私が一番 信じなきゃいけないのに……
琴乃の足が止まった。
…もし 一様に何かあったら……私―――…
琴乃は自分の右拳を左手で握りしめた。
「さっきから無言になったと思ったら 何を考えている…琴乃?」
「!」
琴乃が斎藤を見ると、立ち止まって 自分を見ていた。
「………」
琴乃は瞳を伏せた。
「無用な心配はするな」
「っ!」
琴乃は斎藤に抱きついた。
「……あなたにとっては “無用な心配”なのかもしれない…っ! でもっ……私にとってはっ…」
…何よりも大事な事なの…っ!
「………」
斎藤は琴乃を抱きしめ返した。
「安心しろ。 …もし 俺たちが負けたら、お前も同じ運命だ」
「そんな弱気な事っ !」
琴乃の頬に斎藤の手が添えられた。
「戯言を素に受けるな」
「……一様…ん」
斎藤は琴乃に口付けた。
余計な心配のし過ぎなんだよ…阿呆が―――…
起き上がった剣心は志々雄に食い千切られた肩を押さえた。
志々雄は弱肉強食の話をした。
「この俺より弱え明治政府の連中に この国の覇権を握る資格はねェ。 覇権を握るのはこの俺一人」
志々雄は左の拳を握った。
「俺の国盗りは この国の摂理!」
剣心はそれを否定し 立ち上がった。
「“理由”じゃなくてよ、“摂理”だって言ってんだろ」
「摂理だろうと 拙者には出来ぬ!!!!」
志々雄は地面に刺してあった刀を抜き 剣心に向かっていった。
剣心は志々雄の壱の秘剣 “焔霊”を拳で防ぎ わき腹に一撃を叩き込んだが、効かない様子の志々雄は剣心を斬り返した。
志々雄は倒れそうになった剣心の胸倉をつかんだ。
「言ったろ? “華々しく散った方がいい”ってよ」
「剣心!!!」
「弐の秘剣 “紅蓮腕”!!!」
志々雄の手甲の表に仕込んだ火薬によって小爆発を起こし、剣心は吹き飛び 瀕死状態になった。
呆気なく終わってしまった事に不満な志々雄は背を向けて 刀を鞘にしまった。
【手負い一人片付けた程度で 油断するその甘さが、今も昔も貴様の命取りだ】
「「「!!」」」
「志々雄 真実、その首もらった!!」
斎藤が牙突で隠し通路の扉から牙突で 志々雄に向かって来た。
そして 斎藤は“牙突”を志々雄の額に食らわせた。
誰もが決まったと思ったが、志々雄は不気味な笑みを浮かべ 反撃してきた。
斎藤は宇水に受け、琴乃が手当した両足の太腿を斬られた。
「チッ」
斎藤の両足の太腿の包帯が血で染まっていった。
「…一様っ!」
琴乃は隠し通路の扉から出て 闘場“大灼熱の間”に入り 左之助の横に立った。
志々雄は額の包帯を取った。
「お前はより俺たちに近いから 必ず奇襲で来るとは思っていたぜ」
そこには鉢金がしてあった。
「調べが足りなかったな 斎藤 一。 お前は千載一遇の勝機を逃した」
「………」
「その足の傷は宇水がつけたものだと思うが、それでこれだけの距離の牙突を撃つとは大したものだ。 しかし 今ので最後、打ち止めだ」
「………」
「あの世で抜刀斎と昔話でもするんだな。 さぞかし話が弾むだろうぜ」
「…まだくたばる訳にはいかん。 お前を抹殺するまではな」
「元新撰組の斎藤 一が、あんなくだらねェ明治政府の為に命を掛けるとはね…。 一体何の為に闘っている? まさか抜刀斎の様に甘っちょろい正義なんて言うもんじゃねェだろ」
「俺が闘う目的は 昔も今も唯一つ…」
斎藤は刀を体の前で立てた。
「俺自身の正義の為だ。 即ち “悪・即・斬”」
「フン。 理屈抜きの“悪・即・斬”か…。 抜刀斎と違ってわかりやすいな」
斎藤は牙突の構えをした。
「行くぞ」
そして 志々雄に向かっていった。
一度見た技が効かない志々雄は刀で払い 斎藤の刀を指で掴み、指を払って 斎藤を少し後ろに下げさせた。
「両足の傷が刺突をだいぶ鈍らせている様だな。 つまり 宇水もめでたく俺の糧となる事ができたと言う訳だ。 もっとも その程度の平刺突、お前が傷ついてなくても 俺にとってはどうと言う事はないがな」
「!」
一様の牙突がどうと言う事もないなんて…
…そんな事、絶対ないっ…!
一様は強いんだからっ!!