2.嘆き
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「…やっと ちゃんと会えた……蒼紫…お兄さん……」
琴乃の瞳から涙が流れ落ちた。
「……琴乃…?」
「……はいっ!」
琴乃は涙を拭って 笑いかけた。
琴乃は蒼紫をソファに座らせて手当てをしていた。
「いいのか? お前はこんな所でのらりくらりしていて 抜刀斎たちはとうの昔に先へ向かったぞ」
斎藤は煙草の煙を吐き出した。
「そうか。 ならば結構。 事は予定通り順調に進んでいる」
「何…」
「…一様 それはどう意味ですか?」
斎藤は微笑して、ポケットから取り出した小さく折りたたんでいる志々雄のアジト中核部の見取り図を蒼紫に向かって飛ばした。
蒼紫は見取り図を掴み 中を見た。
「これは――…」
蒼紫の手当を終えた琴乃は見取り図を覗き込んだ。
「私がさっき見た見取り図…」
「御庭番衆の情報収集力もなかなかのものだが、この国の情報収集なら この国の国家機関が一番 優れている。 俺が警視庁の密偵をやっている理由の一つさ」
「………」
「ここまで入れればもう道案内など不要。 二手に別れた方が得策と言うものだ」
「つまり…抜刀斎たちを囮の捨て駒にすると言う事か?」
「!?」
「まあ そんなところだ」
そう言った 斎藤は不気味な笑みを浮かべていた。
「一様っ! それはどう言う事ですか!?」
琴乃は斎藤に食って掛かった。
「これはこの国の行く末を左右する“戦”だからな。 まずは勝つ。 それが何より優先する」
「…それでもっ! 誰かを捨て駒にして得る勝利なんて…っ!」
「…共倒れじゃ意味がないんだよ 琴乃」
「…っ……」
蒼紫は琴乃の頭を撫でて 慰めた。
斎藤は背を向けた。
「ならば “勝負”はどうする気だ?」
「!」
剣心さんとの決闘の事…
「幕末から続く お前と抜刀斎とのまだ決着を見ぬ勝負…、もしここで抜刀斎が命を落とした時はどうする気だ?」
「フン…」
斎藤は煙草を指で弾いて 捨てた。
「その時は当然 生き残った方の勝ちに決まっている」
「………」
「行くぞ 琴乃」
「……はい」
琴乃は斎藤に駆け寄り 後ろを歩き出した。
「琴乃」
「!」
琴乃は振り向いた。
「礼を言う」
「……どういたしまして」
そう言って 琴乃は微笑んだ。
その頃、宗次郎と別れ 抜道を通って志々雄の部屋に戻った由美は 宗次郎の別れの贈り物として預かった、“天翔龍閃”の正体が左足の踏み込みである事を話し、昔 幼い宗次郎が志々雄にもらった脇差を返していた。
志々雄は怒り 宗次郎に返してもらった脇差を握って 砕いた。
その後、志々雄と方治は闘場“大灼熱の間”にいた。
一方、志々雄の部屋で待っていた由美は剣心と左之助と合流していた。
由美は剣心と左之助を 志々雄と方治が待つ闘場“大灼熱の間”に案内した。
そして、剣心たちは互いに対峙した。
闘いの始まりはいつからだったか―――?
大久保 利通暗殺からか…
緋村 剣心が流浪人になった時か…
志々雄 真実が業火に焼かれた時からか…
思うにそれは 更に前…
陰陽が如く 二人の男が同じ“人斬り”になったその瞬間――…
そして 今……
最終戦開始!!