2.嘆き
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斎藤の言葉に驚いた琴乃は立ち止まっていた。
「蒼紫さんが 剣心さんと闘った…ってどう言う事ですか!?」
「ん?」
斎藤は立ち止まり 横目で琴乃を見た。
琴乃は不満そうな目で斎藤を見ていた。
斎藤は微笑した。
「そんな顔するな。 話してやる」
琴乃と斎藤は再び 志々雄のアジトの中を歩いていた。
「お前は四乃森 蒼紫の事を何も知らなかったな?」
「……はい。 …私のお兄さんであると言う事しか…」
…実感はまだないけど…
斎藤は蒼紫と剣心の関係を話した。
話し終えた斎藤は煙草の煙を吐き出した。
「……そんな事が…」
琴乃の瞳からは涙が流れ落ちた。
「もう過ぎた事だ」
斎藤は琴乃の涙を拭った。
「…っ……」
「お前が気にする事じゃない」
斎藤は琴乃の髪を撫でた。
切れてしまった草履を交換してきた宗次郎が戻って来たが、顔つきが変わっていた。
そして “縮地”の一歩手前を披露してきた。
「間違っているのは あなたなんだ!!!」
が、感情が表に現れてきた宗次郎の剣は剣心に見切られた。
剣心は刀の切先を宗次郎に向けたまま 止めていた。
「…お主の言う“あの時” “守ってくれなかった”と言う言葉、いくら考えても皆目 見当がつかぬ…。 だが…」
剣心は切先を下ろした。
「もしそれがまだ手遅れでなくば、今からではもう やり直しは効かぬのか…?」
「!」
宗次郎は、嵐の夜 自分を虐待してきた養父母とその息子たちを殺した時のことを思い返した。
“強ケレバ生キ 弱ケレバ死ヌ”
志々雄サンガ教エテクレタ真実ノコトバ
…デモ 弱イッテコトハ ソンナニ悪イコトナノ?
ボクハ人を殺シタケド、ホントハ殺シタリナンカシタクナカッタ
ソウダ…ボクハアノ雨ノ中デ笑ッテイタケド、ホントハ 泣イテイタンダ
ホントハ泣イテ―――
「う゛あああああああああ」
宗次郎は錯乱した。
「いきます。 覚悟はいいですね」
少し落ち着いた宗次郎は抜刀術の構えをした。
剣心も抜刀術の構えをした。
剣心と宗次郎はお互いに向かっていった。
そして 剣心は飛天御剣流奥義 “天翔龍閃”を繰り出し、宗次郎は“瞬天殺”を繰り出した。
結果、技の破壊力により、宗次郎の愛刀 “菊一文字則宗”を折り 剣心が勝利した。
「真実の答えは お主自身が今まで犯した罪を償いながら、勝負ではなく 自分の人生の中から見い出すでござるよ」
「! ………」
宗次郎は由美の膝に寝転んだ。
「厳しい人だなァ 緋村さんは…」
そして 顔を手で覆った。
「そうか…」
「簡単に答えを出させてくれないなんて 志々雄さんよりずっと厳しいや…」
宗次郎と由美と別れた剣心と左之助は志々雄が待つ所へ向かっていった。
剣心と対決し、やっと立ち上がれる様になった蒼紫は 床に刺さっている一本の小太刀を抜いたが、まだ力が入らず 手から落ちた。
【ほう…】
「!」
蒼紫が扉の方を見ると 琴乃と斎藤が立っていた。
「これはまた大層 手痛くやられたものだ」
「……蒼紫さん…!」
琴乃は蒼紫に駆け寄った。
「…お前…」
琴乃は床に転がっていた一本の小太刀を拾い、床に刺さっているもう一本の小太刀を抜いた。
そして 蒼紫に差し出した。
「…どうぞ」
「………」
その時、琴乃と蒼紫の手が触れ合った。
「「!」」
琴乃と蒼紫はお互いに似たものをより強く感じた。
「………」
蒼紫は驚いた顔で琴乃を見ていた。
「……っ…」
琴乃の瞳に涙が浮かんだ。
「…やっと ちゃんと会えた……蒼紫…お兄さん……」
修羅ではなくなった あなたに―――…