2.嘆き
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覚悟を決めた剣心は蒼紫がいる方治の間に入った。
蒼紫は修羅の様な目をしていた。
蒼紫は二本の小太刀を抜いた。
だが、剣心は修羅となりかけている蒼紫に対して 抜刀せず、地の利で闘いを始めた。
由美は戦況を電信で志々雄に報告した。
地の利を活かした闘いによって蒼紫を押していた剣心だったが、蒼紫の小太刀二刀流 “回天剣舞六連”によって 剣心は抜刀させられた。
そして 蒼紫に押され始めた剣心は飛天御剣流 “龍巻閃”で攻撃をしたが、防がれ 小太刀二刀流 “陰陽撥止”と蹴りによって 倒れた。
蒼紫は“人斬り 抜刀斎”を倒す為だけに全てを捨てて 修羅になった事を言った。
「立て 抜刀斎。 今こそ俺はお前を倒し 最強と言う華をこの手中に収める。 そして その時、俺の幕末も 最後の御頭としての人生も 全て終わりに出来る」
剣心は床に刀を差し 怒った。
「これより先は全力を以てお前を倒しにかかる」
剣心は刀を払った。
「但し あくまで拙者は拙者! “緋村 剣心”としてでござる!!」
蒼紫は剣心が逆刃刀のまま闘う事に 詭弁として怒った。
「生と死の間での修行なら 拙者も超えてきたさ」
剣心の目つきが変わった。
そして 剣心と蒼紫の闘いが始まった。
琴乃と斎藤は、斎藤の手当をする為に 琴乃に与えられた部屋にいた。
「一様、足 上げられますか?」
「手当なら自分でする」
琴乃は首を横に振った。
「これくらい 私にさせて下さい」
琴乃は包帯を強く握り締めた。
「…私にはもう……これくらいしかできませんから……」
「………」
斎藤はため息をついた。
「……阿呆が」
剣心は 蒼紫が剣の上では強くなったが、心の上では弱くなった事を言った。
「御頭として、最強の証を 華としてあの四人に捧げたいと思う気持ちは 拙者にも十分わかる…。 だが その気持ちも 心を弱くしてしまった 今のお前が口にしても、もはや生きる事からお前自身が目を背ける為の只の言い訳に過ぎないんだ!」
「!?」
蒼紫は目を見開いて驚いた。
「心を弱くしてしまった今のお前は あの四人の“為”でなく、あの四人の“せい”にして 己の兇剣を振っているに過ぎないんだ!!」
蒼紫は目を見開いたまま 固まってしまった。
「黙れ!」
蒼紫は剣心を殴った。
「…ムキになって否定するのは 本人もそれと知らず自覚してる証拠か?」
剣心の心の内側をえぐられる罵声を受けた蒼紫は、剣心を何度も殴り 蹴り飛ばした。
剣心は操の話をした。
「強き心を取り戻せ! そして 失った誇りを呼び返せ!! 観柳邸で止まった時間を動かすのは今なんだ!! 目醒める時は今なんだ!!!!」
蒼紫は剣心を拳で殴り 後ろに吹っ飛ばした。
左之助に支えられた剣心が蒼紫を見ると 背中を向けていた。
「…蒼紫…」
「…………それでも俺は…この闘いに決着をつけねば 前に進めぬ」
「この闘いの決着をつける事に 拙者は異存ない」
振り返った蒼紫の目が 修羅の目ではなく、御庭番衆御頭 四乃森 蒼紫の目に変わっていた。
琴乃は斎藤の手当を終えた。
「痛むところはないですか?」
「…ああ」
「…よかった」
琴乃は安心した様な顔をした。
琴乃は立ち上がって 扉の方を見た。
「剣心さん達、今 どこの間にいるんでしょうか?」
斎藤は琴乃の体に触れた。
「!」
琴乃は驚き 斎藤に視線を戻した。
「…お前の傷は大丈夫なのか?」
「……大丈夫ですよ」
…まだ少し痛むけど……
「……悪かったな」
「え?」
「お前に 四乃森 蒼紫が兄だと言わなかった事だ」
「…そんな事…」
…やっぱりそうなんだ……
斎藤は琴乃を抱き寄せた。
「俺が話していたら お前が怪我をする事も、連れ去られる事もなかったかもしれない…」
「……一様…」
琴乃は斎藤を抱きしめた。
私は あなたが迎えに来てくれた……それだけでもう十分です―――…