1.番い
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……その頃からだった……
貴方がいなくなってしまう夢を見る様になったのは―――…
琴乃はそこで目が覚めた。
「大丈夫か?」
「…一様…? っ!」
琴乃は斎藤の胸に飛び込んだ。
「どうした?」
琴乃は首を横に振った。
「………」
斎藤は琴乃の髪を撫でた。
悪いな 琴乃――…
琴乃と斎藤は朝食を食べていた。
「今日は夜が遅くなる。 先に寝ていろ」
「…はい。 お仕事…ご苦労様です」
「ああ」
「………」
「どうした? あまり食が進んでいない様だが」
「…いえ……最近は夜勤が多いですね…」
「夜は物騒だからな」
「……ええ」
琴乃は瞳を伏せた。
“寂しい”…なんて言ったら……
…貴方は困った様な顔をするのでしょうね――…
数日後、斎藤は薬売りに変装して 神谷道場を訪れていた。
「私 石田散薬と言う妙薬を扱っている多摩の薬売りで…」
斎藤は薬箱を置いて 帽子を取った。
「藤田 五郎…と申します」
斎藤は薬の説明をした。
「待った 待った。 俺はここの者じゃねーよ。 みんなは留守だぜ」
「あ…そうなんですか。 それは残念」
…運が悪い
左之助は斎藤の目の細さをツッこんだ。
そして 薬売りには似合わない竹刀ダコを指摘した。
「てめえ 何者だ?」
「なかなか鋭いんですね…」
唯の阿呆ではなかったか…
斎藤は目を開いた。
「さすが相楽 左之助」
「!!」
左之助は斎藤から一歩離れた。
「フフ…そうか抜刀斎は留守か…それじゃあ…」
斎藤は背中に隠していた仕込杖を取り出した。
「置き土産をしなくてはね」
斎藤は笑みを浮かべ 刃を舐めた。
そして 斎藤と左之助の闘いが始まった。
左之助は斎藤の顔に拳を食らわせた。
だが、斎藤には全く効かなかった。
「幕末の京都に於いてはこの程度の拳打は全く…」
斉藤は牙突の構えをした。
「…通用しない」
そして もの凄い速さで左之助に向かっていった。
左之助はかわす余裕もなく、右肩部分に牙突を食らった。
そのままの勢いで左之助は神谷道場の中まで吹っ飛ばされた。
その時、斎藤の仕込杖の刃が折れた。
「やれやれ 仕込杖は携帯には便利だが、強度がまるで オモチャ並みだ」
斎藤は刃が折れた仕込杖を捨てた。
「やはり刀は日本刀に限…ん?」
斎藤が振り返ると 左之助が右肩から血を流し立っていた。
そして 左之助は再び斎藤に向かっていった。
仕込杖が折れた斎藤は拳で応戦し、左之助の右肩に残っていた仕込杖の刃先を押し込んだ。
「ぐあぁ!!」
「寝ろ」
そして 顔を掴んで地面に叩きつけた。
しばらくして、剣心たちが神谷道場に帰って来た。
そこで 左之助が倒れているのを発見した。
その日の夜、斎藤は元老院議官書記で維新志士出身の渋海と会っていた。
その頃、剣心は左之助をやったのが斎藤の仕業である事に気づき始めていた。
斎藤は本職である警察の勤務を終え、家に帰った。
「…寝ているか…」
斎藤は制服の上着を脱いだ。
【お帰りなさい】
「起こしたか?」
琴乃は斎藤の手に触れ 顔を近づけた。
「!」
「……微かにする…血の匂い……」
琴乃は斎藤を見上げた。
「…何か…あったのですか…?」
斎藤は琴乃の手を払った。
「…お前が心配する様な事はない」
よく洗ったつもりだったが…流石に鼻が利く……
「なら いいのですが…」
「……フン」
斎藤は琴乃の髪に触れた。
「そう 心配するな」
悪いな 琴乃……
…お前を巻き込みたくないんだ―――…