2.嘆き
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斎藤と宇水はお互いに向かっていった。
「亀甲の盾! 中に何を仕込んでいるか知らんが、この牙突に貫けぬ物なぞ無い!!」
「………」
一様の牙突なら きっと……
だが 斎藤の牙突は宇水の亀甲の盾によって 刀を流された。
「!」
「!?」
一様の牙突でも貫けない!?
「仕込む? 何のコトかな 斎藤? この盾は“ティンペー”と言ってな、亀甲の丸みを使い こうして相手の武器をさばき…そして」
宇水は斎藤の視界を亀甲の盾で封じた。
「相手の視界を封じ、更に対となるこの手槍“ローチン”で……突く!!」
そして 槍で斎藤の左太腿を刺した。
「っ!」
宇水は槍を抜いて 距離を取った。
そして これが“ティンペー”と“ローチン”の基本的戦法である事を言った。
「……フン」
斎藤は再び 牙突の構えをした。
そして 宇水に向かっていた。
宇水は同様に、斎藤の視界を亀甲の盾で封じ そして 今度は斎藤の右太腿を槍で刺した。
斎藤の両太腿から 床に血が流れ落ちた。
「勝負は見えたな 斎藤。 これで自慢の牙突も間合いから撃ち込めまい」
「一様…っ!」
琴乃は一歩前に出た。
…あの足じゃ…もう牙突は……っ!
琴乃は震える自分の右拳を左手で握り締めた。
「覚悟はいいな 斎藤。 貴様はひと思いには殺さん」
「………」
「貴様は志々雄ですら気づいてない、私の心の中を知ってしまった。 その事をじっくり後悔させてやる」
宇水は槍に付いた斎藤の血を舐めた。
「……やはり 男の血は美味くない」
宇水は琴乃を見た。
「やはり 甘い女の血でなくてはな」
「……っ…」
斎藤は琴乃を護る様に 刀を払った。
「…一様…」
「今 お前の相手は俺だ。 …まぁ 琴乃に手を出すことはもうできんがな」
「なに…!?」
そして 斎藤は志々雄が宇水の自尊心を見抜いていて 知らんふりをして利用している事を言った。
「………」
宇水の顔が引きつった。
「気づいてないのはお前の方だ」
「だ…黙れ!」
動揺した宇水は亀甲の盾で斎藤の視界を封じた。
「これでどうだ! この間合いではお前は牙突は使えない! 視界も遮られた! 今の貴様は目隠しされたダルマ同然! これでもまだ減らず口を叩けるか!!」
宇水は最後の一撃として 斎藤の顔面を貫こうとしていた。
だが 斎藤は“牙突・零式”で亀甲の盾ごと 宇水を串刺しにした。
斎藤は手から刀を離し、宇水の体はそのまま胴体が真っ二つになり 後方の壁に磔となった。
「な…んだ…今のは……」
斎藤は牙突の型の説明をした。
斎藤は宇水を惨めだと言った。
「斎藤…お前は これから…近代化する明治で…どこまで刀に生き…“悪・即・斬”…を貫ける…か…な………」
宇水は息を引き取り 眼帯がゆっくりと落ちた。
「無論 死ぬまで」
剣心たちは第三の間 “無間乃間”に向かっていたが、剣心は何かを感じ 方治の間の前で立ち止まった。
その部屋の中では蒼紫がソファに座って待っていた。
その頃、葵屋では操たちの闘いが始まろうとしていた。
「一様っ!!」
琴乃は斎藤に抱きついた。
「……ごめんなさい…っ!」
「お前が謝る事じゃない。 お前は俺の命じた仕事をちゃんとやり遂げた」
斎藤は琴乃の頬に手を添え 顔を上げさせた。
「だろ?」
「……一様…」
斎藤は琴乃に口付けた。
…本当に…無事で安心したぞ 琴乃―――…