2.嘆き
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第二の間 “叫喚乃間”にて待機していた宇水の耳に 斎藤たちの足音が聞こえてきた。
「どうやら こっちに向かってきている様だ」
「っ!」
やっと…一様に会える――…
琴乃は嬉しくなった。
少しして 斎藤たちが第二の間 “叫喚乃間”に入ってきた。
「いらっしゃい」
「一様っ! っ!」
琴乃は斎藤の方へ向かおうとしたが、宇水の槍によって 塞がれた。
「「琴乃(殿)!」」
「元気そうで安心した」
「…一様…私……」
琴乃は瞳を伏せた。
斎藤は微笑した。
「…少しだけ 待っていろ」
「!」
琴乃は顔を上げた。
「……はい!」
そして 笑顔になった。
斎藤は一歩前に出た。
「こいつは俺が相手する。 お前はさっさと先を急げ」
「すまぬ」
剣心は次の間に向かって走り出した。
左之助は由美を抱えて 剣心のあとを追いかけていった。
「斎藤 一、どうやら話に聞くより 随分甘い男の様だな」
「お前こそ、どうやら話に聞く心眼も大した事ない様だな」
斎藤は刀をゆっくり抜いた。
「未だ“不殺”を引きずっているあいつがいると はっきり言って邪魔なんだよ。 お前を 殺すにはな」
斎藤の刀の刃が怪しく光った。
宇水は琴乃の首元に槍を当てたまま、琴乃と共に立ち上がった。
「“殺す” この私を?」
斎藤は微笑していた。
「ふーん…」
宇水は顎に手を当てた。
「ひょっとしてお前、神戸で警察の御仲間 五十人殺ったのを 恨んでいるのか?」
「………」
「ククク…お前は俺がこの娘に傷をつけた事を怒っているんだろう?」
斎藤は反応を示した。
「目が見えなくとも “心眼”で私には手に取る様にわかるのだよ。 お前の気持ちが“昂って”いるのが。 私の前で隠し事は不可能」
宇水は琴乃を見た。
「現にこの娘は四乃森 蒼紫との関係の話をしたら 心理が筒抜けになった」
「…っ……」
琴乃は瞳を伏せた。
「そうやって お前は琴乃の動揺を誘ったわけか…」
「「!」」
琴乃と宇水は斎藤に視線を戻した。
「お前の“心眼”は心理は読めても 思考までは読めていない」
斎藤は刀を左手に持ち替えた。
「“心眼”で見えぬなら教えてやる。 この俺が昂るのは唯一つ」
斎藤は牙突の構えをした。
「悪・即・斬と言う俺自身の正義の為だけだ!」
「面白い」
宇水は不気味な笑みを浮かべた。
「元新撰組三番隊組長 斎藤 一、相手にとって不足無し!」
宇水は槍を構えた。
宇水の槍から解放された琴乃は斎藤の方に駆け寄った。
「一様っ!」
「下がっていろ 琴乃。 直ぐに片付ける」
「…はい!」
琴乃は斎藤の後ろの壁に立った。
斎藤は“牙突”で向かっていった。
だが 槍についている鉄球によって防がれた。
「「!」」
「これが噂に名高い斎藤 一の牙突か…微温いわ!!」
宇水は斎藤の刀を弾いた。
そして “宝剣宝玉 百花繚乱”で攻撃してきた。
「一様っ!」
斎藤は宇水と距離を取った。
「ホウ 傷三つとはなかなか…」
宇水は“心眼”の正体が“異常聴覚”である事を話した。
…だから アジト内での一様たちの行動がわかったんだ……
「これぞ我が無敵の“心眼”! この前では牙突など唯の刺突同然!」
宇水は不気味な笑みを浮かべた。
「牙突をあまり舐めるなよ」
斎藤は指を鳴らした。
すると 宇水の槍の鉄球が砕け散った。
斎藤は自分の“心眼”…“洞察力”の話をした。
そして 宇水が志々雄の仲間になった本当の理由をズバリ言い当てた。
斎藤と宇水は不気味に笑い声をあげた。
「何が可笑しい!!」
宇水は激怒した。
宇水は砕けた槍の鉄球部分を外した。
「斎藤 一…お前の“心眼”も大したものだ。 だが……“心眼”の使い手は この私一人で十分!」
宇水は亀甲の盾を構えた。
「貴様は私の真の技でブチ殺してくれよう!!」
斎藤は牙突の構えをした。
「闘いもせず 尻尾を巻いた負け犬が 偉そうに吠えるな」
「一様 気をつけて! その技は…「そう この技でその娘は俺に敗北した!」」
「……そうか…。 なら 容赦はせん」
斎藤の目つきが鋭くなった。
「お前は俺の手で殺さんと 気が収まらん!」
琴乃を傷つけた事…後悔させてやる――!