2.嘆き
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志々雄のアジトに到着した斎藤たちは、出迎えた由美の道案内を受けることになった。
「どうやら 来たようだな」
「!」
琴乃は宇水に連れられて 第二の間 “叫喚乃間”にて待機していた。
琴乃は辺りを見渡した。
「……どこにもいないけですけど…?」
「まだ入り口だ」
「?」
琴乃には意味がわからなかった。
由美は“決闘は一対一で、残りの二人は手出し無用”と言う志々雄からの伝言を伝えた。
そして 斎藤たちは安慈が待つ 第一の間 “衆合乃間”に入った。
安慈の相手は 顔見知りだった左之助が買って出た。
左之助は安慈が言った“救世”に納得がいかず 安慈に向かっていった。
安慈は“二重の極み”をかわした。
「“二重の極み”は完全に極めた。 降参しろ 安慈。 あんたに教わったコレで あんたを殴りたくねェ…」
「極めた…?」
安慈の目つきが変わった。
「驕るな 小僧」
安慈は両手両足での“二重の極み”を見せた。
左之助は驚き 言葉が出なかった。
だが、左之助は引かず、安慈との闘いが始まった。
剣心の助言により勝機が見えた左之助は、安慈の鍛えた筋肉が重すぎて 体のこなしがついて来れなくなっている事に気づいた。
そして 安慈に“二重の極み”を叩き込んだ。
だが、安慈は“極み外し”により ダメージを受けていなかった。
琴乃は招集から戻って来た宇水が、自分に与えられた部屋を訪れて来たことを思い返していた。
「………」
この人も よく私の部屋に来るな…
「なんだ その不満げな顔は?」
「……こんな所にいて いいんですか? これから闘いが始まるのでしょう?」
「…闘い? フフフ…」
宇水は不気味な笑みを浮かべた。
【こんな所にいたのか 宇水】
志々雄が琴乃に与えた部屋にやって来た。
「俺がどこにいようが 俺の自由だ」
「宇水 お前が人を殺さず 連れてきたと聞いた時は驚いた」
志々雄は琴乃を見た。
「それに よくこの部屋に来るらしいじゃないか…」
「………」
志々雄は宇水に視線を戻した。
「宇水…お前 この女を気に入ったのか?」
「!?」
琴乃は目を見開いて驚いた。
一方、左之助と安慈の肉弾戦が再び 始まっていた。
そして 安慈の“二重の極み”を“極み外し”で相殺し、左之助は安慈に“二重の極み”を叩き込んで 安慈を倒した。
斎藤たちは下に降りてきた。
“二重の極み”の直撃を食らわせた左之助は勝利を確信したが、安慈は起き上がってきた。
安慈は“二重の極み”の威力を抑えてくれた位牌を胸から取り出し、十年前の“廃仏毀釈”の夜の話をした。
話しを終え 怒りが込み上げてきた安慈の目つきが変わった。
そして、再び 二人の拳の闘いが始まった。
お互いに“二重の極み”を打ち合っている左之助と安慈は 精神が肉体を凌駕していた。
安慈は腰に携えていた刀剣を取り 床に刺した。
再び 安慈は“遠当て”をしてきた。
左之助は跳び、それを読んでいた安慈と拳をぶつけ合った。
「もう いいだろ 安慈。 お前は十分過ぎる程傷ついて生きてきたんだ。 ここいらで 傷だらけの人生に終止符を打ってもいい頃だぜ」
「傷だらけで結構。 既に痛みなど感じぬ。 私は明王として闘い続ける。 “救世”をこの世にもたらすその日まで! 炎の中で苦しみ殺されていった子供たちも それを私に望んでいるはず!!」
「この 大馬鹿野郎!!」
左之助は安慈の拳に五指を一気に弾く “三重の極み”を食らわせた。
安慈は血だらけの拳で左之助に向かってこようとした。
左之助は位牌を指差した。
「見ろよ。 お前の流した血に濡れて…“痛い”って泣いてるじゃねェか…」
安慈は跪き 涙を流した。
それに伴い、左之助が勝利した。
「静かになった。 どうやら 安慈の闘いが終わった様だ」
「………」
この人…さっきから何を言っているんだろう……?
剣心に止血してもらった左之助は 安慈に慰めの言葉をかけた。
安慈は宗次郎と宇水以外の十本刀が葵屋の者の抹殺に向かっている事を言った。
その頃、葵屋には鎌足たちが到着していた。
剣心は操たちと清十郎を信じて 先に進む事を決意し、第二の間に向けて歩き出した。
「斎藤」
「ああ」
次の間は 琴乃を傷つけた奴がいる間だ――…