2.嘆き
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葵屋に戻った剣心と左之助は薫たちと再会していた。
その後、剣心は意識を取り戻した翁に“蒼紫を殺してくれ”と言う頼みをされた。
だが、剣心はまだ完全に修羅になっていない蒼紫を葵屋に連れて帰る事を約束した。
事後処理からまだ手を離せない斎藤の為に、明朝出発となった。
一方、琴乃は手当てをされ 志々雄のアジトの部屋に寝かされていた。
「よく眠る女だ」
部屋には宇水がいた。
【あれ? まだ起きられないんですか?】
そこに宗次郎がやって来た。
「どうして 宇水さんはこの人を連れてきたんですか?」
「特に理由はない。 強いて言うなら “死にたくない”と言う想いが強かった事か」
「へェー そうなんだ」
「それに 斎藤 一の妻で、四乃森 蒼紫の双子の妹だ。 いい手土産にはなっただろう」
「動揺している斎藤さん 見てみたいなー」
そう言って 宗次郎は笑った。
「……ん…」
琴乃が目を覚ました。
「あ 気づきましたか?」
「!?」
宗次郎と宇水に驚いた琴乃は ベッドから後ろに跳んで 宗次郎と宇水から距離を取った。
「っ!」
琴乃は傷口が痛み 苦痛の顔をした。
「傷口 開いちゃいますよ?」
「……あなた達には関係ない」
「そう 警戒するな」
琴乃は宇水を見た。
「どうして あなたは私を連れてきたの――…?」
その日の夜中、一刻程睡眠を取った剣心は葵屋の屋根の上で 京都の街を見ていた。
そこに 薫たちが集まってきて、まるで壮行会の様になった。
――そして 志々雄との決闘の日の明朝、葵屋に斎藤がやって来た。
「…準備は済んでいるな? 行くぞ」
斎藤たちは背を向けて歩き出した。
「剣心」
剣心は振り返った。
「みんなで一緒に東京に帰ろうね」
「ああ!」
剣心は笑いかけた。
斎藤たちは志々雄のアジトに向かって歩き出した。
琴乃…待っていろ―――…
その頃、志々雄のアジトでは、方治が志々雄に意見していた。
一方、琴乃は一人部屋にいた。
「“勝者は敗者を自由にできる”――か…」
琴乃はベッドに仰向けに寝転んだ。
…私を自由の身にして……
…何を考えているんだろう……?
琴乃は刀を見た。
「……今なら…抜け出せる……。 でも……」
琴乃は宇水に言われた、蒼紫が双子の兄であると言う事が気掛かりだった。
志々雄は意見を言ってきた方治に対して激怒していた。
そして 先日の京都大火が囮で、宇水たちが捨て駒同然の様に扱った事を 方治が独断で作戦を変更した事を言った。
方治は志々雄への不信と疑念を七爪の罰で自ら償った。
方治の覚悟を見届けた志々雄は、宗次郎・宇水・安慈がアジトに残り、才槌・不二・蝙也・鎌足・夷腕坊が葵屋に向かい 全ての者の首を持って来る様、方治が提案した作戦へ変更した。
剣心が来ることを陰で聞いていた蒼紫は琴乃に与えられた部屋を訪れていた。
「………」
なんでこの人 私の部屋に来たんだろう……?
「………」
琴乃は蒼紫をちらっと見た。
すごく冷たい目……
…本当にこの人が…私のお兄さん……?
無言に耐えかねた琴乃は蒼紫に話しかけた。
「…あの…蒼紫さん…」
「なんだ?」
「…いえ…何も…」
直接本人になんて聞けないよ…私の兄ですか?…なんて……
琴乃は項垂れた。
「抜刀斎たちがここへ向かっている」
「!」
琴乃は驚き 顔を上げた。
蒼紫は立ち上がった。
「お前がここから逃げなくても 迎えが来る」
「………」
蒼紫は背を向けて 扉の方へ歩き出した。
「……わざわざ それを言いに…?」
蒼紫は無言のまま 扉を開けた。
「………」
無口な人…
「……余計なことはするな」
「!」
琴乃が蒼紫を見ると、既に扉は閉まり 蒼紫が部屋を出ていった後だった。
「………」
…でも 優しい人――…