2.嘆き
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琴乃は再び 宇水に向かっていった。
盾と槍がだめなら がら空きの足を斬る…!
琴乃は宇水の足を斬りつけようとした。
「無駄だ。 お前の心理 手に取る様にわかるぞ!」
蒼紫の妹であると言う事を聞かされ、心拍数が上昇した 琴乃の心理は宇水にとって筒抜け状態だった。
宇水は亀甲の盾で足を狙う琴乃の刀を流した。
そして 琴乃の視界を亀甲の盾で封じ、槍で脇腹を刺した。
「ぁっ!」
宇水は不敵な笑みを浮かべた。
京都へ戻ってきた斎藤たちは 馬車から降りた。
「どうやら京都も無事の様だな」
「…ああ」
【藤田君!】
署長が駆け寄ってきた。
「藤田君たち ご苦労だった」
「…いえ」
「ああ それと…」
署長はポケットから 煙草とマッチを取り出した。
「これを渡してくれと 琴乃君から預かった」
「…どうも」
全く 気が利く…
斎藤は煙草とマッチを受け取った。
そして 斎藤は煙草を吸い始めた。
「…ところで 琴乃はどこに?」
「ああ それなんだが、“まだ やる事がある”と言って 向こうへ歩いて行ってしまったんだ…」
署長は指で示して 言った。
「…“やる事”…でござるか?」
「あの優しい琴乃の事だ、怪我した人とかの面倒でも見ているんじゃないか? すぐ戻ってくるって!」
「………」
琴乃の事を分かった様に言われる事には苛立ちを覚えるが…
確かにこの阿呆が言っている事にも 一理ある
…だが……
斎藤は署長が示した方に体を向けた。
「…斎藤?」
「………」
さっきからずっと…胸騒ぎがする……
剣心は斎藤の横に並んだ。
「何か 気掛かりでもあるのか?」
「……ああ」
「ならば 考えているより、行った方が早いでござるよ」
「………」
斎藤と剣心は琴乃が向かったとされる方へ歩き出した。
「おい 待てよ!」
左之助は斎藤と剣心の後を追った。
しばらく歩くと、残っていた小火の煙の匂いに紛れ 微かに血の匂いが漂ってきた。
「血の匂い…!」
斎藤たちは走り出した。
琴乃…無事でいてくれ……
斎藤たちは街外れにやって来た。
「「「!!?」」」
地面には血が流れていた。
「この血の量…少し怪我したと言う量ではないでござるよ」
「だが これが琴乃のものと決まった訳じゃねーだろ? なぁ 斎藤?」
そう言って 左之助は斎藤を見た。
「! ………」
斎藤の口から煙草が落ちた。
「……斎藤?」
斎藤はしゃがんで、所々 血で赤く染まっている白色の花の簪を拾い上げた。
「簪?」
「! ……それはっ!」
「……琴乃の物だ…」
「!」
斎藤は簪を軽く握った。
「…俺が前に……琴乃にやったものだ…」
「!」
「…では…この血は…」
琴乃殿のもの……
左之助が辺りを見渡すと 地面に血痕が続いていた。
「……この血痕…」
剣心はしゃがんで血痕に触れた。
「まだほんのり温かい…」
剣心は立ち上がって 志々雄のアジトの方を見た。
「比叡山の方に向かっているでござるな」
…つまりそれは……
「…琴乃はここで闘い…、志々雄一派に攫われた……」
そう言った 斎藤の顔は今まで見たことない程 沈んでいた。
一旦、斎藤たちは警察署に戻った。
斎藤は報告書に目を通し 剣心と話してた。
その後、斎藤は仕事に戻っていった。
「あいつ…自分の女が攫われたって言うのに、仕事とは…人間の心がないのか!?」
「左之」
「なんだよ!」
「決して 斎藤は心配していない訳じゃないでござるよ」
剣心は斎藤の部屋を見上げた。
「今だって 恐らく仕事に身が入ってないでござる……」
「………」
左之助も斎藤の部屋を見上げた。
「本当は 今すぐに駆け付けたい気持ちを抑えているのでござろう――…」
斎藤は自分の部屋で書類に目を通していた。
「………」
斎藤は書類をばら撒いて 左手で頭を抱えた。
俺のミスだ……
…琴乃―――…