2.嘆き
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
署長と別れた琴乃は京都の街外れに来ていた。
「…さっきから ずっと私を見ているのは…誰?」
【ククク…甘い嬢ちゃんかと思ったが そうでもないようだな…】
琴乃の前に宇水が姿を現した。
その頃、東京砲撃を防いだ斎藤たちは馬車で京都へ戻って来ていた。
「黙り込んで どうしたでござる 斎藤?」
「……いや」
斎藤は煙草を吸おうと マッチを擦ったが、海水に浸かってしまっていた為 使えなかった。
「チッ」
「…斎藤…?」
「………」
なんだ…胸騒ぎがする―ー…
宇水は琴乃に歩み寄ってきた。
「…誰?」
「俺は魚沼 宇水」
「!」
十本刀の“盲剣”の宇水…
張さんによると 一様より強いって言われる人……
琴乃は手で鞘に触れた。
「斎藤 琴乃。 元新撰組三番隊組長 斎藤 一の妻」
「…それで 私に何か用ですか?」
「…用? ククク…」
宇水は笑い出した。
「敵同士が対峙した時 する事は一つであろう?」
宇水は槍を構えた。
「先程 安慈に愉しみを邪魔されて 気が立っているんだ」
「………」
琴乃は刀を抜いて 構えた。
「ホウ…白い刀か…綺麗なものだな」
宇水は不気味な笑みを浮かべた。
「…鮮やかな血に染まれば もっと綺麗なんだろうな」
そして 宇水は琴乃に向かって来た。
「っ!」
琴乃はかわした。
「体は身軽のようだな。 だが かわしてばかりでは 俺を倒す事は出来ないぞ」
琴乃の目つきが変わった。
「……なら…お望み通りに…」
琴乃はスピードを上げ 宇水を斬りつけた。
「ぐっ」
琴乃はすぐに宇水から離れた。
「まだスピードが上がるのか…面白い」
「っ!」
斬り込みが甘かった…
宇水は亀甲の盾を構えた。
「だが これならお前の攻撃も防げる」
「………」
琴乃は刀を構え、再び 宇水に向かっていった。
なら まずはその邪魔な盾から壊す…!
琴乃は刀を振り上げ 亀甲の盾を攻撃した。
「フッ。 甘いな」
宇水は亀甲の盾で琴乃の刀を流した。
「!」
そして 琴乃の視界を亀甲の盾で封じ、槍で琴乃を刺そうとしてきた。
琴乃は咄嗟に体の向きを変え かわした。
「ティンベーとローチンの基本戦術をかわすとは…大した身のこなしだ」
「………」
「どうやら、お前が 御庭番衆御頭 四乃森 蒼紫の双子の妹と言うのは本当の様だな」
「……え…」
…私が…蒼紫さんの妹……?
琴乃はかなり動揺した。
「心拍数が急に上がったな。 なんだ 知らなかったのか?」
「……敵であるあなたに言われても 信じないわ…」
「そうか」
宇水は微笑した。
琴乃は再び 宇水に向かっていった。
盾がだめなら 槍を弾いて隙を作る…!
琴乃は宇水の槍を攻撃しようとした。
「お前の動き 読めたぞ!」
心拍数の上昇により 琴乃の心理が手に取る様にわかった宇水は亀甲の盾で足を狙う琴乃の刀を流した。
そして 琴乃の視界を亀甲の盾で封じ、槍で右太腿を刺した。
宇水は槍を抜いて 距離を取った。
「っ!」
琴乃はしゃがんだ。
「その足ではもう今まで通りに動けんだろう? さて どうする? 降参するか?」
「ふふっ。 冗談を」
琴乃は立ち上がった。
「降参するくらいなら……私は死を選ぶ」
そして 刀を構えた。