2.嘆き
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そして 運命の日の夜が明けた――…
寝入ってしまった剣心は、“逆刃刀・真打”の目釘が外れかかっていた事により助かった清十郎に頭を蹴られ 目を覚ました。
そして、剣心は葵屋にいる操たちを清十郎に頼み、山を降りていった。
【斎藤 いるか?】
左之助が京都警察署の斎藤の部屋にやって来た。
「! 左之助さん こんにちは」
「よっ! …斎藤は…いねェのか?」
「一様は別の部屋で調べ物をしてますよ」
「なんだ。 ま 別に用事は斎藤じゃなくてもいいんだ」
「え?」
左之助は笑いかけた。
「腹減っちまってさ…飯 行かねェか?」
「…お食事へ? いいですけど…」
【やめておけ。 奢らされるだけだ】
「「!」」
琴乃と左之助は声の主を見た。
そこには斎藤が立っていた。
「一様!」
斎藤は琴乃に歩み寄ってきた。
「人の家内に奢らせようとは いい度胸だな?」
「別に俺は奢ってもらおうなんて 思ってねェよ! 一人で飯食うより 二人の方が楽しいだろうと思ってな」
「いちいち 琴乃を巻き込むな。 金なら持っているんだろう? 一人で行ってこい」
「うるせェな。 金なら持って…」
左之助はポケットの小銭を漁って 掌に乗っけた。
「………ない」
「………」
呆れた斎藤は左之助にお金を差し出した。
「飯くらい 一人で行ってこい」
「お いいのか?」
左之助はお金を受け取った。
「…でも お前が俺に金をくれるなんてな!」
「やったつもりは無いがな。 …俺が渡さなかったら 琴乃が渡しちまうだろうからな」
そう言って 斎藤は琴乃を見た。
琴乃は微笑した。
「左之助さん 行ってらっしゃい」
「とっとと 行ってこい。 そして 二度と戻ってくるな」
「俺がどこに行こうが、俺の勝手だ!」
そう言って 左之助は斎藤の部屋から出ていった。
斎藤はため息をついた。
「……ここはガキの預かり所じゃねェんだよ――…」
お昼過ぎ、京都の街中には斎藤の指示により 沢山の警察が集まって来ていた。
「………」
斎藤は煙草を吸いながら 書類に目を通していた。
そこに、馬車に乗って 剣心がやって来た。
「あれが…伝説の人斬り、緋村 抜刀斎か…」
斎藤は窓を開けて、剣心に話しかけた。
「で どうだ? 人斬りに戻る決心はちゃんとついたか?」
剣心は微笑した。
「さあ どうでござるかな」
「………」
「!」
とても晴れやかなお顔……
…まるで…今までの悩みがなくなった様な―――…
琴乃たちは京都大火について話し合っていた。
そして 京都大火とは別の、もう一つの目的がある事に気付き、地図を広げて見た結果、真の狙いが海上からの東京砲撃である事を突き止めた。
「狙いはあくまで政府の中枢の東京。 危うく出し抜かれるところだったぜ」
「海上に出られては手の打ちようがなくなる! それだけは絶対避けねば!」
琴乃と斎藤は頷いた。
「時間がない! 急ぐでござる!」
そう言って 剣心は扉を開けた。
【で、また俺は置いてけぼりってか?】
ちょうどお昼から戻って来た左之助により 剣心は頬を殴られた。
「さ…左之 どうして警察に! っ!」
剣心は倒れそうになった。
「剣心さん!?」
左之助は剣心を支えた。
「どうして 京都にって、お前の“力”になってやる為に決まってんだろうが!」
剣心は穏やかな表情をした。
「“足手まとい”になるの間違いだろうが」
「あんだと!」
「お二人共 争ってる場合じゃないですよっ!」
「とにかく今は時間がねェ! つもる話は走りながらだ!」
「大阪まで走れるか ボケ。 馬車だ 馬車」
「あ゛ーてめェはそう揚げ足取りばっか――!!」
「お二人共っ!」
「………」
琴乃たちは警察署を出た。
警察署の前には手配した馬車が止まっていた。
剣心は馬車に乗り込み、左之助は馬車の上に乗り込んだ。
「斎藤 早く乗れよ!」
「黙ってろ 阿呆が」
斎藤は琴乃に視線を戻した。
「…一様……!」
琴乃は斎藤に抱きついた。
斎藤は琴乃の髪を撫でた。
「…行ってくる」
「……はい」
琴乃は抱きしめる力を強めた。
「…お気をつけて…」
「ああ。 お前もな」
その後、斎藤も馬車に乗り込み、斎藤たちは大阪へ向かっていった。