1.番い
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宗次郎が志々雄に“十本刀”の集結を頼まれている頃、琴乃たちは新月村に戻って来ていた。
新月村には沢山の警察が応援に来ていた。
「さてと…それじゃあ 俺たちはそろそろ戻るぜ」
「ああ。 しかし 栄次はどうするでござる?」
「俺も お前も連れて行く訳にはいかんだろう。 しばらく義姉の所へ預けて、落ち着いてから身の振りを考えるさ」
「…”義姉”?」
「琴乃の姉だ」
血の繋がりはないがな…
「……そうすると…そちらは…?」
剣心は琴乃を見て言った。
「……家内だ」
どぉーん!
斎藤の言葉に剣心と操は爆弾が投下された様な反応をした。
「か かか か…家内~~~」
「お前 結婚していたのか~~」
「…イタチ娘はあれとして、なんだ気づいてなかったのか?」
「親しい間柄だとは思っていたが…口で聞くまで確証はなかったでござるよ…」
斎藤は咳払いをし 琴乃の肩に手を置いた。
「斎藤 琴乃と申します。 よろしくお願いします 抜刀斎さん、操さん」
琴乃は微笑んだ。
「…よろしくでござる。 …それと…今は“緋村 剣心”と言う名があるでござるよ」
「……剣心さん…?」
剣心は微笑した。
琴乃も微笑み返した。
斎藤は剣心に向かって歩き出した。
「お前はさっさと京都へ行って、とっとと人斬りに戻れ」
剣心の目つきが変わった。
「!」
…剣心さんが人斬りに……?
「この闘いでわかっただろ? “流浪人”のお前じゃ 志々雄は愚か、その側近にも歯が立たない」
斎藤は剣心の横で立ち止まった。
「逆刃刀が折れたのはちょうどいい。 いい加減 覚悟を決める事だ」
「………」
「昔のお前に 期待してるぜ」
斎藤は剣心の肩を軽く叩き、栄次と共に歩き出した。
「じゃあ 剣心さん、操さん また京都で」
琴乃は頭を下げて 斎藤と栄次の後を追っていった。
「琴乃さんって、なんか すごく穏やかな人だったね」
操の顔が呆れ顔になった。
「よく あんな奴の奥さんになったもんだよ…。もっとお似合いな人は沢山いるって…!」
「……そうでござるな。 …だが…」
剣心は穏やかな表情をした。
「…斎藤は彼女だけには 心を許しているみたいだったでござるよ――…」
その後、剣心と操は東海道へ戻り 京都を目指した。
その頃、左之助は森の中で破戒僧である 悠久山 安慈に出会っていた。
左之助は安慈が志々雄一派の“十本刀”である事知らずに、“二重の極み”を教えてもらい 修行をしていた。
そして 七日と言う短さで“二重の極み”を習得し、安慈と別れて 京都へ向かった。
一方、琴乃たちは時尾の家に着いていた。
「栄次君 疲れてない?」
「…平気だ」
琴乃はドアをノックした。
【はい】
時尾がドアを開けて 出てきた。
「あら 琴乃ちゃん。 久しぶりね」
「お久しぶりです 時尾お姉さん」
時尾は斎藤を見た。
「斎藤さんもお元気そうで」
「ご無沙汰してます」
時尾は栄次に気づいた。
「あら 可愛い子。 いつ子供なんてできたの?」
「! …違うの 時尾お姉さん…」
…子供…か…
一様はどう考えているんだろう……?
何も言わないって事は…嫌い……なのかな――…
琴乃は時尾に事情を説明した。
「しばらく この子を預かって欲しくて…」
「また貴方たち 厄介事に巻き込まれてるのかしら?」
琴乃は瞳を伏せた。
「…はい」
「まあいいわ。 私が責任を持って 面倒をみてあげる」
「ありがとう 時尾お姉さん」
時尾は栄次を見た。
「よろしくね 栄次君」
「…よろしくお願いします…」
その後、琴乃と斎藤は時尾の誘いで泊まることにした。
琴乃と斎藤は布団に入っていた。
琴乃は考え事をしている様だった。
「何を考えている?」
「! いえ…。 …なんか…懐かしくて……ホッとしてしまって…」
琴乃は瞳を伏せた。
「これから起きる事が全て 夢じゃないかって…」
「……夢だったらいいんだけどな…」
「………」
琴乃は斎藤の体にくっついた。
「……どうした?」
「……いえ…」
琴乃は顔を伏せた。
「……一様は……子供…欲しいですか――…?」