1.番い
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「この新月村を統治する尖角が相手だ!!!」
志々雄の合図により、琴乃たちの目の前に 尖角が姿を現した。
「ブァウアアアッ!!!」
尖角は琴乃たちの方へ向かって来た。
琴乃たちはそれぞれ 横にかわし、剣心が尖角の相手となった。
その頃、志々雄の館にいた見張り役を倒した操と栄次は、一人の見張り役を道案内にして 尖角のもとに向かっていた。
技を一つもらさず見極めようとしている志々雄の視線に気づいてる剣心は、攻撃をせず 尖角の自爆を誘っていた。
「………」
…鋭い目……
…それに……
琴乃は横目で斎藤を見上げた。
さっきから一様が剣気をたたき続けてる…けど……
琴乃は横目で宗次郎を見た。
…この子から何も感じず…出方もわからない…
宗次郎は琴乃の視線に気付き、笑いかけた。
「! ………」
…不思議な子……
しばらくして、切り返しの際に体にかかる負担が限界を超え、尖角の足が折れた。
「尖角」
「っ!」
尖角はビクッとして 恐る恐る志々雄を見た。
「このまま 抜刀斎に技一つ出させないまま負けてみやがれ。 この俺が直々にブッ殺してやる」
志々雄の言葉に更に恐怖した尖角は剣心に向かって来た。
「飛天御剣流 “龍翔閃”!」
剣心は尖角に情けをかけて 技を出して倒した。
剣心は刃先を志々雄に向けた。
「…剣を取れ 志々雄 真実」
「………」
奥の間に辿り着いた操と栄次は、襖を少し開けて 様子を見ていた。
「だったら コソコソしてないで堂々と見物しな」
操と栄次に気づいた斎藤は襖を開けた。
「「!」」
バランスを崩した操と栄次は畳に倒れ込んだ。
「! 大丈夫ですか!?」
琴乃は操と栄次の横にしゃがんだ。
「ただし そばから離れるなよ」
「! 操殿!」
志々雄は剣心が不殺の流浪人になった事を直に見て がっかりした事を言った。
「そんなんで俺を倒そうなんて 100年早え」
「………」
その後、志々雄は由美に指で合図し、宗次郎を残して 二人は去っていった。
しばらく見合った後、剣心と宗次郎の闘いが始まった。
だが、宗次郎は剣気、殺気、闘気を持ち合わせておらず、相手の心理を即座に読む 剣心の飛天御剣流にとっては相性が悪かった。
剣心は刀を鞘にしまい、抜刀術の構えをした。
宗次郎も同様にした。
そして、抜刀術の打ち合いになり 剣速は互角だった。
…が――…
キィン
人を殺める事を何とも思わない宗次郎の剣との技の明確なキレによって、剣心の逆刃刀が折れてしまった。
その後、宗次郎は去っていった。
剣心は折れた刀を鞘にしまった。
「逆刃刀…折れちゃったね」
「志々雄たちも逃がしちまったしな」
「コラ!」
「一様 そう言う事言わないで下さい…」
「何、刀は また作ればいいし、志々雄たちもまた 追えばいい」
剣心は笑いかけた。
「とりあえず 新月村から志々雄一派を退けた…それだけでも良しでござるよ」
琴乃と操も笑顔になった。
一方、自暴自棄になっている栄次は一人 気絶している尖角を冷たい目で見下ろしていた。
栄次は刀を両手で握った。
「栄次!!」
「死ね 尖角」
栄次は刀を振り下ろそうとしていた。
「だめ――っ!!」
あんな小さな子に人殺しなんてっ…!
琴乃は栄次に駆け寄ろうとした。
だが 栄次は斎藤に刃を掴まれ、そのまま 襟を引っ張られ 襖に背中から突っ込んでいった。
「大丈夫!?」
琴乃は栄次に駆け寄った。
「勝手に殺すなよ。 こいつから聞き出す事は山程あるんだ」
斎藤の言葉でも納得しない栄次だったが、剣心に説得された。
「最期の最期まで お前を案じ続けたお前の兄の様な男になって、幸福になるでござるよ」
栄次の手から刀が落ち 栄次は涙を流した。
「…よかった…」
琴乃の瞳から涙が流れ落ちた。
「相変わらず 涙脆いな お前は…」
「……だって…」
琴乃は涙を拭った。
そして 栄次を見た。
「あの子が手を汚さずに済んだから…」
琴乃は斎藤に視線を戻した。
「一様…止めてくれてありがとう……」
そう言って 琴乃は微笑んだ。
「……余計な仕事が増えるからな」
あのまま俺が止めなかったら…お前は俺の事を嫌いになっていただろ――…?