1.番い
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その後、剣心は栄次の両親の亡骸を弔う為 降ろそうとしたが、集まってきた新月村の人たちに止められた。
村の人たちは尖角に歯向かわなければ生きられる事を言った。
「大体 お前ら警察がだらしないから」
「!」
琴乃の目つきが変わった。
「っ!」
さっき心配してくれた時、とても穏やかな人だと思ったのに……
…この人…こんな顔もするんだ……
「一様たち 警察は… !」
村の人たちに向かおうとした琴乃は頭を掴まれた。
「怒るな」
琴乃は斎藤を見た。
「……でも…」
琴乃は瞳を伏せた。
「…一様たちは 何もしてない訳じゃないのに……」
斎藤は琴乃の頭を撫でた。
村の人の忠告を無視して、剣心は亡骸に歩み寄り 刀で紐を切って降ろした。
村の人たちは軽蔑し、恐怖で怯えた。
その後、栄次の両親の亡骸を台車で運びながら、斎藤は新月村の話をした。
そして 亡骸を埋める為、栄次は穴を掘った。
「村も 警察も、軍隊も 政府も…そして 何もかも、このままでは志々雄 真実の思いのままになる。 だからこそ今」
斎藤は剣心を見た。
「新撰組や人斬りが必要なんだよ」
「………」
斎藤の提案により 琴乃たちは、操に栄次を任せて 志々雄の館に向かった。
その情報はすぐに志々雄に伝わった。
少しして、琴乃たちは志々雄の館についた。
館の前では宗次郎が出迎えていた。
宗次郎の案内により、琴乃たちは志々雄がいる奥の間に案内された。
奥の間に入ると 志々雄は煙管を吸っていた。
「お主が……志々雄 真実でござるか――」
その頃、両親の亡骸を埋めた栄次は、刃がボロボロになった刀を持ち、仇討ちをする為 志々雄の館に向かって歩き出した。
最初は引き止めた操だったが、栄次と気持ちが同じだった為 共に向かうことになった。
剣心と斎藤は新月村を拠点にした事を志々雄に問い質した。
「俺はね、この傷をつけた連中に今更 復讐する気なんてさらさらないんだよ」
「「「!」」」
「むしろ感謝しているくらいだ。 この傷は身に染みる程 色々と教えてくれた」
志々雄は右腕を左手で握った。
「“信じれば裏切られる”。 “油断すれば殺される”。 “殺される前に殺れ”。 …それから “本当にいい男はどんなになっても女の方から寄って来る”って事もな」
由美は志々雄に抱きついた。
志々雄は琴乃を見た。
「!」
「それはあんたも同じだろ 斎藤 一さんよ」
「………」
斎藤は琴乃を護る様に、琴乃の前に右腕を出した。
琴乃は斎藤を見上げた。
「おいおい 琴乃をその女と一緒にしないでもらおうか?」
「まあ 失礼な人」
「ククク…。 顔に似合わず 案外優しいんだなァ」
「………」
斎藤は襖に寄りかかった。
「まあいい。 …いい加減静かにしてくれないか? お前一人の為に日本中を飛び回るのは結構 疲れるんだ」
志々雄はため息をついて、自分の正義を語り始めた。
「そんな時代に生まれ合わせたのなら、天下の覇権を狙ってみるのが男ってもんだろ」
志々雄の言葉に 宗次郎と由美は拍手をしたが、琴乃たちは無言だった。
「こんな弱々しい政府に国は任せられねェだろ? ならば!」
志々雄は煙管を折った。
「動乱が終わったのなら、俺がもう一度起こしてやる! 俺が覇権を握り取ってやる!」
「っ!?」
…この人 またあの動乱を起こそうとしてるの…っ!?
琴乃は昔を思い出し、自分の右拳を左手で握りしめた。
「そして 俺がこの国を強くしてやる。 それが俺がこの国を手に入れる“正義”だ!」
志々雄は拳を握り締めた。
剣心は平和に生きていた人達が血を流したことを言った。
「この世は所詮 弱肉強食…とは言っても先輩は納得しそうにないな」
「志々雄 真実、お前一人の正義の為に これ以上、人々の血を流させるわけにはいかぬ」
剣心は刀を抜いた。
宗次郎は斎藤を見た。
「斎藤さん あなたは?」
「俺はあいつの様に綺麗事言う趣味はないがな。 どうやら志々雄を仕留める側の方が性分に合っていそうだ」
斎藤は琴乃の肩に手を置いた。
「こいつも志々雄が苦手の様だしな」
「……っ…」
…多くの血が流れるのはもう…嫌―――…