1.番い
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琴乃と斎藤は京都行きの船に乗っていた。
「風が気持ちいいですね」
「……フン。 ご機嫌だな」
そう言って 斎藤は煙草の煙を吐き出した。
煙は風に攫われていった。
「…私にとって 懐かしい思い出の場所ですから」
「まあ それは俺も同じだが…」
琴乃は斎藤を見た。
「それに 一様と旅行に来ているみたいで楽しいです! …そんな気分ではないでしょうけど…」
「……旅行か…」
斎藤は遠くを見た。
「フッ」
斎藤は琴乃に視線を戻した。
「どこか行きたい所があるのか?」
「えーっと…北海道?」
「…なぜ俺に尋ねる」
「…一様はどこか行きたい所はあるのですか?」
「……特にないが…」
斎藤は琴乃の髪を撫でた。
「お前と一緒なら どこへでも行くさ…」
「……一様」
嬉しくなった琴乃は満面の笑みを浮かべ、斎藤の腕に頭をつけた。
その頃、一人 東海道を行っていた剣心は御庭番衆の操と出会っていた。
琴乃と斎藤は港に迎えに来た馬車に乗り、京都の某警察署に着いていた。
「京都についてそうそう…申し訳ないね 藤田君」
「いえ」
斎藤は帽子を取った。
琴乃は頭を下げた。
斎藤と琴乃は部屋で志々雄の情報を見ていた。
その後、琴乃と斎藤はすぐに志々雄の手掛かりである“新月村”に向かっていた。
「………」
“新月村”……志々雄 真実が拠点にしている村……
そして 今…志々雄がそこに……
琴乃は自分の手を握り締めた。
「!」
その時、琴乃の手に斎藤の手が置かれた。
琴乃は斎藤を見上げた。
「心配するな」
「……はい」
琴乃は瞳を伏せた。
…そんな事言われても……
やっぱり貴方が心配―――…
剣心と操は、血だらけになりながら 気を失っている弟である三島 栄次を抱えている 三島 栄一郎を見かけた。
栄一郎は剣心と操に、弟と自分の暮らす“新月村”を志々雄から救ってくれ様に頼み そのまま息を引き取った。
剣心と操は栄一郎の為にお墓を作った。
そして 剣心は操と栄次を残し、一人 “新月村”に入った。
そこには、栄次の両親が処刑され、見せしめの為に吊るされていた。
「親父ッ! おふくろ!!」
操と共に、こっそり剣心の後を追っていた栄次は悲痛の叫びをあげた。
それにより、志々雄の部下が集まってきた。
そして、「他所者には死あるのみ」として 剣心たちを襲ってきた。
「他所者には 死あるのみ―ー」
斎藤は操と栄次を襲っていた志々雄の部下を斬った。
「!」
「フン」
「大丈夫ですか?」
琴乃は操と栄次の前でしゃがんだ
「…え…ええ…」
斎藤は刀を払い、横目で剣心を見た。
「あの野郎 京都へ向かっているとばかり思っていたら…こんな所で 何油売っていやがる!」
「!」
剣心は横目で斎藤を見た。
「何故 お前がここに?」
斎藤は三島 栄一郎から連絡をもらい 駆けつけたことを言った。
「馬鹿な男だ。 俺たちの到着を待っていればいいものを」
「一様っ!」
斎藤は琴乃を見た。
琴乃は首を横に振った。
操は斎藤の言葉にカチンときて 斎藤に駆け寄った。
「ちょっと あんた、死んだ部下に対して そんな言い草ないんじゃない!」
「オイ なんだこの――」
斎藤の思考回路では、恵が狐、薫が狸、そして 操はイタチとなった。
「イタチ娘は」
操はブチ切れた。
剣心は操を宥めた。
「フン」
「一様 女性にそんな事言っていては、ますます嫌われてしまいますよ?」
「今更 女に好かれる意味もない」
斎藤は微笑して 琴乃を見た。
「だろ?」
「………」
俺にはお前がいれば 充分なんだから―――…