1.番い
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「四乃森 琴乃って知ってるか?」
「!」
蒼紫は目を見開いて驚いた。
「どうやら知っている様だな」
蒼紫は振り返り 斎藤を鋭い目で見た。
「…その名前をどこで聞いた?」
「知人にいてな。 変わった苗字だったから まさかとは思ったが…」
やはり 俺の予想した通りか…
…こいつの年齢は確か 琴乃と同じだったな
つまり 琴乃とは双子になるのか……
…性格的に兄の方か……?
…顔は似てないがな
「………」
蒼紫は口を閉ざしてしまっていた。
その頃、お風呂から出た琴乃は斎藤がいない事に気付き 斎藤を探していた。
「……ハァ……ハァ…。 …いない……」
思い当たる場所は探したのに……
…一様…一体どこへ行ってしまわれたのですか――…?
「それで お前はどこまで琴乃の事を知っている?」
「その馴れ馴れしい呼び方…ただの知人ではないな」
「……フン。 まぁな」
斎藤は蒼紫に歩み寄った。
「で…俺の質問の答えは?」
「……“四乃森 琴乃”と言う 双子の妹がいる…としか知らん。 興味もないがな」
「……そうか。 当の本人は気になっているみたいだがな」
「! ………」
蒼紫は背を向けた。
「……俺にとって 過去の者に変わりない」
そう言うと 蒼紫は背を向けて歩き出そうとした。
【一様っ!】
「「「!?」」」
そこへ 斎藤を探していた琴乃がやって来た。
「一様!!」
斎藤を見つけた琴乃の顔が明るくなった。
「!?」
蒼紫は琴乃の顔を見て 自分に似たものを感じた。
「一様っ!!」
一方、琴乃は蒼紫に気付かず、蒼紫の横を通り過ぎ 斎藤に抱きついた。
「どうした? そんなに息を切らして」
「…だって…何も言わずにいなくなってしまったから…」
琴乃は抱きしめる力を強めた。
「…私を置いて…居なくなってしまったのかと……」
斎藤は琴乃の髪を撫でた。
「お前を置いて 行ったりしないさ」
「……一様…」
斎藤は琴乃を見て立ち尽くしている蒼紫に気づいた。
斎藤は琴乃から離れた。
「まだ何か用か?」
「……いや」
琴乃は蒼紫に気づいた。
「……!?」
琴乃も蒼紫と同じく 自分に似たものを感じた。
しばらく 琴乃と蒼紫は見合っていたが、蒼紫は背を向けて 歩き出した。
「…あの…!」
蒼紫は立ち止まった。
「…お名前を…教えてくれませんか?」
「……蒼紫」
敢えて苗字を名乗らず、蒼紫は去っていった。
「…蒼紫さん…」
「……フン」
敢えて 苗字を伏せたか……
だが、これではっきりした
奴と琴乃は双子の兄妹だと――…
琴乃たちと別れた蒼紫は 般若たちのお墓がある山を歩いていた。
般若たちのお墓の前では、志々雄の使いである阿武隈四入道がいた。
蒼紫は志々雄の誘いを断り、志々雄を愚弄した。
それに怒った阿武隈四入道たちは蒼紫に向かってきた。
蒼紫は二本の小太刀で阿武隈四入道を切り刻んだ。
それを見ていた宗次郎は蒼紫を勧誘して来たが、蒼紫は断った。
「まあいいや。 気が向いたら京都へ来て下さい。 僕たちはそこで 待っていますから」
宗次郎が去った後、蒼紫は般若たちのお墓の前に立っていた。
京都…
「華を添えるなら…早い方がいいか」
蒼紫は京都へ向かて歩き出した。
蒼紫の脳裏に琴乃が浮かんだ。
…あの女にも…また会う事があるかもしれんしな――…