1.番い
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
京都へ行く支度を済ませた 琴乃と斎藤は街中にいた。
「一様 ここで何をしているのですか?」
「すぐわかる」
少しして 剣心が通りかかった。
【やっと京都へ行く決心がついたか?】
「!」
剣心は振り返った。
「神谷の娘に別れは行って来たか?」
剣心は斎藤を睨みつけた。
「ちょっ 一様っ…!」
「すまん。 失言だった。 これからは志々雄一派と共に闘う同士なんだ。 仲良くやろうぜ」
「“共に闘う”?」
斎藤は京都での現場指揮を任された事を言った。
「なんだ そのものすごく嫌そうな顔は?」
「別に」
斎藤は顎で馬車を示した。
「とにかくついて来い。 今から横浜へ行けば 朝一番の大阪行きの船に間に合う」
「いや。 拙者は東海道を行く」
「東海道!? かなり距離ありますよ!?」
「知ってるでござるよ」
「なんだ 文無しか? 船代ならちゃんと政府で――「そんなのではござらん!」」
剣心は逃げ場のない船上の闘いとなった場合に、無関係の人々を巻き込む危険性の話をした。
「…考え方は相変わらず“流浪人”か」
「!」
「平和ボケも大概にして 早いうちに“人斬り”に戻った方が身の為だぞ」
斎藤は柄に手を添えた。
「なんならもう一度 ここで闘っておくか?」
「一様っ!?」
剣心も柄に手を添え、人斬りになる事を否定し、“独り”になる事を選んだ旨を言った。
「………」
琴乃は柄に触れる斎藤の手に触れた。
斎藤は琴乃を見た。
琴乃は首を横に振った。
「これから 共通の敵である志々雄一派と闘いに行くのでしょう? 今は敵じゃなくて…仲間…なのですよ?」
「………」
「……フン。 “仲間”…か…」
斎藤は刀から手を離した。
剣心も刀から手を離した。
斎藤は剣心に忠告した。
剣心は背を向けて歩き出した。
「忘れるな。 志々雄との闘いは既に始まっている―――…」
剣心は振り返らず 一人、東海道へ向かっていった。
琴乃は斎藤を見た。
「良かったのですか? お一人で行かせてしまって?」
「なら お前が説得しろ」
「…それは無理です。 …抜刀斎さんが言っていた事にも一理ありますし…」
「まあいい。 行くぞ」
斎藤は背を向けて歩き出した。
「待ってください 一様!」
琴乃は斎藤に駆け寄り 横に並んだ。
「横浜へ行くのですか?」
「まだ大阪へは行かん」
「え?」
「気が変わった。 まだ こっちでやる事もあるしな」
「?」
琴乃と斎藤は一旦 家へ戻っていった。
次の日、街中では剣心に置いてかれた左之助が大暴れしていた。
神谷道場では、薫が布団に潜り いじけていた。
弥彦は左之助を探しに赤べこを訪れていた。
その様子を物陰から琴乃と斎藤が見ていた。
「一様 あの子に何か用があるんですか?」
「まぁな」
弥彦は赤べこを去っていった。
「追うぞ」
「? …はい」
琴乃と斎藤は弥彦の後を追った。
その頃、左之助は克浩の所にいた。
そして、返すアテもない状態でお金を借り、餞別として 新型の炸裂弾をもらった。
少しして 左之助が克浩の家から出た時、左之助を探しに来ていた弥彦とぶつかった。
「弥彦 お前、尾行られたな」
そう言って 左之助は壁に寄りかかっている斎藤とその横に立っている琴乃を見た。
琴乃は会釈した。