6.答え
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――そして その日の夜中、剣心は斎藤の決闘の場所として指定した場所で座って待っていた。
疲れてしまっていた琴乃は警視庁の斎藤の部屋のソファで眠ってしまっていた。
「……ん…」
そして 目を覚ました。
「……!!」
琴乃ははっとして 飛び起きた。
「寝ちゃったっ! !」
琴乃が時計を見ると 既に決闘の時間が過ぎていた。
【何を一人で慌ててる?】
「!」
琴乃は声の主を見た。
「一様!? どうして!?」
「“どうして”? フン…。 誰が決闘に応じると言った」
「!」
確かに言ってなかったけど…
斎藤は琴乃の横に座った。
「…けど……剣心さんとの決闘は一様の望みではなかったんですか…?」
「俺が決着を望んだ相手は 人斬り抜刀斎であって、あの男ではない――――」
「………」
琴乃は瞳を伏せた。
殺し合いじゃないと決闘はしないって事……?
その瞬間、琴乃は斎藤に頬を触られた。
「!」
「俺の望みが奴との決着と言ったな…」
斎藤は琴乃に迫った。
「!」
そのままゆっくりと琴乃はソファに押し倒された。
「…一…んっ」
そして 琴乃は唇を塞がれた。
俺の今 一番の望みは…お前が傍らにいる事だ―――…
しばらくして 振り子時計は夜中の二時を示した。
斎藤は煙草を吸いながら ソファに座り、琴乃はソファに横になり 斎藤の足に頭を乗せていた。
そこに、トンズラしようとしていた張が部屋に入って来た。
「な!」
「なんだ貴様。 こんな時分に何の用だ?」
張は決闘の時間がとっくに過ぎている旨を言った。
琴乃を足から退く様に合図し、立ち上がった斎藤は窓際に歩み寄って 外を見た。
「狼は狼、新撰組は新撰組、人斬りは人斬り だと思っていたのだが、どうやら俺の見込み違いだったようだ」
剣心と抜刀斎が同一人物だと思っている張は訳がわからない事を言った。
「人を殺さなくなった人斬りなどと、今更 決着をつけても、もはや何の感慨も湧きもせん」
斎藤は煙草の吸殻が山積みになっている灰皿に煙草を押し消した。
「それだけの事だ」
「………」
その時 突風が吹き、部屋の中を書類が舞った。
「うわっぷ!?」
「っ!」
斎藤は煙草に火を付けた。
「冷えてきたな…」
「あ? ああ そやな。 もう秋やさかい」
斎藤は琴乃に肩掛けをかけた。
「体 冷やすなよ」
「…ありがとうございます」
琴乃は微笑んだ。
斎藤は窓から外を見て 煙草の煙を吐き出した。
「阿呆が…」
その後―――
斎藤は北海道の部署へ異動となり、琴乃は急な事もあり 剣心たちや蒼紫たちにお別れを言えぬまま ついて行った――
恵は自分の診療所を開く為 故郷である会津へ帰っていった―――
蒼紫と操は御庭番衆の仲間と共に 京都へ帰っていった―――
左之助は信州での一件で追われる身となり、日本を飛び出して 世界に向かっていった―――
――そして 月日は流れ――
明治十五年――
結婚した剣心と薫の間には“剣路”と言う 剣心そっくりな男の子が産まれ 平和に暮らしていた。
――悪一文字を背負い 神谷活心流道場 師範代となった弥彦は、十五歳の誕生日 “元服”を迎え、剣心と手合わせした。
そして、剣心には負けたものの、弥彦は剣心から逆刃刀を託され 神谷道場を旅立っていった―――
剣心の頬の十字傷はだいぶ薄くなっていた。
「剣心」
「おろ?」
薫は剣路の手を持って 剣心に触れた。
「とりあえず お疲れ様」
一方、双子を出産した琴乃は、男の子に“誠”、女の子に“京華”と名付け、北海道にて 斎藤と家族四人で平和に暮らしていた――…
「お母さん お父さんは?」
「もうすぐ帰ってくるからね」
その時 家の扉が開いた。
「お帰りなさい」
「お父さん お帰りなさい!」
甘えん坊である京華は斎藤の足に抱きついた。
斎藤は京華を抱っこした。
「誠はいいの?」
「…大丈夫です」
「男はそれでいい」
斎藤は誠の頭に手を置いた。
「お前は常に 琴乃と京華を守れる様な男になれ」
「…はい」
「……もう」
琴乃は誠を抱っこした。
「…母上?」
「一様 男の子だからって 少し厳しいですよ」
琴乃は誠を見た。
「…いいのよ。 貴方はまだ幼いんだから 甘えても」
「………」
「……フン」
斎藤は誠を抱っこしている琴乃を抱き上げた。
「……これで満足か?」
「あ! お母さんも抱っこ!」
笑みを浮かべた琴乃は誠を見た。
「笑って 誠」
「………」
誠は恥ずかしそうに 不器用な笑みを浮かべた。
どうか このまま…平和な日々が続きます様に――――…
12/12ページ