純黒の悪夢 【完結】
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アイリスがメゾンモクバに向かっていた頃、安室がメゾンモクバから少し離れた所で、ちょうどRX-7に乗ろうとしていたところだった。
「透さんっ!」
良かった…!
「アイリスさん!?」
どうして ここに…!?
アイリスは安室に抱きついた。
「!」
「今朝 不吉な夢を見て、早く会いたくなって“ポアロ”へ行ったら……透さんはお休みだって聞いて…」
「………」
「透さんが危ない目に遭ってないか心配で…」
アイリスは抱きしめる力を強めた。
「よかった…無事で…」
安室はアイリスを抱きしめ返した。
「……心配かけてすみません。 …そして ごめんなさい…」
「…え?」
「僕は…嘘をつきました…」
「…嘘…?」
「今の状態の僕と会わない様に…もともと朝になったら 休む旨の連絡を“ポアロ”に入れるつもりだったのに……、僕が休むことを貴女に発覚する時間を遅らせる為に、待ちあわせ時間を遅らせて 貴女と会う約束をしました……」
安室は抱きしめる力を強めた。
「…貴女の心を傷つける様なことをして すみませんでした…」
「……透さん…」
アイリスは微笑んだ。
「ありがとう 透さん」
「…アイリスさん…」
安室も笑った。
「実は キュラソーが警察病院にいると言う連絡が入って」
「キュラソー 見つかったんだね」
「はい。 でも 記憶を失っている様で 自分の名前すら分からない状態らしいです」
「そうなんだ…」
「では 僕はそろそろ警察病院に向かうので…」
そう言って 安室はRX-7に乗ろうとした。
「待って!」
アイリスは安室の腕をつかんだ。
「どうかされましたか?」
「私も一緒に行く」
「え?」
「だって 黒の…ん」
アイリスの唇に安室の人差し指が当てられた。
「 “黒の組織”の名は出さないでください」
そう言って 安室は指を退けた。
「あ ごめんなさい」
安室はアイリスの顔に自分の顔を近づけた。
「ノック・リストが奴らに渡ったと言うことは僕にも疑いの目がかかってる。 そして 恐らく監視がついてるはずだ…」
「え?」
アイリスは辺りを見ようとした。
「見ちゃダメです」
安室は掌でアイリスの顔を自分に向けさせた。
「僕のせいで貴女を危険な目に遭わせたくない…。 病院には僕一人…」
安室の目つきが変わった。
「“バーボン”として行きます」
「でも…」
だから私服だったんだ…
「…なので…アイリスさんは……」
そう言うと 安室は悲しそうに瞳を伏せた。
「………」
どうして そんなこと言うの…?
どうして そんな顔するの…?
アイリスは再び安室に抱きついた。
「!」
「どうして そんなこと言うの…?」
「…アイリスさん…?」
「秀の生存を知らない組織の中では 私は貴方の恋人なんでしょ? …だから…私も一緒に行く」
アイリスは安室の胸元に頭をつけた。
「一緒に連れてって…」
お願い…一人で抱え込まないで……
「………」
安室はため息をついた。
「貴女は言い出したことを曲げる方ではないですからね…」
「…じゃあ」
安室は助手席のドアを開けた。
「どうぞ」
「ありがとう 透さん」
アイリスは嬉しそうに笑った。
「………」
僕は貴女の笑顔と言葉に弱い様ですね……
アイリスは助手席に乗り込み フォルシオンに連絡をした。
「じゃあ 行きますよ」
「うん!」
安室はRX-7を出し 東都警察病院に向かった。
連絡を受けたフォルシオンは内緒で赤井に連絡をし、ロールス・ロイスで少し距離を取って尾行した。