ゼロの執行人 【完結】
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数日後、貸切となっているポアロでは 小五郎が何事もなく戻ってきた事についての祝賀会が開かれ様としていた。
アイリスと安室はショッピングモールに買い出しに来ていた。
「毛利さん、祝賀会 喜んでくれるかな?」
「アイリスさんが主催者をして下さってるんですから きっと喜んでくれますよ」
「…だといい… !」
その時、アイリスはガラスケースに飾ってある1つのロングスカートが目に入った。
安室はアイリスの視線の先を見た。
「素敵なスカートですね」
「…うん」
アイリスは前に視線を戻して 歩き出した。
「でも、今日は毛利さんの祝賀会があるから… !」
その時、アイリスは腕を掴まれた。
「少しくらい大丈夫ですよ」
「…でも…」
「それに、僕には 貴女にスカートを弁償する責務がありますから――…」
安室はアイリスにロングスカートをプレゼントしてくれた。
「…お言葉に甘えて ごめんね…」
「…僕のせいでスカートを台無しにさせてしまったんですから、気にしないで下さい」
そう言って安室は笑いかけた。
「……零さん…。 大切にするね」
そう言って アイリスも笑みを返した。
「ただいま 戻りました」
「お待たせしてしまってすみません」
アイリスと安室がポアロに戻って来た。
「アイリスさん!」
小五郎がアイリスに駆け寄って来た。
「私の為にこんな素敵な会を開いて頂いて ありがとうございます」
「いいえ。 毛利さんが無事に帰ってこれて 本当に良かったです」
そう言って アイリスは微笑んだ。
【アイリスさん お口に合っていますか?】
カウンター席に座っていたアイリスは 右隣に座ってきた安室を見た。
「ええ。 とっても!」
「それは良かったです。 …そうそう 今回の祝賀会に風見も誘って下さったみたいですね」
「ええ。 残念ながら断られてしまいましたけど…」
「…風見が言っていましたよ。 “またアイリスさんに無礼な事をしてしまった…”…と…」
「ふふっ。 風見さんは本当に真面目な方ですね」
アイリスは少し離れた席で上機嫌にしている小五郎を横目で見た。
「…今回、毛利さんにとって 公安警察の印象はかなり悪いですから 仕方ないのでしょうけど…」
安室も小五郎を横目で見た。
「…そうですね」
安室はアイリスに視線を戻した。
「でも、公安警察は嫌われ者ですから」
「…そんな事ないです! 公安警察 いえ、透さんの、たとえ強引なやり方や違法作業に手を染めても 日本の平和を守ろうとする所、好きですよ」
「……アイリスさん…」
その時、ポアロのドアベルが鳴った。
「すみません。 すっかり 遅れてしまって…」
ポアロに入って来たのは沖矢に変装している赤井だった。
「昴さん!?」
「アイリスさん 今回はお誘いありがとうございます」
沖矢に変装している赤井は笑みを浮かべた。
「……え?」
秀には送ってないんだけど…
アイリスはフォルシオンを横目で見た。
フォルシオンは首を横に振った。
「………」
…勝手に来たって事ね…
「アイリスさん お隣いいですか?」
「!」
アイリスは沖矢に変装している赤井に視線を戻した。
「…どうぞ」
「失礼します」
沖矢に変装している赤井はアイリスの左隣に座った。
アイリスは沖矢に変装している赤井の耳元に顔を近づけた。
「どうして来たの…?」
「“エッジ・オブ・オーシャン”の“カジノタワー”にいた俺が姿を現さないのは不自然かと思ってな」
「…でも…」
アイリスは様子を伺う様に安室を見た。
安室は笑みを浮かべた。
「2人でこそこそ 何を話しているんですか?」
「…大した話じゃないよ」
「…そう言えば…喫茶店でバイトもされていたんですね?」
「…え?」
安室は目が点になった。
「「「ごちそうさまでした!」」」
夜、小五郎の祝賀会はお開きとなり それぞれ帰っていった。
アイリスはポアロの片付けを手伝っていた。
「片付け 手伝ってもらってすみません…」
「…気にしないで。 主催者も ポアロの貸切をお願いしたのも私だから」
【アイリスさんはお優しいですね】
安室はアイリスと同じく、片付けを手伝っている沖矢に変装している赤井を迷惑そうに見た。
「……で なんで貴方までいるんですか?」
「ご馳走になった身分ですから これくらいさせて下さい」
「………」
安室はアイリスに視線を戻した。
「…アイリスさん」
「はい?」
安室はアイリスの耳元に顔を近付けた。
「奴にも声を掛けたんですね?」
「…え…?」
…“奴”って…昴さんの事……?
アイリスは不安そうに沖矢に変装している赤井を横目で見た。
…それとも―――……
安室は不敵な笑みを浮かべていた。
「今日はありがとうございました」
「…こちらこそ…」
笑みを浮かべている安室とは対称に、アイリスはさっきの安室の言葉が気掛かりで複雑だった。
「…夜 遅いですし、家まで送っていきましょうか?」
「うううん。 大丈夫…」
アイリスは沖矢に変装している赤井を見た。
「…昴さんが送ってくれるから」
「ええ」
「…そうですか…」
安室は沖矢に変装している赤井を見た。
「…残念です」
「………」
安室は不敵な笑みを浮かべた。
「…貴方に 次に会う時が楽しみですよ」
「!」
「………」
…さっきの言葉と言い…
…今の言葉と言い……
秀と昴さんが同一人物だと言う推理を勘違いだと 一度は諦めてくれたと思っていたのに…
…まさか…
…零さんが真相に辿り着いてたなんて思いもしなかった―――……
~ Fin. ~