純黒の悪夢 【完結】
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「…ん…。 ここは…?」
目が覚めると アイリスは壁、床、家具…全ての物が真っ黒に統一された見知らぬ部屋にいた。
アイリスは上体を起こした。
「私 昨日、秀とホテルで寝たはず… !」
この臭い…!
アイリスはベッドから降りた。
「!」
その時、ビチャッと音がした。
アイリスは足元を見た。
「っ!!?」
アイリスの足元には赤い液体が流れてきていた。
「血!!?」
誰のっ!!?
秀は…っ!!?
アイリスは血が流れてきている隣の部屋の扉を開けた。
「秀っ!! っ!!? 」
そこには “NOC”である 安室が血を流し 倒れていた。
「零さ…っ!」
安室の身体は既に冷たくなっていた。
「…嘘…でしょ…」
アイリスの瞳から涙が流れ落ちた。
「…ねぇ…嘘だよね…」
アイリスは安室の身体を揺らした。
「…嘘だと言ってよ……零さぁ――――んっっ!!!」
アイリスはそこで飛び起きた。
「……夢…?」
【アイリス 大丈夫か?】
隣では 心配そうに赤井が見ていた。
「…秀……」
「顔色が悪いみたいだが…?」
「…うううん…大丈夫。 汗かいちゃったから お風呂…入ってくるね」
そう言って アイリスはお風呂に入っていった。
「………」
…安室君の名前を叫んでいたが…
どんな夢を見ていたのだろうか……?
アイリスはシャワーを浴びていた。
「…さっきの夢…すごいリアルだった……」
…あの夢がもし 現実になったら……
…零さんは……
アイリスの瞳から涙が流れ落ち 身体が震え出した。
「どうしよう…止まらない……」
アイリスは自分の身体を抱きしめた。
涙と震えがほぼ収まるとアイリスはお風呂から出た。
「随分 長かったな…」
「! …お風呂でちょっと寝ちゃって……」
「下手な嘘だな」
「…え?」
赤井はアイリスを抱きしめた。
「…あ…」
「泣いていたんだろう? それに震えてる」
アイリスの身体は微かに震えていた。
その頃 東都水族館に遊びに来ていたコナン達は 事故を起こし 記憶喪失になっているキュラソーと遭遇し、記憶を取り戻す手助けをしていた。
キュラソーを探しに来たベルモットはキュラソーを見つけ ジンに連絡をした。
赤井がずっと無言で抱きしめていてくれたお蔭もあり、少しして アイリスの震えは収まった。
「…ありがとう 秀」
アイリスは赤井から離れようとした。
「………」
だが 赤井はアイリスが離れない様に抱きしめる力を強めた。
「……秀…?」
「……お前がどんな夢を見ていたのかは聞かない…。 だが お前は……」
赤井はそこまで言って アイリスに口付けた。
「! ………」
アイリスは一瞬驚いたが、そのまま目を瞑った。
…俺の女だ――……
その頃、観覧車に乗ろうと並んでいた元太がはしゃいで落下してしまったのをキュラソーが助けていた。
その動きを見た灰原はキュラソーが黒の組織の仲間であることに気づいた。
「秀 ちょっと今日出てくるね」
「…ああ」
「行ってきまーす」
アイリスは部屋を出て行った。
「………」
隠さずに 安室君のところに行く…
と素直に言えばいいものを…
俺を傷つけない様に配慮したんだろうが…
余計に傷つく…
……俺はいつからこんなに嫉妬深くなったんだろうな…
お前と付き合った頃から…?
お前と婚約してから…?
記憶を失ったお前が安室君と恋人関係になってから…?
お前は俺が余裕のある男だと思っているかもしれんが…
俺はそんなできた男じゃないと言うのに……
アイリスは駐車場に向かいながら安室に電話をかけていた。
「なんで出ないの!?」
もしかして 既に…
アイリスの脳裏に今朝の夢が浮かんだ。
アイリスは首を横に振った。
「零さんは生きてる!」
【アイリス様】
向こうからフォルシオンがやって来た。
「これからお部屋の方へモーニングティーを淹れにあがろうかと思っていたのですが…今日は随分とお早いですね」
「急ぎで“ポアロ”の方に行きたくて…」
「予定は15時からだったのではないのですか?」
昨日のNOCリストの件で何か…
「ちょっと嫌な予感がして…。 電話したんだけど 零さん出ないし…」
「…かしこまりました。 今回は相手が相手ですので 私がお供致します」
「私一人で大丈夫よ」
「いえ 今回は単独行動は危険です」
アイリス様には内緒で、赤井様と連携して動かれた方が良さそうですね…
「……わかった…。 行こう フォルシオン」
「はい」
アイリスはフォルシオンと共に駐車場へ向かった。