ゼロの執行人 【完結】
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アイリスと安室はしばらくの間 見合っていた。
安室は小さく息を吐いて 上着を脱ぎながら アイリスに歩み寄った。
「!」
アイリスは身構えた。
安室はアイリスの頭から自分の上着をかけた。
「…あ」
「風邪 引いてしまいますよ」
「……ありがとう…」
いつもの零さんだ――…
アイリスと安室は横に並んで お互いに正面を見ながら話していた。
「……街中で2回目に会った時の事を思い出しますね」
「……うん」
「………」
「………」
「……アイリスさん…僕の事……嫌いになりましたか…?」
「…え?」
アイリスは安室を見たが、安室は正面を見たままだった。
アイリスは正面に視線を戻し、首を横に振った。
「…零さんの事 嫌いになんてなれないよ…」
「!」
安室はアイリスを見た。
アイリスも安室を見た。
「…だから もう心配かけないで」
安室は瞳を伏せた。
「……残念ながら それは約束できません…」
「! ………」
「……でも 気をつけますね」
「……うん!」
そして、2人は微笑し合った。
「風見がアイリスさんに殺されるんじゃないかと怯えてましたよ?」
「…風見さんが?」
アイリスは笑った。
「私は 人殺しには手を染めようとは思わないし、見ず知らずの人ならまだしも 親しい人を殺す事なんてしないよ」
あくまで普段の話だけど…
安室は微笑した。
「……だ そうだ、風見」
「!」
アイリスが後ろを見ると 傘を差した風見が立っていた。
風見はアイリスに歩み寄って 傘を差し出した。
「どうぞ お使いください」
「……あ ありがとう…」
アイリスは風見から傘を受け取った。
そして、風見は深々と頭を下げた。
「この度の数々のご無礼、申し訳ありませんでした」
「……零さんの命に絶対服従…」
「!」
風見は顔を上げた。
アイリスは笑った。
「…大変ですね」
「………」
風見は安室の顔色を伺って アイリスに視線を戻した。
「……ですね」
「…風見」
アイリスは不機嫌そうにしている安室を見た。
「…零さん もう少し風見さんを大切にしてあげて下さい」
「……そうですね」
安室は困った様に微笑した。
「……降谷さん」
アイリスは微笑し、風見も微笑した。
その頃、蘭と合流したコナンは妃法律事務所を訪れ、“IoTテロ”である旨を説明し、テロ発生時に検察に身柄を拘束されていた小五郎はネットにアクセス出来ない為 容疑が晴れると確信し合った。
が、境子先生は予め時間を設定しておけば、拘束中でもテロの実行は可能である事を言った。
そこで、境子先生はサイバー捜査を行っているのが公安である事を言い、公安警察は沢山の協力者がいる事を説明し、コナンの違和感が深まった。
「…ありがとう 零さん」
風見から傘を貸してもらったアイリスは、安室に上着を返した。
「どういたしまして」
安室は上着を受け取り 着た。
アイリスは安室の方に傘を差した。
「僕は大丈夫ですから」
「…でも…」
アイリスは風見を見た。
「風見さん」
「ご好意だけ受け取っておきます」
「………」
アイリスは仕方なく 1人で傘に入った。
携帯でIoTテロのニュースを見ていた風見は画面を消した。
「…まさか IoTテロとはな」
風見は携帯をズボンのポケットにしまった。
「流石ですね」
風見は背を向けて歩き出した。
「そんな手口を特定するなんて」
「特定したのは僕じゃないが、お蔭で事件化には成功した。 よって 我々がした違法作業に片を付けたい」
「! ………」
やっぱり毛利さんの逮捕は仕組まれて…
安室は歩き出した。
「協力者の解放だ」
「!」
風見は安室の後を追って 歩き出した。
……協力者…?
アイリスは疑問に思いながら 安室と風見の後を追った。