ゼロの執行人 【完結】
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして、東京サミット当日、アイリス達は公判前整理手続をしに 裁判所を訪れていた。
公判前整理手続を終え、日下部検事と橘弁護士が戻ってきた。
日下部検事は岩井統括官へ電話しながら去っていき、境子先生は日下部検事が開示した証拠を英理に渡し トイレに向かっていったが、コナンの呼びかけを無視して トイレとは反対方向へ向かっていった。
境子先生がお手洗いに向かってすぐ、風見に仕込んである盗聴器が反応し、近くにいる事を示した。
「アイリスさん!」
アイリスは頷いた。
アイリスとコナンは裁判所内を見渡せる2階のバルコニーに移動し 辺りを見渡して風見の姿を探した。
その時、風見に仕込んである盗聴器を通して 境子先生の着メロが聞こえた。
「……これって偶然…?」
「……いや」
「! ………」
アイリスとコナンは風見と境子先生は繋がっている事に気づいた。
その日の捜査会議では、爆発の原因となった ガス栓の遠隔操作に、“IPアドレス”を暗号化し 複数のパソコンを経由した上で標的のパソコンに不正アクセスを行うソフトである“Nor(ノーア)”が使われている事が判明し、アクセス者の追跡が極めて困難なものである事が 風見の報告で伝えられた。
アイリスとコナンは警視庁の側にある公園で、風見に仕込んである盗聴器を通して 捜査会議を聞いていた。
【捜査会議の盗聴かな?】
「「!」」
コナンはメガネの左目のレンズのモニターを消して、声がした方へ駆け寄った。
「なんでここが!?」
「毛利 小五郎の事となると、君は一生懸命だね。 それとも…蘭姉ちゃんの為かな?」
「っ!」
アイリスはコナンを守る様に 安室との間に立ち塞がった。
安室はアイリスを見た。
「アイリスさん 聞きましたよ。 この間、捜査会議に姿を現したそうじゃないですか」
「!」
「……それが何?」
「いえ…、どうしていつも貴女は 自ら危険な橋を渡ろうとしてしまうのか…と…」
安室は困った様に微笑した。
「! ………」
零さん…?
その時、アイリスとコナンは物音がした方を見た。
「構わない。 出てこい」
安室は物音がした方を見て 言った。
「なぜ私を呼んだんです?」
そこには、安室の招集で 捜査会議を一時 後にした風見がいた。
「!」
風見さん…!
風見の問いに答えようとしない安室の表情は 前髪に隠れてわからなかった。
「……降谷さん?」
安室は物凄い形相で風見に歩み寄った。
「っ!」
そして、右腕を掴み ひねり上げ、裾の裏に付けられていた盗聴器を取った。
「!?」
「「!」」
…気づかれてた…!
「これでよく公安が務まるな?」
「…すみません」
風見は顔を背けながら言った。
安室は盗聴器を指で潰し 風見の腕を放した。
そして そのまま背を向けて歩いて行った。
「零さん…!」
アイリスはすぐに安室の後を追いかけた。
「…一体 誰が…?」
「アイリスさん 待って!」
コナンは柱に立て掛けておいたターボエンジン付きスケボーを手に持ち アイリスと安室を追いかけていった。
が、風見に話しかけられて 立ち止まった。
コナンは安室が全国の公安警察を操る 警察庁の“ゼロ”で、接触できる限られた人が風見である事を言った。
「…君は一体…何者だ?」
「江戸川 コナン…探偵さ」
少しして 雨が降ってきた。
「君が言う“安室”と言う男は……人殺しだ」
風見は橋の手すりの上で拳を握った。
「え?」
アイリスを追いかけようとしたコナンは振り返った。
風見は去年、安室が取り調べを行った容疑者の男を自殺に追い込んだ事を言い、背を向けて去っていった。
捜査会議で 小五郎が犯人である事を確定しようと進む中、東京サミットの為に厳戒態勢下にある都内の至る所で あらゆる電気製品が暴発・発火し、都内は大パニックに陥っている事が伝えられた。
アイリスさん どこだ…!?
その時、コナンは街中でニュースを見て、サイバーテロの一種である“IoTテロ”で、国際会議場の爆破も同じIoTテロで行われた事に気づいた。
コナンはすぐに目暮警部に電話をして “IoTテロ”である旨を話し、パソコン音痴の小五郎には到底不可能な事である事を伝えた。
安室はコナンの携帯に仕込んだ アイコンが残らないタイプの遠隔操作アプリにより その会話を聞いていた。
安室は雨に濡れた前髪を右手で掻き上げた。
「“IoTテロ”か…。 なんて子だ」
【……零さん】
「!」
安室が振り返ると、そこには雨に濡れたアイリスが立っていた。