ゼロの執行人 【完結】
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コナンはひとまず、蘭と園子のもとに戻ろうとした。
アイリスは動かず、閉まっているポアロの扉を見ていた。
「………」
「……アイリスさん?」
「……ごめんね コナン君」
「!」
「…私がもっとちゃんとしていれば…!」
アイリスは悔しそうに拳を握りしめた。
コナンはアイリスに歩み寄り、握られている拳に優しく触れた。
「アイリスさんのせいじゃないよ」
「! ………」
「だから、自分を責めたりしないで」
「……コナン君…」
アイリスは頷いた。
その後、コナン達は助けを求めて 英理が経営している妃法律事務所を訪れた。
その頃、コナンとポアロの前で別れたアイリスは、車を近くの駐車場に止め、顔を伏せて 工藤邸の門の前にずっと立っていた。
アイリスは別れ際のコナンとの会話を思い返した。
「アイリスさんはこれからどうするの?」
「とりあえず、状況を整理しようかと」
「そうだね」
「それに 情報を伝えたい人もいるし」
「…もしかして…」
アイリスは頷いた。
「…それは難しいと思うよ…」
「…わかってる」
アイリスは瞳を伏せた。
「…それでも 今は…たとえ公に動けないとしても 1人でも協力者が欲しいから…」
「………」
コナンは頷いた。
「じゃあ、私はもう行くね」
「うん」
アイリスは赤色のGT-Rに乗り込もうとした。
「アイリスさん!」
「?」
アイリスはコナンを見た。
「下手な動きをすれば、きっと 警察はアイリスさんも逮捕するつもりだよ!」
「!」
「だから 無茶な事は絶対にしないで!」
「……コナン君…」
「…僕にとってアイリスさんは 強力な協力者だから――…!」
【いつまで そうして立っているつもなんですか?】
「!」
アイリスは顔を上げて 工藤邸から出てきた、沖矢に変装している赤井を見た。
沖矢に変装している赤井はアイリスに歩み寄り、門扉を開けた。
「まだ夜は冷えますから どうぞ中へ」
「………」
が、アイリスは動こうとしなかった。
「………」
沖矢に変装している赤井はアイリスの腰に手を添えた。
「どうぞ 中へ」
「………」
アイリスは頷いて、沖矢に変装している赤井と共に工藤邸に入った。
工藤邸のドアが閉まり アイリスは沖矢に変装している赤井に抱きついた。
沖矢に変装している赤井は変声機のスイッチを切った。
「どうした?」
「……っ…」
アイリスは首を横に振った。
沖矢に変装している赤井はアイリスの髪を撫でた。
ひと息ついたアイリスは、赤井に事情を話した。
「…なるほど」
安室君はどうやら無事みたいだが…
「…私…無力の自分が情けない…」
「…お前が無力なんて事はない」
「……秀…」
「ただ 警察はどうしても毛利 小五郎を容疑者として逮捕したい様だ…」
沖矢に変装している赤井はコーヒーが入ったカップをテーブルに置いた。
「お前に圧力まで掛けてな」
「………」
アイリスは顔を伏せた。
「…秀」
「なんだ?」
「…秀たちは今回…力を貸さないで……」
「!?」
沖矢に変装している赤井は目を見開いた。
「…なぜそんな事を言う?」
「…ごめんね。 本当は力を借りたい。…でも…」
アイリスは顔を上げて沖矢に変装している赤井を見た。
「今回は日本の警察が大きく関わってきてるし、“FBI”で、不法滞在の立場である秀たちに動いてもらう訳にはいかない…」
「………」
「それに…」
アイリスは拳を握り締めた。
「私は秀が逮捕されるなんて絶対 嫌!」
私を逮捕しようとしてきてるくらいだから、秀たちにも同じ事が言えるから…!
「……アイリス…」
「…お願い」
「………」
沖矢に変装している赤井はため息をついた。
「…わかった」
そして、沖矢に変装している赤井はアイリスを抱き寄せた。
「…俺もすぐ動ける様にしておく。 だから あまり無茶するなよ?」
「…うん」
アイリスは沖矢に変装している赤井に抱きついた。
「秀 ありがとう!」
前回は 秀と零さん…強い2人の味方が一緒に行動出来たけど…、
今回は コナン君と2人で何とかしないと……!
早朝、安室は公衆電話で事件の事で 風見と話していた。
そして、公安の協力者である“2291”、橘 境子を導入する事が告げられた。
「降谷さん」
「ん?」
「……アイリスさんを敵に回すのは怖いですね…」
「…ああ。 普段 優しい分、彼女が桜雅家の者だと言う事を忘れてしまう」
「…ええ。 寿命が縮む思いでした…」
「…そうか ご苦労だった。 これで 彼女は下手に動けなくなる」
恐らく奴も
「…はい。 …ですが…」
「なんだ?」
「…今日は大人しく引き下がってくれましたが…、アイリスさんが圧力に屈するとは思えないのですが……」
「…そうだな。 俺の予想では、明日辺り 捜査会議に乗り込んでくるはずだ」
「!」
「…だが、周りにいる者達がアイリスさんを犠牲にして 毛利 小五郎を救出したいと考えているとは 到底思えない」
「………」
「…彼らはそう言う人たちだ――」
風見との電話を終えた安室は昇り始めた朝日を見た。
アイリスさん、どうか無茶な行動は控えて下さい
…僕は…貴女を逮捕したくないから―――…