純黒の悪夢 【完結】
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アイリスが入院している間、多くの人がお見舞いに来てくれた。
そして――…
アイリスは医者の反対を押し切り 退院することにした。
「やっと解放されるー!」
アイリスはフォルシオンとラジャイオンと共に病院の出口に向かって歩いていた。
「お前が強引に出ただけだけどな…」
「だって 退屈なんだもん!」
「まだ本調子ではないのですから あまり無理はなさらないでくださいね」
「わかってるよ! それより フォルシオン」
「はい なんでしょう?」
「例の二つの件 話済んだ?」
「ええ。 安室様の件はすんなりと」
「良かった。 これで 上司に零さん達の今回のミスについて グチグチ文句を言われることはなくなるね」
「…そうですね」
まあ 貴女が“立場を無くすことなんて簡単なこと”と脅迫したら 誰もが従わざる得ない訳ですが…
「それで もう一つの件は?」
「その件は少し時間がかかりそうで…」
「…そう…」
「ですが もう少ししたらいい結果をお知らせできると思います」
「良かった…」
アイリスは病院の出口を出た。
そこには赤井と安室が車を止め 待っていた。
「秀! 零さん!」
アイリスは赤井と安室の方に駆け寄った。
「退院 おめでとうございます」
安室はアイリスに花束を差し出した。
「ありがとう 零さん」
アイリスは花束を受け取って 微笑んだ。
安室は勝ち誇った顔で赤井を見た。
「あれ 貴方は何も用意されてないんですね?」
「俺には“物”は不要だからな」
そう言うと 赤井はアイリスに歩み寄った。
「退院 おめでとう アイリス」
そして 軽く口付けた。
「……ありがとう…秀…」
アイリスの頬は少し赤くなっていた。
赤井は安室を見た。
「何か問題かな?」
「…別に」
そう言うことですか…
安室はぷいっとそっぽを向いた。
安室はアイリスを見た。
「さあ アイリスさん、ご自宅で皆さんが貴女の帰りを待ってます」
「みんなが!?」
「…?」
そんな話は聞いてない気がするが…
「はい。 一緒に帰りましょう。 僕が送ってあげますから」
「安室君 彼女を送るのは俺がすべき事だと思うが…」
俺には内緒の話だったのか…?
「貴方は一人で来てください。 僕はアイリスさんと一緒に行きますから」
安室はアイリスを見た。
「行きましょう アイリスさん」
「え…でも…」
アイリスは赤井の顔を見た。
赤井は困った顔をしていた。
「さあ どうぞ」
安室は戸惑っているアイリスをRX-7の助手席に乗せた。
そして 安室は運転席に乗り エンジンをかけた。
「じゃあ 先に行ってますからね」
「秀…ちゃんと来てね」
「…ああ」
アイリスは嬉しそうに笑った。
安室はRX-7を出した。
「よろしいのですか 赤井様?」
「何がだ?」
「安室様は嘘をつかれていますよ」
「ん?」
「アイリスの退院を知ってるのは 俺たちとお前とあいつだけだ」
「…フン。 どうやら 彼にしてやられたみたいだな」
アイリスの家に人は集まってないと言う事か…
道理で違和感を感じた訳だ…
赤井は急いでマスタングに乗り 安室を追いかけて行った。
友好関係は束縛しないと言ったが、恋愛関係は別だぞ 安室君!
「ふふっ。 あの三人が一緒に暮らしたら 楽しそうですね」
「はァ? 何バカな事 言ってんだか…」
「ですね。 それにしても…まさか お嬢様があんな事を言うとは思っていませんでしたね」
「ったく あいつはお人好しだよ」
「そうですね。 でも それはお嬢様の良いところだと 私は思いますがね」
「そうだな」
…“キュラソーの遺体を引き取りたい”…
…なんて――…
その頃 アイリスを乗せた安室は高速に乗った。
「あれ? 私の家 こっちじゃないよ 零さん?」
「知ってますよ。 少し 貴女とドライブしたくて」
「え?」
その時、RX-7の右隣に赤いマスタングが並んだ。
「安室君 詳しく説明してもらおうか?」
「秀!?」
…なんか…怒ってる……?
「あれ? もう 気づかれちゃいましたか…」
「…どう言うこと 零さん?」
「詳しい事は後で話します。 アイリスさん しっかり 掴まっていてくださいね」
そう言うと 安室はアクセルを強く踏んだ。
「全く…」
赤井もアクセルを強く踏んだ。
「……ふふっ」
アイリスは赤井と安室の再びのカーレースによって 今回のキュラソーの一件を思い返した。
今回 二人が協力し合ったお蔭で 少し距離が近づいた気がする
…そして いつか――…
アイリスは言い合いをしている赤井と安室を見た。
昔のように笑い合って過ごせる日が来ますように―――…
……でも……
…現実はそう甘くなかった――――……
~ Fin. ~