純黒の悪夢 【完結】
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ノースホイール側の観覧車は水族館に激突していたが そのまま転がり続けていた。
コナンは伸縮サスペンダーの先をノースホイール側の観覧車に取り付け、はめて 縮めた。
「どうだ?」
ノースホイール側の観覧車とサウスホイール側の観覧車に取り付けた伸縮サスペンダーがピンと張った。
「よし! …いや まだか」
サウスホイール側の観覧車は未だに転がり続けいていた。
その頃、蘭と園子は避難していた。
「これでは止まらんぞ?」
「大丈夫! まだ手はある」
アイリス達は観覧車の上を走っていた。
「くそっ! このままじゃ間に合わねェ!」
コナンは観覧車を滑り降りた。
「コナン君っ!」
アイリスもコナンの後を追い 観覧車を滑り降りた。
「よせ。 焦るな」
赤井も観覧車を滑り降りた。
アイリスはコナンの体を包み込んだ。
「秀ー!」
そして 左腕を赤井に伸ばした。
赤井はアイリスの左手を掴んだ。
アイリス達は着地した。
着地した部分にはアイリスと赤井の血が流れ落ちた。
「!?」
秀 怪我を!?
アイリスは赤井を見た。
赤井は平然としていた。
コナンはボール放出ベルトを観覧車に取り付け サッカーボールを出し 膨らませた。
「これなら どうだ!?」
蘭は膨らんでいくサッカーボールに気づいた。
「膨らめ! もっと早く!」
「くっ!」
「もっと大きく!」
「!」
お願い! 止まって…!
サッカーボールが膨らんでいく速さは 観覧車を止めるには遅かった。
「だめだ! 止まらねェ!」
その時 工事現場に止まっていたクレーン車がノースホイール側の観覧車に突っ込んできた。
「!?」
あれは…!?
そして 観覧車にクレーンを引っ掛けた。
そのクレーン車を運転していたのは怪我を負い 白いイルカのキーホルダーを手に持っているキュラソーだった。
「「!」」
アイリスと灰原はキュラソーに気づいた。
「!」
その時 キュラソーはゴンドラの中に光彦たちがいることに気づいた。
「止まれ―――――っっ!!!」
観覧車はキュラソーが乗っているクレーン車を押しつぶす形で止まり、クレーン車は爆発した。
観覧車が止まったことにより 人々からは歓声の声が上がっていた。
「なんて子だ…。 本当にこの巨大な観覧車を止めるとは…」
安室はコナンを賞賛した。
「あのクレーン車…一体 誰が…」
「良くやったな ボウヤ」
「……うん」
コナンは浮かない顔をしていた。
「……っ…」
その時 アイリスが観覧車から落ちそうになった。
「!」
「アイリスさんっ!」
赤井はアイリスの左手を掴み 抱き寄せた。
「アイリスさんはっ!?」
「気を失ってしまった様だ」
アイリスはぐったりとしていた。
「早く病院へ連れて行ってあげないと…!」
「ああ」
東都水族館には多くのパトカーと救急車が来ていた。
救急隊員が布を被せてある遺体を運んでいた。
コナンと灰原はその遺体に駆け寄っていた。
意識を取り戻した風見が部下に支えられ 救急隊員に声をかけた。
「待ってくれ。 遺体の確認がしたい」
「ああ 構いませんが、身元が判別出来る状態ではありませんよ…」
そう言うと 救急隊員は顔の布を少しどけた。
「「「っ!」」」
遺体の状態の酷さに風見たちは言葉を失ってしまった。
「わかった。 ご苦労。 行ってくれ」
その時 布の中から 黒いものが落ちた。
コナンはそれを拾った。
「それって…」
「ああ」
それはキュラソーにあげた白いイルカのキーホルダーが黒くなったものだった。
「僕」
コナンと灰原は風見を見た。
「今拾ったものを見せてくれないか?」
コナンは風見に渡した。
「なんですかね?」
「まさか……記憶媒体…?」
「いや “記憶”じゃない」
コナンは背を向けて歩き出した。
「“思い出”だよ」
コナンは目を伏せた。
「黒焦げになっちまったけどな…」
その後 東都水族館の電気が復旧し、多くの負傷者や損害はあったものの 死者1名と言う形で幕を閉じた―――…