1.愛する人
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「真面目に答えろ! 答えなければ このまま車をクラッシュさせるぞ!!」
「ちょっと あなた本気!?」
「この男は性格上 嘘はつかんだろう」
「秀! そんな悠長なこと言ってないでよ!」
その間にも車はどんどんスピードを上げていき、外からはクラクション音が聞こえてきた。
赤井は指を組んだ。
「で、質問は “なぜアイリスの恋人になったのか?”…だったな?」
「…そうだ」
「“なぜ”と言われると 俺にもわからんな」
「…なんだと?」
「なぜなら 人を好きになるのに 理由なんてないからさ。 …ただ 傍にいて護ってやりたい……それだけだ」
「! ………」
ラジャイオンはアクセルを踏む力を緩めた。
「………」
「………」
ジョディは赤井とラジャイオンの顔を交互に見ていた。
アイリスを乗せた白色のロールス・ロイスは“ヘーヴロイヤルホテル”に向かっていた。
「動物園 楽しかったなぁー」
「それは良かったです。 それより アイリス様」
「なに?」
「今朝方 赤井様の夢を見られていましたか?」
「え…!?」
「その様子だとそうみたいですね」
「……うん…」
アイリスは瞳を伏せた。
「…秀が…帰ってくる夢……」
「…そうですか。…連絡はされていないんでしたっけ?」
「…してない…。 忙しいと思うし… それに…」
「“それに”?」
「……“会いたい”…って言っちゃいそうだから……」
「……赤井様もきっとそう想ってくれていますよ…」
「…そうだと嬉しいな…」
「はい」
アイリスは窓から外の景色を見た。
街は夕日を浴びて 橙色に輝いていた。
ヘーヴロイヤルホテルのエントランスに着き ドアマンは車のドアを開けた。
「お待ち申し上げておりました アイリスお嬢様」
「ありがとう」
アイリスは車を降りた。
フォルシオンも運転席から降りた。
「車 お停めして参ります」
「車はそのままで結構です」
「?」
【相変わらず 自分の車を赤の他人に運転させないんだな お前は】
エントランスから ホテルのオーナーで、桜雅家と関係が深い 西園寺 雷が出てきた。
「雷おじ様!」
「アイリス 元気だったかい?」
「うん!」
「西園寺様 お久しぶりでございます」
フォルシオンは胸に手を当てて 頭を下げた。
「久しぶりだな フォルシオン。 今日はラジャイオンは一緒じゃないのか?」
「後ほど合流しますので その時にご挨拶をさせて頂きます」
「そうか。 では フォルシオンが車を停めに行っている間 先にホテル内を案内しよう」
「わーい! フォルシオンも早く来てねー」
アイリスと西園寺はホテルの中に入っていった。
「はい」
フォルシオンは車を停めに行った。
「ねえねえ 雷おじ様、今日 司さんはいないの?」
「彼には 今 手が離せない私の代わりに 海外に行ってもらっているよ」
「ふ~ん…」
海外…?
「アイリス まずはお部屋を案内しよう」
「雷おじ様 その前に、私 お風呂に入りたいな…。 …動物園からそのまま来たから」
「ああ いいとも。 じゃあ 折角だから温泉に案内しよう。 こっちだよ」
「ありがとう」
「動物園に行ったとは ホワイトタイガーの赤ちゃんかな?」
「うん! そうだよ! 雷おじ様にも招待状送ったでしょ? 見に来てくれた?」
「ああ 届いたよ。 …でも 私は今 ホテルのことで手一杯だよ」
「そっか…。 でも 絶対来てね! とっても可愛いから! もうすぐ一般公開もするし」
「アイリスがそこまで言うなら 今度時間を作って行ってくるよ」
「うん!」
「さて 着いたよ」
「温泉 沢山あるんだね」
「ああ。 色々な温泉があるからゆっくり楽しんでおいで。 私は少し打ち合わせをしているから」
「うん! 後でね 雷おじ様」
アイリスは手を振って お別れをした。
そして 全ての温泉を制覇すべく 順番に入っていった。
車を停めたフォルシオンは 西園寺から温泉に行った旨を聞き アイリスのもとに向かっていた。
「予定では もう少しで赤井様たちが到着してしまいますね…」
フォルシオンは懐中時計を見た。
「こっちの予定は大幅遅れ…全く アイリス様の予定は毎度当てになりませんね。…ですが 今日のディナーの計画が第一優先、ホテルのチェックはまた明日にして頂くとしますか…」
アイリス様と赤井様の為に……