1.愛する人
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アイリスを乗せた白色のロールス・ロイスは夢想動物公園に向かっていた。
「ところで 夕方からの予定って何?」
「ああ 近日オープン予定の“ヘーヴロイヤルホテル”にて、出資者であるアイリス様に過ごして頂いて ご感想を聞かせて欲しいとのことで…」
フォルシオンはパンフレットを渡した。
「…へぇー すごい設備ね!」
「高級レストラン・バー、エステはもちろん、ジムやスパ、結婚式場や会議室…他にも充実な設備が整っているらしいですよ。 あと、セキュリティの面にも力を入れているらしいですよ」
「楽しそう! でも その前にホワイトタイガーの赤ちゃんだね!」
「アイリス様は本当に動物がお好きですね」
「もちろん! だって可愛いし、癒されるし…」
「そうですね。 さあ もう直ぐ着きますよ」
アイリスを乗せたロールス・ロイスは夢想動物公園の駐車場に入っていった。
「やっと着いたわ 日本」
「………」
元気にしているだろうか…
「で 秀が言っていた迎えは?」
「……あれだ」
赤井はロータリーを指差した。
黒色のロールス・ロイス…
ラジャイオンの方か……
ロータリーには黒色のロールス・ロイスが止まっていた。
車の横には、タバコを吸いながら寄り掛かっているラジャイオンがいた。
「銀髪!?」
ジン!?
「よく見ろ ジョディ」
【俺を黒の組織の“ジン”と見間違えたか ジョディ・スターリング?】
「!?」
私の名前を知って…
一体何者…?
ラジャイオンは赤井とジョディの方に歩いてきて 前に立った。
「まあ 日本で銀髪の男なんて少ないだろうからな」
「まさか迎えがお前の方だとはな…」
ラジャイオンは赤井を見た。
「フン。 お前の迎えなんて 来たくもなかったがな」
「フォルシオンはアイリスの方か」
「まァな。 こんなとこで無駄話してる程 時間がねェから 早く車に乗れ」
ラジャイオンは車の方に向かって歩き出した。
「ああ」
赤井はラジャイオンに続き 歩き出した。
「ちょっと待って 秀!」
赤井は立ち止まり 振り向いた。
「なんだ?」
「まだそっちの銀髪の人のこと 紹介受けてないわよ」
ラジャイオンは一瞬 立ち止まったが、そのまま車の方に向かっていた。
「ああ。 彼は桜雅財閥の執事の1人で、双子の弟の方のラジャイオンだ」
「…執事?」
「飛行機に乗る前に話したが、桜雅財閥の奴らを怒らす様なことだけはするなよ。 色々と面倒になるからな…」
「…わかったわ」
桜雅財閥…
芸術に長けている表側とは別の裏側を持つ 元 暗殺一家……
秀の恋人って…一体どんな人なの?
「早くしろ。 置いていくぞ」
「ああ 今行く」
赤井とジョディは車に乗り込んだ。
ラジャイオンは車を出した。
「えーっと…滞在先は…「“ヘーヴロイヤルホテル”」
ジョディは顔を上げて 赤井を見た。
「知っているの?」
「もちろんさ。彼女が出資しているホテルだからな」
「……そう…」
その頃 アイリスはホワイトタイガーの赤ちゃんを抱っこしていた。
「可愛い~~~♡ フォルシオン 写真撮ってー!」
「はいはい」
フォルシオンは写真を沢山撮った。
「折角だから絵 描いてあげるね!」
「アイリス様 他の動物たちを見て廻るお時間がなくなってしまいますよ…」
「えー わかったよ…。 手短に済ませるね」
フォルシオンは溜息をついた。
アイリスは絵を描き始めた。
「………」
「さっきから黙り込んでどうした?」
「え? …何でもないわ」
「………」
「………」
「桜雅財閥のことが気になるか?」
「…ええ…」
ジョディは赤井の耳元に顔を近づけた。
「暗殺一家なんて 信じられなくて…」
そう小声で言って ラジャイオンを横目で見た。
「暗殺の“依頼”を受けていたのは かなり前の話だがな」
「!?」
今の声 聞こえて…!?
「彼は聴力に優れているからな。 オオカミみたいな男さ」
“依頼”を受けていたのは…か…
「フン。 褒め言葉として受け取っておこう」
「そのつもりで言ったつもりだが…」
その言葉が指すのは…つまり――…
「………」
「………」
車内に不穏な空気が漂った。
「ちょ ちょっと…きゃっ」
その時 急に車のスピードが加速した。
「赤井、貴様はなぜアイリスの恋人になった?」
「…“なぜ”? その質問の趣旨がいまいちわからないが…」
「惚けるな!」
ラジャイオンは更にアクセルを踏み 車のスピードを加速させた。
「真面目に答えろ! 答えなければ このまま車をクラッシュさせるぞ!!」
「「!!」」