3.ハニートラップ
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「お待たせしました」
「…ありがとうございます」
沖矢に変装している赤井は2人分の紅茶をテーブルに置いた。
「昴さんは1人でこちらに住まれてるんですか?」
「ええ。 とは言っても 元々知人の家で 仮住まいさせてもらっているんですけどね」
「そうだったんですね」
「…アイリスさん」
「何ですか?」
「…もしかしたら 辛い事を聞いてしまうかもしれないのですが…」
「………」
「先程 どんな夢を見られていたんですか―――?」
「!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。
そして 悲しそうに瞳を伏せた。
「すみません。 そんな顔をさせるつもりは…」
アイリスは首を横に振って、瞳を伏せた。
「…以前 記憶を失っているとお伝えしたと思うのですが…」
「…ええ。 原因は…親友の方だと伺いました…」
アイリスには俺を親友と言う扱いにしてあったな…
アイリスは頷いた。
「…確かに 私が記憶を失った原因は私の親友の方なんですが……私…その方の事を全然思い出せなくて…」
「………」
「…と言うより 思い出す事を頭と体が拒否してしまって……それに……」
アイリスは自分の右手を左手で握り締めた。
沖矢に変装している赤井はアイリスの手を握った。
「いんじゃないですか? 少しずつ ゆっくりでも」
「!」
アイリスは沖矢を見上げた。
「焦らなくてもいいと思いますよ」
「……昴さん」
「僕も医学的な事はあまりよくわかりませんが、ずっと考え込んでいても疲れてしまいますし、リラックスした状態が1番だと思いますよ」
そう言って 沖矢に変装している赤井はアイリスに笑いかけた。
「………」
アイリスは笑みを返した。
本当に不思議…
昴さんの手は懐かしい気がするし、
昴さんの言葉は全て正しい気がして…安心する―――…
「…あ そう言えば 昴さんの知人さんは…?」
「…ああ。 あのフロアで見かけたんですが…、残念ながら人違いだった様で…今日はお付き合いしてくださってありがとうございました」
「いいえ。 でも 昴さんの知人さんじゃなくて残念でしたね…」
沖矢に変装している赤井のメガネが怪しく曇った。
「…ええ…そうですね」
別の大きな収穫があったがな
「じゃあ 私そろそろ失礼しますね」
「もうですか?」
「随分 長居してしまったので…」
「これから夕飯の支度をするので 良かったら食べていきませんか?」
「でも…」
「遠慮なさらず。 ね?」
沖矢に変装している赤井は笑いかけた。
「じゃあ お言葉に甘えて…」
「是非」
沖矢に変装している赤井は嬉しそうに微笑んだ。
アイリスと沖矢に変装している赤井は並んで カレーを作っていた。
「アイリスさん 覚えが早いですね」
アイリスは恥ずかしそうに顔を伏せた。
「…すみません。 自分で料理をする事がなく……手伝おうとすると断られてしまって…」
「ふふっ。 そうでしょうね」
「…本当は自分の事は出来る限り 自分でした方がいいと思っているんですけどね…」
「そう考えているだけで素晴らしい事だと思いますよ」
「え? 痛っ…」
沖矢を見る為に 切っていた野菜から視線を逸らしたアイリスは包丁で左手の人差し指を切ってしまった。
「見せてください」
「…はい」
沖矢に変装している赤井はアイリスの人差し指を見た。
「…傷は浅い様ですね。 一応 消毒はしておきましょう」
「……はい」
その後、沖矢に変装している赤井がカレーを完成させてくれて、2人で食べた。
「今日はご馳走様でした」
「いえいえ。 家までお送りしましょうか?」
「大丈夫ですよ。 先程 連絡したので」
「そうですか。 またいつでもいらして下さい」
「はい! …でも 学校忙しいんじゃないですか?」
「そんな事ないですよ」
在籍だけだからな
「…じゃあ また来ます」
「お待ちしてますね」
沖矢に変装している赤井は微笑んだ。
アイリスは会釈して 背を向けた。
「アイリスさん」
「?」
アイリスは振り向いた。
沖矢に変装している赤井は、アイリスの薬指にはめられている婚約指輪を見た。
「…その指輪…とても大切な物なんですね…?」
「!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。