3.ハニートラップ
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アイリスに声をかけてきた男は沖矢に変装している赤井だった。
「すみません…驚かしてしまいましたね……」
久しぶりだな アイリス
「…いえ…」
「間違っていたらすみません。 貴方はもしかして…」
沖矢に変装している赤井はアイリスに顔を近づけた。
「…画家のアイリスさんですか?」
「!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。
沖矢に変装している赤井は笑みを浮かべていた。
「…え…あの…」
「“どうして 私だとわかったのですか…?” と言ったところでしょうか?」
「!」
「ふふっ。 貴女は顔に表れやすい様ですね」
「! ………」
「もちろん 貴女は顔を晒した事がないので、僕自身 貴女の顔を知りませんでしたよ?」
「…じゃあ どうしてですか?」
「まず普通の人と違うオーラ。 また、受付係や案内係は態度を変えて対応。 それはつまり 貴女が何かしらの権力を持たれている方。 それに 先程いた彼…」
沖矢に変装している赤井は少し離れた所に立っている、支配人と話しているフォルシオンを見た。
アイリスもつられて見た。
「…ずっと貴女のことをちらちらと見張っている。 恐らく 付き人か何かでしょう…。 そして…」
沖矢に変装している赤井はアイリスに視線を戻した。
「絵を愛おしそうに見る姿…。 それでもしかしたらっと思って声をかけたんです」
「…探偵さんなんですか? …えーっと……」
「あ すみません。 自己紹介がまだでしたね…。 僕は 沖矢 昴と言います」
「…沖矢さん……」
「“昴”でいいですよ。 私も“アイリスさん”と呼ばせて頂きますので」
「……はい…」
その後 アイリスは沖矢に変装している赤井と他愛ない会話をした。
「それで…どうして アイリスさんはご自身の画廊に? イベントを行う予定がある訳でもないのに…」
「……それは…」
アイリスは瞳を伏せた。
「……私でよければ…お聞きしますよ?」
「! ………」
なぜだろう……
この人には何でも話せる……
それに…
どこか懐かしい……
黙り込んでいたアイリスは口を開いた。
「……実は……私…記憶を失ってしまって、自分が画家であると言う事も忘れてしまっていて……」
アイリスは色々な悩みを打ち明けた。
「…そうだったんですか… 。お辛かったでしょう」
アイリスは頷いた。
「よかったら 記憶が戻るお手伝いをさせて下さい」
「…え…でも…」
【よろしいじゃありませんか お嬢様】
「……フォルシオンさん」
沖矢に変装している赤井とフォルシオンは会釈し合い、自己紹介をし合った。
また、アイリスと沖矢に変装している赤井は連絡先を交換し合った。
「…では アイリスさん また」
沖矢に変装している赤井は会釈して 背を向けた。
「あ あの…!」
「?」
沖矢に変装している赤井は振り返った。
「……どうして 私の為にそこまで親切にしてくださるんですか?」
沖矢に変装している赤井は笑みを浮かべた。
「貴女の大ファンですから」
そう言って 沖矢に変装している赤井は去っていった。
決まっているだろう お前の為なのだから
「……不思議な人…」
「…ええ。 でも 悪い方ではないと思いますよ」
「……はい」
数日後、アイリスは沖矢に変装している赤井に頼まれ、帝都銀行へ来ていた。
「今日は僕の用に付き合って頂いて ありがとうございます」
「いいえ。 …それで 昴さんの頼みって…?」
「ええ。 実は――――…」
そして、米花百貨店にやって来たアイリスと沖矢に変装している赤井はカフェで休憩していた。
「すみません。 こんな事に付き合わせてしまって…」
アイリスは首を横に振って、瞳を伏せた。
「…昴さんの知人さんの有力な情報が見つからなくて残念です…」
「手掛かりが ここの百貨店の限定の帽子と僕の記憶しかないですからね…」
そう言って、沖矢に変装している赤井は同じカフェ内にいるジョディとキャメルを横目で見た。
アイリスは気づいていない様だが、あの二人がこの百貨店にいるのが気がかりだ……
とりあえず、妙な事に顔を突っ込む前に忠告をしておく必要があるな―――…