3.ハニートラップ
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【アイリス】
「………」
【アイリス】
「……ん…」
アイリスは目を覚ました。
「…やっと起きてくれたな」
「!?」
アイリスの髪を撫でている赤井が立っていた。
「!? …触らないでっ!?」
アイリスは赤井の手を咄嗟に払った。
「! ………」
「……貴方は一体 誰なの…?」
「……俺は…」
赤井は言葉を遮り 悲しそうに瞳を伏せた。
「………」
どうして…そんな悲しそうな顔をするの……?
そこでアイリスは目が覚めた。
アイリスは上体を起こして 部屋を見渡した。
「……殺風景な部屋…」
さっきの人…私と一緒に 写真に写っている人だった……
アイリスは髪に触れた。
…それに どこか懐かしい手だった……
…私とあの人の関係って……?
その時 部屋の扉が開いて 安室が入ってきた。
【アイリスさん! 気づかれたんですね?】
「……透さん。 …私……また迷惑かけちゃいましたね…?」
「大丈夫ですよ。 …僕の方こそ 連絡もなく待たせてしまってすみませんでした…」
アイリスは首を横に振った。
「透さんに何もなくて良かったです」
「心配かけてしまってすみません。 …ところで…」
安室の目つきが変わった。
「…何か思い出しましたか?」
アイリスは夢で出てきた赤井が脳裏に過ぎった。
「……いいえ…」
「そうですか…」
まだまだ時間がかかりそうだ…
安室は立ち上がった。
「食欲ありますか?」
「……確かに…お腹 空きました」
「よかった。 今 ちょうどお昼を作っているので、リビングの方に来ませんか?」
「……はい」
アイリスは安室に連れられ リビングにやって来た。
「もうすぐできるので 座って待っていてください」
「…はい」
アイリスはイスに座った。
リビングも殺風景 と言うか……生活感がない……?
「お待たせしました」
少しして 安室がキッチンからがスパゲッティが乗っているお皿を持って戻って来た。
「どうぞ」
安室はアイリスの前にスパゲッティが乗ったお皿を置いた。
「わぁー 美味しそうです!」
「お口に合うといいんですけど…」
そう言って 安室は席についた。
「「いただきます」」
アイリスと安室はスパゲッティを食べ始めた。
「美味しいです! 透さん、料理 上手ですね!」
アイリスは満面の笑みを浮かべた。
「そんなに喜んでもらえるなんて 僕も嬉しいです」
安室も笑った。
本当に美味しそうに食べる人だ――
洗い物をしようとしたが安室に断られ、アイリスは仕方なく ソファに座っていた。
「………」
そう言えば この部屋って…
【どうかされましたか?】
洗い物を終えた安室がキッチンから戻って来た。
「すみません。 何から何までして頂いて…」
「構いませんよ。 …それで 何を考えてらしたんですか?」
「…えーっと…今更聞いてしまうんですけど…」
「なんでしょう?」
「この部屋って…安室さんの部屋ですよね…?」
「…はい。 勝手に連れてきてしまって すみません」
「いえ 私の方こそ 面倒を見て頂いてすみません…」
「……部屋 汚かったですか…?」
安室は苦笑いをした。
「……え…」
安室の予想外の言葉にアイリスはきょとんとした。
「…いえ…先程 部屋を観察していたみたいでしたので…」
「“汚い”なんてとんでもないです! むしろ 逆なんです…」
「……逆?」
「家具が必要最低限しかなくて…まるで 生活感がないみたいで……」
「……それは…」
生活感がないのは “降谷 零”として暮らすセーフハウスだから…
安室は微笑した。
「…実は僕、2部屋借りてるんですよ」
本当は“安室 透”として暮らすセーフハウスに案内しようかと思ったんですけど…、貴方には“降谷 零”の方も知って欲しかった……
「……2部屋?」
「仕事用の部屋とプライベート用の部屋をわけているんです」
安室は部屋を見た。
「この部屋はプライベート用の部屋です。 仕事柄 あまり帰らないですけど…」
安室はアイリスの隣に座った。
「!」
「ご飯を作って待ってくださる人がいれば もっと帰ってくるんですけどね?」
そう言って 安室はアイリスの髪に触れた。
「……え…?」
そして 安室は無言で アイリスを抱き寄せた。
「……透さん…?」
「……僕…さっき アイリスさんがジンに絡まれているのを見てものすごく腹が立ったんです…」
この感情は恐らく……嫉妬……
安室は抱きしめる力を強めた。
「そして ジンに取られたくないって思ってしまいました…」
僕は気づいたんだ……彼女に対するこの感情に……
「………」
「情けないですね…僕は…」
アイリスは首を横に振った。
「そんな事ないです…」
「…アイリスさん…?」
「透さんはとても優しくて 頼りになる方です」
アイリスは安室に笑いかけた。
「だって…私のこと 守ってくれたじゃないですか」
「! ……貴女には敵わないですね…」
安室は微笑して 前髪を掻きあげた。
“ハニートラップ” 失格かもしれませんね…
「…え?」
「…いえ 何でもないです」
そう言って 安室は笑った。
貴女は僕を夢中にさせる……
“ハニートラップ”である僕が…
…逆に “ハニートラップ”にかかってしまいそうになるくらいに―――…