3.ハニートラップ
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アイリスが記憶喪失になってから 1週間が経ち、アイリスは元の生活に慣れてきた。
…が、アイリスの性格や服の好み等 がらりと変わってしまっていた。
また、アイリスは桜雅家の当主である事が嫌になってきていた。
アイリスは気分転換を兼ねて 一人で外出する事にした。
「どこへ行く?」
「…少し街へ」
そう言うと アイリスはそのままラジャイオンの横を通っていった。
「……待て」
「?」
アイリスは立ち止まって 振り返った。
「何でいくつもりだ?」
「……電車…ですけど?」
「……はァ? 馬鹿言ってんじゃねェよ!!」
「っ!?」
アイリスはラジャイオンの怒鳴り声に驚いた。
「桜雅家の当主が電車に乗る!? 聞いたことねェぞ!」
「…じゃあ どうすれば…」
「俺が乗っけっててもやれるし、お前も自分の車だってあるだろ!?」
そう言って ラジャイオンはアイリスの赤色のGT-Rを見た。
アイリスは赤色のGT-Rを見て ラジャイオンに視線を戻した。
そして 首を横に振った。
「…あんな大きな車 無理だよ…」
「! てめェ!」
「っ!」
「チッ……いいから 乗ってみろ」
「でも…」
「記憶になくても 体が覚えてるはずだ」
「………」
アイリスは渋々 赤色のGT-Rに乗った。
「…あ…」
確かに私…この車運転した事ある気がする……
そして エンジンをかけた。
「っ!?」
その時 アイリスの脳裏に赤井との記憶が断片的に浮かんできた。
アイリスの瞳から涙がぽろぽろと流れ落ちた。
「どうした!?」
「……わからない…」
…苦しい……
…なんでこんなに胸が苦しいの――…?
その一件から あまり外出しなくなってしまったアイリスの元に、園子から“Valentine's party”の招待状が届いた。
「…“Valentine's party”?」
「ああ もうそんな時期か…」
「……?」
「毎年 鈴木財閥と言うか あの小娘が開催しているチョコレートの試食会を兼ねたパーティーだ」
「チョコレート!?」
そう言ったアイリスの目が輝いていた。
「フン…甘いものに目がないのは変わらないな…」
「え?」
「いや こっちの話だ。 すぐにドレスを決めるぞ」
ラジャイオンはアイリスの手を引いて 歩き出した。
「え!? ドレス!? 普通の服じゃダメなんですか?」
「何言ってやがる! 桜雅家の当主が普段服で行ったら 笑い者になるだけだぞ!」
「………」
…桜雅家の当主……
そして、2月14日 “Valentine's party”の日がやって来た。
アイリスはラジャイオンの運転する黒色のロールス・ロイスで会場に向かった。
そして 会場に到着し、ロールス・ロイスを入口に停めた。
「俺は今日、付いてやれねェから これを持てっろ」
そう言って ラジャイオンはアイリスに二丁拳銃を差し出した。
「!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。
「け 拳銃!? こんなの持ってられないっ!」
「何言ってんだ? 護身用だ」
「護身用って…ここ 日本だよ!? 銃刀法で捕まっちゃうよ!?」
「心配すんな。 桜雅家の者は暗黙の了解で 代々持っている。 捕まることもねェ…」
「!? …それに 使い方だって… !」
アイリスの掌に二丁拳銃が置かれた。
「ぐだぐだうるせェな! 使い方だって 車と同じで体が覚えてるはずだ」
「………」
アイリスは二丁拳銃を見た。
…確かに…懐かしく感じる……
アイリスはラジャイオンの指示で ドレスで隠れる様に足にレッグホルスターをつけて 拳銃をしまった。
「ほら そろそろ行くぞ」
「は はい!」
アイリスとラジャイオンは車から降りた。
「もっと胸を張って 背筋を伸ばせ」
「!」
アイリスはラジャイオンに言われた通りにした。
「それでいい。 お前は桜雅家の当主なんだ。 ちゃんと振舞え」
「……はい…」
…桜雅家の当主……
…今の私にとっては唯の重い言葉でしかない――…