3.ハニートラップ
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アイリスが記憶喪失になったと言う連絡は、コナンとアイリスの深い関係者である極少数の人に伝えられ、原因は婚約者の死亡である旨の説明をされた。
ただアイリス自身には親しい関係者の死亡と説明した。
そして、3日後 風邪が完全に回復したアイリスは退院した。
「お世話になりました」
アイリスは頭を下げた。
「………」
ラジャイオンはその様子を横目で見ていた。
変だ……
アイリスはそう簡単に人に頭を下げない…
ここ3日間もそうだ
医師や看護師に謙虚に接していた……
今までのアイリスでは有り得ないことだ……
「…ラジャイオンさん…?」
「!」
ラジャイオンがアイリスを見ると、アイリスは顔を覗き込んでいた。
「なんだ?」
「っ! ごめんなさい…」
アイリスは怯えている様子だった。
「……チッ…」
ラジャイオンは頭を掻いた。
他人行儀で調子が狂う…
…記憶を失ったアイリスは…
俺の知っているアイリスじゃない……
…まるで…別人みたいだ――…
ラジャイオンは黒色のロールス・ロイスの扉を開いた。
「……この車に乗るんですか?」
「あァ?」
「す すみません! 乗ります!」
アイリスは慌てて ロールス・ロイスに乗った。
…またやっちまった……
「……扉 閉めるぞ」
「…はい」
ラジャイオンは ロールス・ロイスの扉を閉めた。
そして 運転席に乗った。
アイリスは落ち着かない様子だった。
「おい もっと楽にしろ」
「え はい!」
「車 出すぞ」
「は はい!」
ラジャイオンはロールス・ロイスを出した。
アイリスはちらちらとラジャイオンを見ていた。
「何か用か?」
アイリスは首を横にぶんぶん振った。
「………」
「………」
「……俺が怖いか?」
「!」
アイリスはラジャイオンを見た。
「……俺は口調が悪いからな。 だが 俺はこの口調を直す気はねェ。 だから 慣れろ」
「!?」
ラジャイオンは横目で後部座席に座るアイリスを見た。
「…俺は…別に怒ってる訳じゃねェから」
「………」
アイリスは微笑んだ。
「はい」
「っ! ………」
ラジャイオンが運転するロールス・ロイスはアイリスの屋敷へ向かっていった。
その頃、赤井はフォルシオン達の協力により 変装によって姿を変え、変成機で声も変え、“沖矢 昴”と言う名前を名乗り、“木馬荘”で暮らすことになっていた。
「これからお世話になります」
沖矢に変装している赤井は大家に挨拶を済ませた後、自分の部屋に入った。
「歴史を感じる建物だな…」
「すみません。 急に手配をしたものですから」
「構わん。 隠れて暮らすには丁度いい」
「赤井様」
「ん? …ああ 口調も気をつけなくてはいけませんね」
「顔見知りと話す時はお気をつけください」
「ええ」
…しばらく慣れそうにないな……
アイリスとラジャイオンを乗せた黒色のロールス・ロイスはアイリスの屋敷に到着した。
ラジャイオンはアイリスが座る後ろの席の扉を開けた。
「…ありがとうございます…」
アイリスはロールス・ロイスから降りた。
「「「お帰りなさいませ アイリス様!!」」」
使用人たちは笑顔で出迎えてくれた。
「!?」
アイリスはラジャイオンを見た。
「何してる? 早く入れ」
「……でも…」
アイリスは使用人たちを見てから ラジャイオンに視線を戻した。
「…私って…何者なんですか?」
「…お前は 桜雅財閥の当主だ」
「…当主…? 私は…ひゃっ!?」
アイリスはねっとりとしたものが手に触れ、驚いたアイリスは手を引っ込めた。
アイリスが下を見ると シオンがしっぽを振っていた。
…犬…? いや でも…
向こうからリオンとレオンもやって来た。
…やっぱり オオカミ…!?
アイリスはラジャイオンの後ろに隠れた。
「…何をしている?」
「だって オオカミなんて…怖い…」
アイリスは瞳を伏せた。
「何を言っている? お前のペット…家族だろう?」
「…家族…」
アイリスはラジャイオンの後ろから顔だけを覗かせて リオン達を見た。
リオン達はしっぽを振っていた。
アイリスは恐る恐る リオン達に近づいた。
そして 首に触れた。
「…大人しいのね…」
リオン達はアイリスに体をくっつけてきた。
「ふふっ! くすっぐたいよ」
ラジャイオンはため息をついた。
「全く…先が思いやられる……」