3.ハニートラップ
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赤井がアイリスの様子を見ていると、ドアが勢いよく開いた。
「!」
赤井は振り返った。
アイリスの病室に入って来たのはラジャイオンだった。
「!?」
燕尾服…!?
それに 銀髪…!?
ラジャイオンは赤井の襟元に掴み掛かった。
「てめェがアイリスをやったのかっ!?」
…日本人……!?
「っ!」
赤井はそのまま壁に追い詰められ 背中を強打した。
【おやめなさい ラジャイオン!】
アイリスの病室に血相を変えたフォルシオンが入って来た。
「止めんじゃねェ フォルシオン!! 俺はこいつを痛めつけなきゃ 気が済まねェ!!」
「………」
双子 か…
「そのお気持ちはよくわかりますが…暴力で何とかしようとするのには賛成できませんし、執刀した医師からお話を聞いたところ その方は“FBI”だそうです」
「“FBI”…!?」
赤井の襟元を掴むラジャイオンの手が少し緩んだ。
「詳しく話しますから まず手を退けなさい」
「……フン」
ラジャイオンは赤井の襟元から手を放した。
そして 壁に背を預けた。
フォルシオンはラジャイオンに執刀した医師から聞いた話を全て話した。
「アイリスが怪しい組織の仲間かと勘違いし 捕まえようとして撃った だと…」
ラジャイオンは赤井を睨みつけた。
「てめェ! ふざけんじゃねェ!」
「いい加減 静かにしなさい」
フォルシオンはベッドで眠っているアイリスを見た。
「…アイリス様が眠っているのですから…」
ラジャイオンもアイリスを見た。
「………」
「それに…」
フォルシオンは赤井を見た。
「私の勘ではアイリス様を撃ったのは別の方かと…」
「! ………」
鋭いな…
「……フン。 お前の勘はよく当たるからな」
フォルシオンは姿勢を正し 赤井に向き直った。
そして 深々と頭を下げた。
「赤井様 弟の数々のご無礼…誠に申し訳ございません」
「…はァ? どうしてお前が頭を下げてるんだよ?」
「…いや 元々先に彼女に手を出したのはこちらだ…」
双子にしては 性格が正反対だな…
赤井は深々と頭を下げた。
「こちらこそ 申し訳なかった…」
「………」
フォルシオンは頭を下げた状態で 横目でラジャイオンを見た。
「ほら 貴方は何をぼさっとしているんです?」
「……フン…」
ラジャイオンは背を向けた。
「……俺は頭を下げねェぞ!」
「ラジャイオン!」
フォルシオンは上体を起こした。
赤井も上体を起こした。
「そんな事より アイリスをこの狭い病室から移動させたらどうだ?」
「それは後で 院長に手配してもらいますよ」
フォルシオンは赤井に視線を戻して 再び頭を下げた。
「…申し訳ありません 赤井様…」
「別に構いません。 気にしてませんから…。 それより 私が気になっているのは…」
赤井は眠っているアイリスを見た。
「…彼女が何者かと言う事なんですが…」
「………」
「てめェに話す義理もねェよ」
「ラジャイオン」
ラジャイオンはフォルシオンを見た。
「何だよ?」
フォルシオンは首を横に振った。
「……チッ。 勝手にしろ…!」
ラジャイオンはイスに座った。
フォルシオンは赤井に視線を戻した。
「…“桜雅家”…をご存知ですか?」
「!?」
桜雅家を知っていた赤井は目を見開いて驚いた。
アイリスの事を話し終えたフォルシオンは色々な手続きをお願いしに 院長室に向かって行った。
アイリスの病室には アイリスの様子を見ている赤井と壁に背を預けて目を瞑っているラジャイオンがお互いに無言で残っていた。
「………」
“桜雅家”…
表向きは芸術に優れた一族…
…アイリスと呼んでいたな…
アイリスと言えば 顔を出さない有名画家に同じ名前がいたが…果たして 別人だろうか…?
…そして…
裏では決して関わらない方がいいとされる暗殺一族……
あの身のこなしにも納得できる…
…まさか桜雅家の当主に会う事になるとはな……