2.スウィートデビル
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「…はぁ……はぁ……」
水無に肺を撃たれた様に偽装している赤井は血糊が溢れ出す胸を苦しそうに押さえ 肩で息をする演技をしていた。
『どうした キール? 早く止めをさせ』
「でも 肺を撃ち抜いたから、放っておいてもあと30分程度で…」
『頭だ』
「!」
『頭に弾丸をブチ込め。 それでそいつ息の根は完全に停止する』
「了解」
水無は赤井に歩み寄り 頭に銃口を向けた。
「フン。 まさかここまでとはな…」
「私も驚いたわ…。 こんなにうまく行くなんて…」
「………」
アイリス…しばしの別れだ……
フォルシオン、ラジャイオン…彼女のこと 頼んだぞ……
そして 水無は引き金を引いた。
「っ!」
頭を撃ち抜かれた様に偽装した赤井は 大量の血糊をニット帽から噴き出しながら シボレーの助手席に後ろ向きで倒れ込んだ。
水無に付けているカメラでその映像を見ていたジンとウォッカは笑った。
その時 パトカーのサイレンが聞こえてきた。
ジン達がサイレンに気を取られている内に 楠田の遺体にすり替えた。
ジン達は水無に任せて 先にその場を後にした。
水無は助手席に爆弾を置いた。
「悪く…悪く思わないでね……」
そして 水無は車に乗り その場を後にした。
少しして 赤井のシボレーが爆発した。
赤井はアイリスから離れた。
「秀…どうしたの…?」
「もう行かないと…」
「……え…?」
「また…来るから……」
赤井は背を向けて歩き出した。
「…待って…っ!」
なんだろう…
すごく嫌な気がする……
このまま離れ離れになってしまう様な……
赤井は振り向かず ドアの方へ歩いていた。
「秀 待って…っ!」
お願い…行かないで…っ!
アイリスはベッドから落ちてしまった。
「行かないでっ!! 秀―――っ!!」
アイリスはそこで目が覚めた。
「…またあの夢……」
アイリスは上体を起こした。
…もしかして…夢なんかじゃない……?
…だとしたら…秀に何か……!
アイリスはふらつく身体でベッドから下りて 病室を出た。
コナン達と別れたジョディは杯戸中央病院に戻って来た。
そこで ジェイムズから赤井が水無に呼び出されたことを聞いた。
「あ あの…」
ジョディとジェイムズは話しかけてきた一人のFBI捜査官を見た。
「その二人が落ち合う場所って 来葉峠でしたよね…?」
「…ああ」
「今 テレビのニュースでやってましたけど…来葉峠で車が1台炎上していて 中から焼死体が発見されたって…」
「えっ!?」
「…なんだと…?」
ジョディ達はニュースを見た。
ジョディ達は焼死体が赤井である事を信じてなかった。
ジョディは焼死体の指紋を調べてもらう為に、赤井が触れた コナンから借りている携帯を持って 警視庁を訪れた。
そして バレない様に上手く説明して 調べてもらった。
少しして 高木刑事が戻って来て、焼死体で発見された指紋が出てきたと言う調査結果を聞いた。
ジョディは警視庁の前に停めてあるジェイムズのカブリオレに戻った。
「…その様子だと…やはり遺体は赤井君だったか……?」
「!」
堪えていたジョディは赤井の名を呼び 泣き崩れた。
様子を見に来たベルモットは通り際に運転席で泣き崩れているジョディを見た。
二発なんていらないわ…
シルバーブレッドは…一発あれば充分よ……
ねぇ…“Sweet devil”――…
アイリスの病室から離れたラジャイオンは 屋上でフォルシオンから計画が始まった旨の連絡を受けていた。
【まさか…赤井さんが――…】
「!」
秀の話…!
ラジャイオンを探していたアイリスは立ち止まった。
「…まさか…焼死体が赤井さんだなんて……」
「っ!?」
電話を終えたラジャイオンはアイリスの病室に向かっていた。
【焼死体が秀って……どう言うこと……?】
「「「…アイリスさん…!?」」」
キャメル達は目を見開いて驚いた。
「…冗談だよね……?」
「「「 ………」」」
キャメル達は黙り込んでしまった。
「ねぇ 答えてよ…っ! 秀はっ…? 秀に何があったの…っ!?」
アイリスの瞳からボロボロと涙が流れ落ちた。
口を開いたのはキャメルだった。
「……赤井さんは…」
「…っ……」
アイリスは溢れ出る涙を拭って キャメルを見た。
「…赤井さんは…」
キャメルは一瞬瞳を伏せた。
「…亡くなられました―――…」
赤井が亡くなったと言う衝撃的な言葉を聞いたアイリスは気を失ってしまい、ベッドに寝かせられた。
ラジャイオンは再び 屋上でフォルシオンに連絡をしていた。
『いきなり計画が狂ったな…』
「計画とはその様なものでしょう」
『まぁな…』
「…ですが 困りましたね…。赤井様の死に疑問を抱くであろうアイリス様は、赤井様の死の真相を突き止めようとするでしょう……」
『…フン。 簡単には死ななそうだからな…あいつは…』
「ええ そうですね…」
フォルシオンは微笑した。
「――では 後は頼みましたよ」
桜雅家の屋敷にいるフォルシオンは電話を切った。
【早速 トラブル発生か…?】
「…ええ…少々…」
フォルシオンは振り返った。
「想定の範囲内…ですが」
フォルシオンは微笑した。
…その時はまだ 誰も想像しなかった…
…予想を遥かに超える事が起きてしまう事を―――…