2.スウィートデビル
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夜になり、埠頭ではジンが黒の組織のボスに疑われている水無に命令を伝えに来ていた。
ジンは水無に拳銃を差し出した。
「“ある人物を消し お前の事を信じさせてくれ”と…」
水無は拳銃を受け取った。
「あら? 消すって…誰をかしら?」
「FBI捜査官…赤井 秀一」
「!?」
赤井…秀一……?
ジンと水無は赤井を始末する作戦の話をした。
ジンに拳銃を向けられたまま 水無は赤井に電話をかけた。
「秀は…どこにも行かないよね……?」
「秀は居なくなったりしないよね……っ?」
彼女は一体 どんな夢を……?
その頃、シボレーの中で考え事をしていた赤井の携帯が鳴っていた。
赤井はジェイムズに声をかけられ 電話に出た。
「はい」
『私よ。 水無 玲奈――…』
電話を終えた赤井はジェイムズに水無との電話の内容の話をした。
「これから二人きりで会わないか と言ってきました」
「二人きりと言うことは罠かもしれん。 行かない方が 賢明だが」
「ええ。 ですが 罠だとしたら 私が行かなければ彼女は十中八九殺される…」
ジェイムズはジョディに連絡しようとしたが、赤井はそれを止めた。
「…ど どうしたんだね…?」
赤井は微笑した。
少しして 赤井の携帯にメールが来た。
「フン。 今夜 19時…来葉峠の7つめの左カーブを抜けた先か…」
「せめて彼女には知らせた方が…」
赤井は首を横に振った。
「赤井君…」
赤井はエンジンをかけた。
「では 後のことは任せましたから」
「…ああ」
赤井は杯戸中央病院の地下駐車場から出て行った。
フォルシオンはアイリスの病室から 赤井のシボレーが出て行ったのを確認した。
「どうやら 私たちの予想通りに 事が進んでいる様ですね…」
「行ったのか あいつ? 一人で? プッ…はははっ!」
ラジャイオンは大声で笑った。
「静かにしなさいよ。 お嬢様が起きられたら どうするんです?」
フォルシオンは鋭い目つきでラジャイオンを睨みつけていた。
「だってよ 笑っちまうだろ? 100%罠だとバレバレなのに 一人で行っちまうんなんてな……。 …クク…どんだけお人好しだよ…!」
「まあ 確かに…」
フォルシオンは微笑した。
「ですが これも計画の内の一つ…」
フォルシオンの目つきが変わった。
「これからですよ…本当の戦いは……」
赤井様の死を如何にお嬢様に知られず 隠し通せるか…
そして 偽装の死によって 姿を変えて生き延びていく赤井様を 如何にお嬢様にバレず、尚且つ 組織にもバレずに 守り抜くか…
この数少ない協力者で如何に上手く立ち回れるかに掛かっていますね……
その頃、赤井は来葉峠に向かっていた。
赤井はフォルシオンとラジャイオンとした会話を思い返した。
「それで アイリスの事ってなんだよ?」
「その前に 今までの作戦に興味持たず 聞こうとしなかった貴方にはそちらから話した方がいいでしょう…」
フォルシオンは今までの経緯を話した。
「ふ~ん…水無を組織に戻すなんて…面白ェ作戦だな」
「あのボウヤと考えついた作戦だ」
「…ボウヤ? ああ あのメガネをかけたガキのことか…。 何者なんだ あのガキは?」
「さあ? 私もとても興味があります」
「悪いが 俺も知らん。 ジョディは探偵だと言っていたが…」
「探偵? あのガキが?」
「ふふっ。 さらに興味が出てきますね」
…でも……
フォルシオンの目つきが変わった。
私はもう 彼の正体を突き止めつつあるのですがね――…
赤井は計画を話し終えた。
「一つ聞きてェんだが…」
「ん?」
「どうして その計画をアイリスに話さない?」
「この計画の協力者を極力減らしたいんだ…。 …俺の生存がバレる事を防ぐために。 それに 彼女には黒の組織の目が光っているから…」
「………」
ジン…ベルモット……
「だから…彼女には俺がアメリカに戻ったとでも言っておいてくれ」
「…それによって アイリスを深く傷つけることになってもか?」
赤井は一瞬 瞳を伏せた。
「……ああ…」
…例え 彼女を傷つけてしまうとしても…
…俺には成し遂げなくてはいけない事がある……
…アイリス…お前ならわかってくれるよな―――…?
そして 来葉峠に着いた赤井は 先に待っていた水無と向かい合う形で車を停めた。
「…で 高飛びを手助けする代わりに提供してくれる情報ってヤツを聞こうか?」
「そう…貴方に提供できるのは……」
その瞬間 銃声が鳴り響いた。
「っ!」
赤井は肺を撃たれた様に偽装する為 口から血糊を流した。
赤井は苦しそうな演技して シボレーに背を預けた。
そして 遠くに止まっているジンとウォッカが乗るポルシェに気づいた。
眠っているアイリスの病室に赤井が入ってきた。
「…アイリス……」
「zZZ…」
「…アイリス…」
「…ん……」
アイリスは目を覚ました。
「…秀……?」
「体調悪い中 起こして悪いな…」
「…うううん…。 どうしたの…?」
アイリスは目を擦りながら 上体を起こした。
「どうしてもお前に言いたい事があるんだ…」
「……?」
赤井は黙り込んでしまった。
「……秀…?」
その時 アイリスは赤井に抱きしめられた。
「しゅ…んっ」
そして 唇を塞がれた。
もう一度 お前と――…