2.スウィートデビル
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「…俺と結婚してくれ」
婚約指輪の入った小さな箱を開けて 差し出した赤井はそう言った。
「っ!?」
アイリスは驚きのあまり 口を両手で押さえた。
もしかして この間のは……
「…受け取ってもらえるか…?」
嬉し涙を流しているアイリスは何度も頷いた。
赤井はアイリスの左手の薬指に婚約指輪をはめた。
そして 腕を引いて抱き寄せた。
「もう離さない」
「…うんっ!」
アイリスは満面の笑みを浮かべた。
「アイリス……愛してる」
「私もだよ」
アイリスと赤井は唇を重ねた。
アイリスと赤井は車の方へ歩いていた。
「くしゅんっ」
「寒いのか?」
「うううん。 平…くしゅんっ!」
薄着だったアイリスは身震いした。
「…なんでちゃんと着てこなかった?」
赤井は上着を脱いで アイリスの肩にかけた。
「ありがとう…。 ジョディさんのコートでサイズが合う服がなくて…」
「…そうか」
先にシボレーに乗っていたアイリスのもとに、ジョディに電話を掛け終えた赤井が戻って来た。
「ジョディさん 何て?」
「“もう戻ってきちゃダメよ” だと」
「…そっか…」
ありがとう ジョディさん…
アイリスはジョディにお礼メールを送った。
赤井は“へーヴロイヤルホテル”に向けて車を走らせていた。
助手席に座っているアイリスは 赤井の上着を抱えたまま眠ってしまっていた。
赤井は微笑した。
…眠れていなかったんだろうな……
アイリスの左手の薬指にされた婚約指輪が道路のライトによって光っていた。
アイリスは休暇をもらった赤井と一緒に、オープンしたばかりのショッピングモールに来ていた。
「わぁー すごい人!」
アイリスはとてもご機嫌で はしゃいでいた。
「おい 離れるなよ…」
赤井はアイリスの手を掴んだ。
アイリスは赤井の腕に腕を絡ませた。
「えへへ。 これで離れないね」
赤井は困った様に笑った。
アイリスと赤井は色々なお店を見て、美味しいものを食べて 楽しんだ。
「あ 秀、ちょっとお手洗い行ってくるから ここで待ってて」
「…ああ」
アイリスはトイレに向かっていた。
「秀が何でも買ってくれるって言うから、沢山買っちゃったなー…」
あ…でも…
秀自身 何も買ってないよね……
その時、ガラスケースに飾ってあるサングラスが目についた。
「あ このサングラスいいかも…」
アイリスはお店に入った。
そして サングラスを購入し、ラッピングしてもらった。
「喜んでくれるといいんだけど…」
【アイリスさん…?】
「!」
アイリスは振り向いて 声の主を見た。
「学園祭以来ですね」
そこには新出先生に変装しているベルモットが優しい笑みを浮かべて立っていた。
「…新出先生 お久しぶりですね」
…ベルモット…
アイリスは買ったばかりのサングラスが入った袋を背中に隠した。
「まさか 新出先生にこんな所で会うなんて思いませんでした」
「実はオープン初日から気になっていて やっと来れたんですよ」
「…そうだったんですか…」
その頃、帰りが遅いアイリスを心配した赤井が探しに来ていた。
「ところで アイリスさん、今から一緒にお茶でもどうですか?」
「ごめんなさい。 連れの方がいて…」
「あ そうですよね…。 すみません」
新出先生に変装しているベルモットのメガネが怪しく曇った。
「…きっと さっき購入されていたサングラスを渡すお相手の方でしょうね?」
「!?」
いつから見ていたの…!?
アイリスは一歩後退りした。
その時 アイリスの背中に何かがぶつかった。
アイリスは驚き 振り返った。
【彼女に何か用ですか?】
…俺ではなく…彼女を付けていたのか……
アイリスのすぐ後ろには赤井が立っていた。
「…しゅ……」
アイリスは赤井の名前を呼びそうなり 慌てて口を押さえた。
赤井はアイリスを自分の背中に隠した。
「すみません。 怪しい者ではなくて…」
赤井 秀一…
新出先生に変装しているベルモットはアイリスとの関係を話した。
「…ところで もしかして アイリスさんの彼氏さんですか?」
「ええ そうですが」
「やっぱり。 アイリスさんにとてもお似合いな方だと思って」
ふふっ。
相変わらずのポーカーフェイス…
少しして アイリスと赤井は新出先生に変装しているベルモットと別れた。
「姿 現して平気だったの…?」
「問題ない。 どうせ 奴は俺の顔を知ってるし、バスジャックの事件の時にも顔を合わせてる…」
「……ごめんね」
赤井はアイリスが手に持っている袋に気付いた。
「あ これ…」
アイリスはサングラスが入った袋を赤井に差し出した。
「秀に沢山買ってもらったから、そのお礼に と思って…」
赤井は袋を受け取った。
「……ありがとう」
アイリスは嬉しそうに笑った。