2.スウィートデビル
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アイリスと赤井が喧嘩をして 数日が経った。
赤井は自分の携帯からかけても出てくれないので、夜の街の公衆電話から ジョディの第二の“セーフハウス”にいるアイリスに連絡をした。
『……もしもし?』
「俺だ」
『っ!』
「切らないでくれよ…」
『………』
「悪かった…」
『っ! …私 こそ…っ…』
アイリスの声は涙声だった。
「……今から 会えないか――…?」
赤井は電話ボックスから出て マッチでタバコに火をつけた。
赤井は視線を感じ 振り返った。
そこにはコナンと瞳に涙を溜めた蘭が立っていた。
コナンは蘭を守るように蘭の前に手を出した。
蘭を見た赤井はアイリスと明美のことを思い返した。
「思い出していたんだ…」
赤井は蘭の方に歩いてきた。
「お前によく似た女を…」
「!」
「平静を装って 陰で泣いていた…バカな女のことをな…」
赤井は蘭の横を通り過ぎていった。
「っ!」
バカな女!?
蘭は振り返った。
蘭はコナンに誰かを尋ねられ、赤井に初めて会ったニューヨークでの事を話した。
「でも 怪しい人じゃないと思うよ」
「え? どうして?」
「背中に“FBI”の文字が入ったジャケットの人と一緒にいたから。 たぶん…」
「!?」
FBI!?
バカなFBIがこの日本で一体何を…!?
コナンは赤井が歩いて行った方を見ると 既にいなくなっていた。
コナンは赤井がFBIではなく、黒の組織であることを疑っていた。
その頃、ジョディの第二の“セーフハウス”に一人でいるアイリスは赤井と会うかを悩んでいた。
アイリスは赤井の言葉を思い返した。
『これから マンションの方に行く。 …もし 俺と会ってくれる気があるなら…エントランスから出てきてくれ』
「………」
『……お前が出てこなくても 待ってるから……』
…でも…今会わなかったら ずっとすれ違ったままかもしれない……!
そんなの嫌っ!
アイリスは支度をし始めた。
赤井はシボレーをジョディの第二の“セーフハウス”の前に止めて 車に背を預けて待っていた。
赤井は時間を確認した。
「もうすぐ約束の時間か…」
赤井は内ポケットから 婚約指輪が入った小さな箱を取り出した。
「彼女は機嫌を直してくれるだろうか…?」
赤井は指輪を届けに、お昼頃 来日してくれたヴィクトリアとの会話を思い返した。
「アンティーク調のセットリングよ」
「…セットリング?」
「婚約指輪と結婚指輪を重ね付けできるものよ。 これから“クリスティーヌ”が流行の先端となっていくタイプにしていくつもりなの」
赤井は婚約指輪と結婚指輪が入った箱を受け取った。
「どの仕事よりも優先して 超特急で作ったんだから 感謝しなさい」
「ありがとうございます」
「まあ 今回は婚約指輪しか必要ないから、この小さな箱に入れて渡しなさい」
ヴィクトリアは赤井に小さな箱を渡した。
「ふふっ。 貴方の要望とアイリスの好みを私の美的センスで合わせた 世界に一つだけの指輪…大事にしてよね」
「はい」
赤井は力強く答えた。
少しして アイリスがエントランスから出てきた。
アイリスに気づいた赤井は小さな箱を内ポケットにしまった。
そして アイリスの方に歩み寄った。
「…アイリス」
「…秀…」
アイリスと赤井はしばらく見合った。
少しして 赤井が口を開いた。
「お前と一緒に行きたい場所があるんだ…」
「……?」
アイリスは赤井に手を引かれ シボレーに乗った。
そして 赤井はシボレーを出した。
車内の中は無言だった。
しばらくして 赤井がアイリスを連れてきたのは以前にも来た事があった、春には桜が満開になる教会だった。
「ここって…」
「ああ。 お前が好きな場所で、また来ようと約束した場所だ」
「………」
アイリスは微笑した。
「私が言ったのは 春の話なんだけど…」
赤井は蕾も出来ていない桜の木を見て 視線を戻した。
「…そうだな…」
赤井も微笑した。
アイリスと赤井は教会の方へ歩いて来た。
「やっぱりこの教会 素敵…。 今は使われてないなんて勿体無い…」
「…そうだな」
赤井は内ポケットから 婚約指輪の入った小さな箱をこっそり出した。
「アイリス」
「?」
アイリスは振り返った。
そこには片膝を付いた赤井がいた。
「…秀…?」
「今すぐとはいかないが…この教会 俺たちが使おう」
赤井は婚約指輪の入った小さな箱を開けて 差し出した。
「…俺と結婚してくれ」