1.愛する人
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アイリスは赤井に寄り掛かって 眠ってしまっていた。
「マナー違反になってすまんな…。 これで足りるか?」
そう言って 赤井はお金を出した。
「いえ 西園寺様から 本日はサービスでとのことでしたので 頂けません」
「いや 気にするな。 迷惑代だと思って 受け取ってくれ」
「……はい。 では ありがたく頂戴致します」
ウェイターはお金を受け取った。
「彼女は君が出すお酒が気に入ったみたいだ」
「ありがとうございます。 ですが 私の出したお酒ではなく、赤井様と一緒に飲まれていたからだと思います」
「…俺?」
「はい。 赤井様とお話をされているアイリス様はとっても幸せそうなお顔をしておりました。 きっと久しぶりにお会いできて嬉しかったんでしょう」
「………」
赤井はアイリスを見た。
「彼女には淋しい思いをさせていたんだろうな…」
「大切にしてあげてくださいね」
「無論だ」
赤井は眠っているアイリスを抱き上げた。
「俺の命より大事な女だからな」
そう言うと 赤井は眠っているアイリスを抱き上げたまま オーセンティックバーの“rencontre(ランコントル)”を後にした。
【アイリス】
「………」
【アイリス】
「……んー…」
アイリスが目をうっすらと開いた。
「起きたか?」
「……秀…?」
アイリスは赤井に抱き上げられている事に気付いた。
「…あれー……私……」
「酔っ払って眠っていたお前を俺が今運んでる」
「…そっかー…。 ありがとー しゅ…ぅ……」
アイリスはそのまま再び眠ってしまった。
「困ったお姫さんだ…」
赤井は微笑して そう言った。
アイリスを抱き上げた赤井は高層階専用のエレベーターに乗って 最上階にやって来た。
そして ICカードキーで端末にタッチし 廊下に続く扉を開けた。
【お帰りなさいませ 赤井様】
“ロイヤルスイートルーム”の前ではフォルシオンが待っていた。
「待っていたのか?」
「はい。 アイリス様がご迷惑をかけている様で 申し訳ございません」
「いや 気にするな。 彼女の事を注意できなかった俺にも責任はある」
赤井はICカードキーをタッチして ロックを解除した。
フォルシオンはドアを開けた。
「すまんな」
「いえ」
赤井はアイリスをベットにそっと寝かせた。
「このままじゃ 寝にくそうか…」
アイリスはイブニングドレスを着たままだった。
「では ネグリジェの方にお着替えをさせましょうか?」
フォルシオンはネグリジェを持って来た。
赤井はネグリジェを受け取った。
「後は俺の方でするから お前は下がっていい。 ありがとう」
「かしこまりました。 おやすみなさいませ」
フォルシオンは一礼し、部屋を出て行こうとした。
「ああ 赤井様」
フォルシオンは振り返った。
「なんだ?」
「西園寺様からアイリス様へ、明日の事での伝言です。 “外せない予定が入ってしまったから また今度ゆっくり案内するよ。 すまんな…” との事です」
もともと 赤井様とお嬢様の為に 予定を空けてあげるつもりだったのでしょうが…
お嬢様の手前、明日に約束をした様に見せたんでしょう…
「ああ。 そうか…」
俺も 予定を空けるか……
「協力致しますよ?」
フォルシオンは妖美に笑った。
「それと 別件で、赤井様にお伝えしたい事がありまして――…」
フォルシオンが部屋を出ていってから、赤井はアイリスをネグリジェに着替えさせた。
「zZZ…」
アイリスは熟睡していた。
「気持ちよさそうに寝ているな…」
お前の寝顔を見るのも随分と久しいな…
…それより さっきのフォルシオンの話……
赤井はフォルシオンとの会話を思い返した。
「赤井様がアメリカにいる頃、黒の組織の“ジン”がアイリス様に接触してきた可能性があります」
「…なんだと」
赤井の目が鋭くなった。
「アイリス様は詳しい事を話してくれていないので、真相はわかりませんが…私の予想では恐らく…」
「……わかった。 警戒しておく」
あの話が本当なら 彼女は何かしら ジンに狙われていることになる……
…だが、狙いが彼女の命ではないことは 彼女が生存している事で明白だ……
赤井はアイリスの頬にそっと触れた。
一体…何の目的で彼女を……
「……ん…」
その時 アイリスが寝返りをした。
「……秀…」
「! ………」
赤井は微笑した。
「安心しろ。 何があっても 俺がお前を護ってやる」
赤井はアイリスに口付けた。
…例え 俺の命に代えても 必ずな――…